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クチコミ情報
うつ病の脳科学の"最前線":「どこまで分かって、どこがまだ分からないか?」が分かる本書の"帯"より:
「この4つの研究結果が、うつ病研究の流れを変えた!
1.うつにかかった人の脳の多くに、実は脳梗塞の痕が見られる。
2.発達早期(幼少期)の養育体験で脳内のDNAが変化すると、それが一生続く可能性がある。
3.ストレスで、海馬(記憶や学習を司る脳の部位)の神経細胞の突起が委縮する。
4.抗うつ薬には、神経を成長させる作用があることが分かった。」
本書を通読して、うつ病発症のメカニズムにどこまで迫っているのか(迫りきれてないのか)、よく分かりました。うつ病にならないためには、単に「ストレス発散(スポーツ)でドーパミン分泌を促しましょう」とか「ストレス解消(リラックス)でセロトニン分泌を促しましょう」というレベルの話ではないことが、よく分かります。(抗うつ薬"SSRI"投与でセロトニン濃度が増えても すぐに"うつ病"の症状が改善しない、という"タイム・ラグ"があることからして、セロトニン不足がうつ病の直接の原因ではなさそうだということは理解できます)実際、BDNF(神経細胞の成長を促す蛋白質)に注目した研究や、エピジェネティクス仮説(DNAメチル化 等)に基づく研究があるそうです。今後、うつ病の発症メカニズムの完全解明のために、"脳バンク"が実現すると良いですね。
図表が全く出てこないので、脳科学やうつ病に関する前知識が少しあった方が読み易いと思います。新書ながらも このレベルの高さに脱帽、文句なしに★5。(国会議員さんや霞が関のお役人の方々にも是非読んで欲しいところです。「心の病は国の損失」なのです。いまイギリスは国をあげて"うつ病対策"をしています。→「NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる」をご参照)
アンチ反精神医学 評者は現在は双極性障害で、休職時は鬱病と診断されていた。回復期に自分の病気を理解したくなり、鬱関係の本はけっこう読んだ。しかし、加藤氏ほどストレートに鬱病を“脳の病気”として記述してる方はいないと思う。鬱病を病気と思わない精神論者にとっては、本書は気に食わない内容だろう。加藤氏にも多少の中傷は有るかもしれぬ。はた迷惑かも知れぬが、評者は加藤氏を応援することを宣言したい。
さて、本書の見せ場は研究の最前線を記した後半である。
鬱病も他の病気と同様に、原因の究明や治療法の確立には統計的なデータの裏付けが必要である。
最近の遺伝子解析技術の進歩は、統計的分析により原因遺伝子を特定することを可能にし、多くの病気で成果をあげ始めている。鬱病より遺伝的な性格の強い双極性障害では、統計的に有意な原因遺伝子が見つかったそうだ。
しかし、これらの遺伝子は病気の一部を説明するのみで、更なる大規模研究が必要らしい。ストレスも関係する鬱病は、さらに困難なようだ。
しかし、数百データに基く研究結果を、数千データに基く研究結果が否定するさまは、鬱病の研究も極めて慎重に科学的に行われている事を示している。
医者にしろ薬にしろ、精神科は何かとうさん臭い目で見られるが、素人の精神論や民間療法にはこれだけのデータの裏付けはなかろう。精神科の医療はもう少し信頼されても良いと思う。
また、分子イメージングや動物実験などにより鬱病のメカニズムの解明はかなり進んでいるようだ。ストレスが脳に与える影響も分かってきている。後は人間の死後脳の観察で理論を確定させて行くことが重要で、脳バンクの必要性を訴えて本書は終了する。
余談だが、最後の方に母校の話が出てくる。日本の精神医学を遅延させた元凶のようで深刻な問題なのだが、ネタとしては面白い。今まで知らなかったのは惜しい。少々授業をサボり過ぎたかと反省した。
うつ病はどこまで解明されたか本書は、数多ある「うつ病」に関する本なのであるが、対処法や症状解説、あるいは治療法などに主眼を置いたものではない。近年の脳科学の進歩が、どこまでうつ病の発病のメカニズムに迫っているか、ということの解説が主題である。
なぜ病院によって診断がちがうことが多いのか、なぜ治療が迷走することがあるのか、「気分変調症」と「パーソナリティー障害」はどのようにして見分けるのか・・・。臨床における精神障害の診断の難しさと、病理的な解明の困難さが浮き彫りにされている。
日本の脳科学の基礎研究は、世界のトップクラスなのだそうだ。うつ病の全容解明のためにも、著者の提唱するブレインバンクがいち早く設立されてほしいものだ。
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