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クチコミ情報
常識を覆せ! アイヌは哀れな被害者でも劣等民族でもない。大和朝廷成立後、逐次圧迫されて北海道以北に逐われ、特に明治以降は日本政府の植民政策により言葉も文化も奪われた、文字を持たない哀れな滅亡寸前の弱小先住民族・・・著者が指摘するとおり、確かにこんなアイヌ観(一種の贖罪感でもある)が、我々和人の間で罷り通っている。いや、そもそもアイヌという存在に無関心な人のほうが、この北海道ですら今では圧倒的多数だろう。
私は北海道移民3世で、物心ついたときから現在まで常に回りにはアイヌの知人がおり、アイヌは見知らぬ他者では決してない。 僅かだがアイヌ語を教わったこともある。 しかし、先日、家人(本州出身)から「アイヌは狩猟採集だけで、農耕は全くしていなかったのですか?」と質問されて、精確な知識を持ち合わせていないことに気がついた。 そこで、アイヌの経済史を少し調べてみようと手にとったのが本書である。(農耕についても、本書に記述されている)
本書は、壮大な時間軸で、アイヌを主体に据え、和人と北方モンゴロイド諸民族(オホーツク文化)ひいては支那・ロシアとアイヌとの関係史を詳述したものである。 著者は考古学の研究者で、現在、北海道の公立博物館学芸員であるから、当然、考古学的手法で記されているのだが、私にとってはより関心のある人類学的および言語学的考察もされていて、大変興味深い。
良くあるプロパガンダ本でもなく、淡々と第三者的に書かれた本でもない。こういう本を一口に良書という。
少なくとも北海道民には全員、読んで欲しい素晴らしい本である。
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