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クチコミ情報
方法意識の強さイスラーム圏の〈セックス〉の世界。たんに旅行しているだけではう
かがい知ることができないのはもちろんのこと、メディアや研究者た
ちも伝えてこなかったテーマである。
16編はどれもショッキングなエピソードでつづられている。そして
いずれも美しい物語だ。過酷な境遇に直面している人たちがほとんど
だが、どんなときにも、ちっぽけかもしれないが「誇り」を失わない
人々の姿を見つめている。
とりわけ、「婆」「兄弟の秘め事」「死海の占い師」「堕天使」「問
わず語り」にひかれた。
重くて暗い現実を、重く暗く描くのは、おそらくさほど難しくないか
もしれない。だが、それだけでは読者には届かない。というより、読
者は容易なことでは読み切ってくれない。いくら重要なことが書いて
あっても、読まれなければ意味はない。方法意識の弱い書き手は、い
くら社会的名声を獲得しているものであろうと、しょせん二流ライ
ターでしかないと、わたしは思っている。
石井さんの『神の棄てた裸体』は、重くて暗い現実を、どんな状況に
あっても奪われない人々の核を見つめることによって、美しい物語に
変えていっている。著者の伝えたいことは、確実に読者に届いたので
はないか。
ただこれをノンフィクションと呼んでいいものか、判断に迷う。
1編1編の取材はヘビーなものばかりだ。ひとつの取材を終えるだけ
で、肉体的、物理的にはもちろんのこと、何よりも精神的な面で、著
者はボロボロになってしまったのではないのか。たった半年でこれだ
けの取材をやり遂げることができたとはちょっと信じられない。
ある程度の事実の骨格の上に、構築されたフィクションではないかと
いう印象を持った。これは著者の石井さんを貶めるつもりで言ってい
るのではないのだが。
言葉がない「絶対貧困」から他の著作に興味を持ち、この本を読んだのだが自分が持っているどんな言葉も意味が無く力がないと思い知らされた。とりわけダッカの路上で売春する年端もいかない子供達の前では、「先進国」で生活している自分がなにを言えるだろう。助けるとか救うとかとてもおこまがしくて言えない。哲学や芸術やその他諸々が意味を失っていく。「ごめんなさい」。それしか言えない。いつからこんな事になってしまったのだろう。昔からある世界の一つの風景なのだろうか?「ごめんなさい」。「何を言ってるの?おかしなおばさん、それより抱っこして」ってあの子達は言うんだろうか。
間違いなく面白い本ではあるのだが・・イスラーム世界の「性」という目の付けどころがいいし、取り上げられている事象も文章も魅力的。面白く読んだことは間違いないのだが、登場する女性たちの語り口にどうしても「日本人ぽさ」のようなものを感じてしまって、読み進めていくうちに距離感を感じてしまった。書き手の立ち位置に対する違和感というほどのことでもないけれど・・・。
この読後感は...イスラーム圏各地の底辺社会に潜入した作者が、ノンフィクション
と文学作品の境をギリギリ縫ってまとめあげた力作。地理的にカバー
する領域が極めて広いこと、同時に、人々との接触の度合いが(その
まま受け止めるのであれば)極めて深いことに驚かされる。
これだけの取材を積み重ねた筆者の努力には敬意を表するが、言葉の
問題などもある中で、どこまで本当にやりとりされた内容なのだろう?
その疑問が最後まで脳裏を離れることはない。
短編1話、次々に完結していく物語を読み継いでいくと、この読後感
はなんなんだろう、そう、ひょっとすると、4コマ漫画に似ているの
かもしれない。内容が悲惨なのにも関わらず、読後感があっさりして
いるのはそのせいなのか。
アジアを旅すると見えてくる影ではあるが・・・ 旅をしていて、物乞いに小銭を差し出すか差し出さないか?
意見の分かれるところだが、障がい者や子どもにあげたその小銭を、元締めが集めていく様が想像できる場合には、私は渡さないようにしている。 が、罪悪感は残り、貧困を目の当たりにして、筆者のように無力感に囚われながら旅を続けるしかないのだと、自分を納得させてきた。
そのせめてもの罪滅ぼしに、売春屋に売られた子を家に戻したり、職業訓練をしているNGOに寄付をして、自分の罪悪感を昇華させたような気になる事もある。
筆者もその他の旅人も、同様な感情に共感してくれるのではないか?とも思う。
教えに則った風習で、女が家に閉じ込められ、異教徒との付き合いや同性愛などが名誉殺人にまで発展せずとも、タブーとされる地域はイスラムだけではない。
それを正しいとか変えるべきだとするのかは、その地域の人々に判断を委ねるしかないのだ。
そう納得させようとしてみても、悲しい境遇でしか生きていけない人が多いのは事実であり、少数民族や立場の弱い人を踏みつける社会に暮らす日本人もそれを自覚し、悲しみを減らすためには、一人でも改めようと多くの人が気付き行動するしかない。
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