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イスラーム

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イスラーム

イスラームは、アラビア語のاسلام (islām)を長母音に忠実にカタカナに音写した語である。
この語は、全知全能の唯一神 唯一絶対神(アラビア語でアッラーフ)に絶対的に帰依する事、唯一神に完全・完璧に服従することを意味する。この帰依・服従のこと自体が一般に言われる「イスラム教」のことである。
イスラームの啓典であるクルアーン(コーラン)やムスリム(イスラム教徒)の従うべき規範を定めたシャリーア(イスラム法)をひも解けば理解されるように、イスラームはその定めにのっとって行うべき行為として単に宗教上の信仰生活のみを要求しているのではなく、イスラム国家 イスラーム国家の政治のあり方、ムスリム間やムスリムと異教徒の間の社会関係にわたるすべてを定めている。このことから、イスラームとは、単なる宗教の枠組みに留まらない、ムスリムの信仰と社会生活のすべての側面を規程する文明の体系である、と説明される。

イスラーム祈りの声:コーラン朗誦と神秘主義の旋回舞踊 [DVD]

キャーニ・カラジャ 
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イスラーム神秘主義の音楽、カッワーリーの真髄 [DVD]

メヘル・アリー シェール・アリー 
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永久保存版!崇高で恍惚の世界カッワーリー。

毎年恒例の<東京の夏>音楽祭。
クラシックのほか、世界各国の民族音楽の演奏家たちを呼ぶことでも有名です。
過去の貴重な公演から厳選したDVDが遂にリリースされました。
まさかこんなDVDが発売されるとは!!
この作品はヌスラット・ファテ・アリ・ハーンで知られている、
パキスタンの宗教音楽カッワーリーの公演を記録したもの。
この公演はスーフィー聖者の命日祭を祝う習慣「ウルス」を舞台上で再現します。
こういった宗教儀式が日本にいながら観られるということは本当に貴重で、
そのうえこれがDVDとして記録されることも、世界では稀なことです。
観客も起立して祭司を迎え、息を呑むほどの厳粛なムードで始まるこの儀式は、
演奏家・唱和者たちが生み出す歌と空気によって次第に高揚し、歓喜と恍惚に包まれます。
トランス状態に陥ってしまうほどの迫力は、民族音楽ファンのみならず、
テクノやトランスといった音楽に興味を持つ人にもお薦めします。



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文明の道 第6集 イスラーム・大いなる知恵の都 [VHS]

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イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)

井筒 俊彦 
イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)
定価:¥ 630
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イスラムを知ろう。ムスリムを知ろう。

 イスラム文化圏とそれを精神的に支えているイスラム思想は一体何ぞや?・・・と短時間で要点を捉えて理解したい方にとっては本書は最高のテキストになるかと思います。また、色メガネなしで彼らムスリム達と友好を結びたい方にとっても良き指南書となると思います。
 一口に「イスラム思想」と言っても、全く別個の宗教から生まれた訳ではなく土台にユダヤ思想がある事は確かな様です。(例1、商業取引における契約の重要性をはっきり意識した宗教である。2、存在に聖なる領域と俗なる領域とを原則として区別しない、生活の全部が宗教であると見なす。3、偶像崇拝を徹底的に排除する。)・・・これらの教えはユダヤの聖典「タルムード」にも見られる。
 本書には「旧約聖書」に出て来る神「ヤハゥエ」も、「コーラン」で説かれる「アッラー」もイスラームの考えによれば全く同じ1つの神であると書かれていました。イスラム教の教祖ムハンマドはヘブライ人が神と契約を結んでおきながら、背き去った(偶像崇拝をして、そのため国が滅亡した?)その同じ契約を新たに神と結び直して、今度こそそれを完全に履行して「神を畏れる」?人々を再びこの地上に出現させる・・・のが宗教的使命であると確信していたそうです。
 しかし、現在のイスラム社会は「スンニー派の共同体的イスラーム」、「シーア派的イスラーム」、「スーフィズム(イスラム神秘主義者)」の3者がひしめき合い、お互い一歩も譲らないそうです。・・・私個人的にはスーフィズムのファンですが(笑)


転機をむかえている?イスラーム

唯一神を絶対とする考えと態度は、多神教あるいは無神教といわれる日本人にはなかなか理解できない。対極にあるイスラーム世界の行動原理をかいま見れる良書である。

イスラームの考えは、我こそ絶対。イスラームは唯一絶対の「永遠の宗教」であり、神が色々な形で現れ、多くの「啓典の民(ユダヤ教、キリスト教、ゾロアスター教)」を成立させてきた。

 イスラーム共同体というものは、単にイスラーム教徒だけでできている
 共同体ではなくて、イスラーム教徒が一番上に立ち、その下に複数の
 イスラーム以外の宗教共同体を含みながら、一つの統一体として機能
 する大きな「啓典の民」の多層的構造体

イスラームは自分がてっぺん故、本来、改宗を強要しない寛容な宗教であり、キリスト教を庇護の下においた時代には、異教税のような金はとりつつも、信仰の自由を許したこともあるようだ。しかし、ユダヤ教については事情が違う。

イスラームは、イスラエルのユダヤ人を、神との契約を結びながら履行しなかった背信者と位置づける。あらたにその契約を神と結びなおし、今度こそそれを完全に履行し「神を怖れる(=信ずる)」人々を再び地上に出現させる。それはイスラームの使命である。

 「イスラエルの子らよ、わし(神)がかつて汝らに施してやった恩恵を憶い起すがよい。
  わしとの契約を履行せよ。さすればわしもまた汝らとの契約を履行しよう。(コーラン)」

イスラームの大原則は「聖俗不分」であり、炊事洗濯からお祈りまで、すべて行動は神(コーラン)の思し召しのままに。パレスチナ(イスラーム)がイスラエルを攻撃するは必然、となってしまう。

一方のイスラエルは、オバマ政権の誕生に配慮しパレスチナへの侵攻は休止したものの、総選挙で右派・宗教勢力が伸張し、イスラームへの対決姿勢を強めている。

クリントン米国務長官は就任後初の外遊先で日本を訪問した際「イスラーム世界とは、テロリストと峻別して意見を交換していく必要がある」と述べたようだ。イスラームにとっても、如何に多様な現実世界と信仰のバランスをとっていくかは今日的な課題であり、大きな転機をむかえていると思う。

しかし、宗教だけでかくも根深い。
宗教と、民族と故郷と聖地とめぐるパレスチナとイスラエルの混乱は続きそうだ。


ごく大づかみに その全体像を見ておくこと

 イスラムは日本人にとって 遠くて遠い世界である。物理的にも遠いし 精神的にはさらに遠い気がする。特に 9.11テロ以降、その印象は強くなったのではないか。
 但し イスラム教徒は世界人口の20%を超えていることも現実だ。もし僕らが今後世界を理解したい、もしくは せめて世界を考えたいと思うなら イスラムへのある程度の理解は不可欠だろう。
 名著の誉れ高い本書は イスラムの入門にはベストであると良く言われる。ようやく読む機会を得て その評判がよく分かった。

 大川周明が 著者の井筒俊彦を支援していたと佐藤優がどこかで書いていた。大川周明は東京裁判の狂態で有名な方だが 戦前からイスラムに注目し、戦後にコーランを翻訳したことでも知られている。大川自身も 佐藤優の仕事で少しづつ再評価されつつあると思うが あの時代にイスラムに注目していた大川と それに続いた井筒はやはり慧眼であったと 今 思う。

 「文明の衝突」時代を迎えた現代、少なくとも日本人がイスラムに関して透徹な視点を持っているとは思えない。そんな中で 本作は 今 重要になってきた一冊だと思う。

 非常に分かり易い説明だ。井筒は こう言っている。

「事態をあまり単純化して叙述することは 勿論 学問的には大変危険なことではありますが しかしイスラーム文化なるものの本質的性格を根底的に理解するためには 先ず第一歩として ごく大づかみに全体像を見ておくことも大切ではないかと存じます」

 この言葉は そのまま今の僕らに そのまま当てはまる言葉だ。井筒が 学問者として「大変危険なこと」を冒すというRISKを背負って 読者にイスラムの全体像を見せたいという迫力が 本書の大きな魅力だ。


イスラム理解には欠かせない良著

昨今は経済においても、イスラム金融やファンドなどイスラムに関わるようなニュースが
少なくないが、本書は25年以上前に日本の経済人に対してイスラム文化について著者が講演
を行った内容である。

イスラムの始まりから、変遷までを背景を含めて丁寧且つわかりやすく解説しているため、
これまで全くイスラムに興味がなかった人でも十分に理解しやすいものとなっている。
同じ神を崇めるユダヤ教やキリスト教との違い、聖俗同一、イスラム法などについての根っこ
の部分を知ることができるし、また昨今のイラク情勢の中でも「スンニー派」と「シーア派」
の対立などが話題になったが、本書を読めばその事象の本質にある考え方の違いを知ることも
できる。

グローバルな視点が求められる中、イスラムに対する理解は今後当然避けられない。
イスラムを知るための第一歩として本書は欠かせないものとなるのではないだろうか。
25年以上前のものとはいえ、その充実した内容は決して色褪せていない。


イスラームの基本を理解するのに良書。

講演をまとめたものなので、口語調で文章が構成されているのだが、著者の丁寧で論理的な喋り方のため、非常によみ易く、分り易い。大袈裟で余計な修辞も殆どなく、しかし大事なところは「ここは大事です」と書いてあるので、読者は一旦立ち止まって頭の中を整理する事が出来る。著者の長年の研究過程で練り上げられた論理と言葉が随所にみられ、初学者にもわかりやすい表現と論理展開で書かれている。良書である。


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神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く

石井 光太 
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方法意識の強さ

イスラーム圏の〈セックス〉の世界。たんに旅行しているだけではう
かがい知ることができないのはもちろんのこと、メディアや研究者た
ちも伝えてこなかったテーマである。

16編はどれもショッキングなエピソードでつづられている。そして
いずれも美しい物語だ。過酷な境遇に直面している人たちがほとんど
だが、どんなときにも、ちっぽけかもしれないが「誇り」を失わない
人々の姿を見つめている。

とりわけ、「婆」「兄弟の秘め事」「死海の占い師」「堕天使」「問
わず語り」にひかれた。

重くて暗い現実を、重く暗く描くのは、おそらくさほど難しくないか
もしれない。だが、それだけでは読者には届かない。というより、読
者は容易なことでは読み切ってくれない。いくら重要なことが書いて
あっても、読まれなければ意味はない。方法意識の弱い書き手は、い
くら社会的名声を獲得しているものであろうと、しょせん二流ライ
ターでしかないと、わたしは思っている。

石井さんの『神の棄てた裸体』は、重くて暗い現実を、どんな状況に
あっても奪われない人々の核を見つめることによって、美しい物語に
変えていっている。著者の伝えたいことは、確実に読者に届いたので
はないか。

ただこれをノンフィクションと呼んでいいものか、判断に迷う。

1編1編の取材はヘビーなものばかりだ。ひとつの取材を終えるだけ
で、肉体的、物理的にはもちろんのこと、何よりも精神的な面で、著
者はボロボロになってしまったのではないのか。たった半年でこれだ
けの取材をやり遂げることができたとはちょっと信じられない。

ある程度の事実の骨格の上に、構築されたフィクションではないかと
いう印象を持った。これは著者の石井さんを貶めるつもりで言ってい
るのではないのだが。


言葉がない

「絶対貧困」から他の著作に興味を持ち、この本を読んだのだが自分が持っているどんな言葉も意味が無く力がないと思い知らされた。とりわけダッカの路上で売春する年端もいかない子供達の前では、「先進国」で生活している自分がなにを言えるだろう。助けるとか救うとかとてもおこまがしくて言えない。哲学や芸術やその他諸々が意味を失っていく。「ごめんなさい」。それしか言えない。いつからこんな事になってしまったのだろう。昔からある世界の一つの風景なのだろうか?「ごめんなさい」。「何を言ってるの?おかしなおばさん、それより抱っこして」ってあの子達は言うんだろうか。

間違いなく面白い本ではあるのだが・・

イスラーム世界の「性」という目の付けどころがいいし、取り上げられている事象も文章も魅力的。面白く読んだことは間違いないのだが、登場する女性たちの語り口にどうしても「日本人ぽさ」のようなものを感じてしまって、読み進めていくうちに距離感を感じてしまった。書き手の立ち位置に対する違和感というほどのことでもないけれど・・・。

この読後感は...

イスラーム圏各地の底辺社会に潜入した作者が、ノンフィクション
と文学作品の境をギリギリ縫ってまとめあげた力作。地理的にカバー
する領域が極めて広いこと、同時に、人々との接触の度合いが(その
まま受け止めるのであれば)極めて深いことに驚かされる。

これだけの取材を積み重ねた筆者の努力には敬意を表するが、言葉の
問題などもある中で、どこまで本当にやりとりされた内容なのだろう?
その疑問が最後まで脳裏を離れることはない。

短編1話、次々に完結していく物語を読み継いでいくと、この読後感
はなんなんだろう、そう、ひょっとすると、4コマ漫画に似ているの
かもしれない。内容が悲惨なのにも関わらず、読後感があっさりして
いるのはそのせいなのか。



アジアを旅すると見えてくる影ではあるが・・・

 旅をしていて、物乞いに小銭を差し出すか差し出さないか? 
 意見の分かれるところだが、障がい者や子どもにあげたその小銭を、元締めが集めていく様が想像できる場合には、私は渡さないようにしている。   が、罪悪感は残り、貧困を目の当たりにして、筆者のように無力感に囚われながら旅を続けるしかないのだと、自分を納得させてきた。
 そのせめてもの罪滅ぼしに、売春屋に売られた子を家に戻したり、職業訓練をしているNGOに寄付をして、自分の罪悪感を昇華させたような気になる事もある。
 筆者もその他の旅人も、同様な感情に共感してくれるのではないか?とも思う。

 教えに則った風習で、女が家に閉じ込められ、異教徒との付き合いや同性愛などが名誉殺人にまで発展せずとも、タブーとされる地域はイスラムだけではない。
 それを正しいとか変えるべきだとするのかは、その地域の人々に判断を委ねるしかないのだ。
 そう納得させようとしてみても、悲しい境遇でしか生きていけない人が多いのは事実であり、少数民族や立場の弱い人を踏みつける社会に暮らす日本人もそれを自覚し、悲しみを減らすためには、一人でも改めようと多くの人が気付き行動するしかない。



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イスラームの日常世界 (岩波新書)

片倉 もとこ 
イスラームの日常世界 (岩波新書)
定価:¥ 777
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イスラームの日常

書名通り、イスラームの日常世界について詳しく書かれています。
イスラームの世界では、宗教がほどよい感じに日常生活に影響を及ぼしているようです。
いわゆる「イスラーム教(ちなみにイスラームという言葉自体に教えという意味が含まれているので、イスラーム教という言い方は正しくはないそうです)」についてではなく、その宗教の下で人々がどんな生活をしているのかについて知りたい人にオススメです。

しかし本書にはイスラームの日常世界の「負の側面」がほとんど書かれていません。
イスラームの人々に日々生じる「困難」についても知りたかったなというのが正直な感想ですね。


具体的なイメージを持って読めました。

イスラム社会が少し身近になった気がします。それにしても、著者はなぜムスリムにならず、異教徒のままなのか不思議に思いました。もしかするとクリスチャンなのかもしれません。

いろいろな女性の描写がありましたが、その多くはイスラム圏の社会のほんの上澄みの人たちで、例外的な金持ちの娘や奥さん。だからこそ300キロも車を飛ばして医者に通ったり、何度も結婚、離婚ができるのです。「これがイスラム文化。それがイスラム社会では普通」と誤解するような余地を残さず、ちゃんとお金の恩恵による、お金持ちの例、ということを書いてほしかったです。

また、国名や地域名がはっきりしないところが多かったように思います。

でも、全体としてはいい本です。



多くの読者に新たな視点を提示するだろう

宗教至上主義や女性差別など、否定的なイメージで日本に伝えられがちなイスラムの社会や文化について、イスラム側の解釈(だと筆者が解釈したもの)が筆者の体験を踏まえて具体的に示されている。たしかに、「ブラックは美しい、という言葉通りの感じ」という表現に極まれる叙情的な記述が鼻につくところはある。しかし本書を読んで一方的にイスラムを礼賛し西洋を否定するようになる読者がいるとすれば、それはよほど単一の視点からしかものを考えることのできない人、あるいはそういう思考様式しか想像できない人だろう。巻末近くで筆者が述べている「ひとまず、むこうの側に立ってみる。それは言葉でいうほど安易ではない」ということは、十分本書から伝わってくる。


西洋を斬り捨て、イスラムを一方的・一面的に礼賛する護教論の典型

一般的に日本のイスラム関係の著書は、イスラム世界を無条件に礼賛し、返す刀で非イスラム世界を斬ると言う類が殆どです。この本はその愚本の典型。この手の護教論者は往々にして、「異なる価値観を認め、対話と共存の道を」などとお題目のように唱えます。しかし、イスラム世界を普遍的と決め付けて、非イスラム世界のみを一方的にあげつらうやり方は「対話」ではなく、反発や亀裂を呼び起こすものでしかありません。
護教論者に共通する「反西洋」姿勢は、本書でも終始貫かれています。弱者切捨てやら自然破壊やらと西洋を侮辱する一方、イスラム世界を自然や弱者に優しい社会と礼賛する。批判される諸問題は、全て欧米の偏見と切り捨てる。女性に関する記述は詭弁の典型ですが、イスラム世界停滞の主要因として、女性の社会進出の遅れと識字率の低さが指摘され続けているのは紛れもない事実です。名誉殺人で犠牲になる年間数千人のムスリム女性のことも、当然本書では記されません。少数派の差別も、「区別」などと強弁する。イランが心のたっぷりある社会などというのはお笑いです。著者がインタビューした女性は、宗教省の役人。このような人物の話を元に多文化社会云々と唱える姿勢は、研究者として不誠実極まりない。著者は冒頭で客観的姿勢を放棄しているので、偏った思い入れが延々続くのは無理ないですが、共産圏を礼賛した進歩的文化人同様、予め客観性を放棄すれば、事実の歪曲や一面的な解釈がいくらでも可能になるようです。
と言う訳で本書の内容は護教論の域を少しも抜け出ず、終始極めて雑ですが、断食や祈りの記述の一部は、在日ムスリムと交流する際に僅かながら参考になったので、その点のみ評価します。ただ重要なのは、他者に寛容になり、異なる文化や価値観を尊重すべきなのが、私たち非イスラム側の人間だけなのかと言うことなのですが。


イスラーム入門案内書

 未だ日本人の多くは「イスラーム」を誤解している。連日のように取り沙汰されるテロ行為は、イスラームを暴力的で粗野な存在へと看過させる。しかしそれは極一部の原理主義者が行っていることで、真の「イスラーム」の姿では決してない。本書はそんな非日常的側面からではなく、より一般的側面からアプローチしたイスラーム入門書である。

 イスラームの文化は日本人にも受け入れやすい一面を持つ。子どもたちにお年玉を与える伝統文化や、出会いを大事にする一期一会といった道徳的文化である。この他にも西洋的価値観とは一線を画し、独自に培ったイスラーム的価値観が仔細に語られている。著者が言及しているように価値観は文化の数だけ、また人の数だけ存在する。新しい価値観を目の当たりにした時、驚く反面、また好奇心をそそられる。そんな出会いをさせてくれる一著だ。

 新書という限られたスペースの中で、見事に草の根レベルのイスラーム社会を描き出している点が大変興味深かった。入門書であると同時に、初めてイスラーム圏へ旅行する際のガイドブックとしても大いに役立つはずである。イスラームの日常を知るには打って付けの逸品だ。


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PC・家電・CD・DVD  |  2009/11/26