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コインロッカーベイビーズ

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コインロッカー・ベイビーズ (下) (講談社文庫)

村上 龍 
コインロッカー・ベイビーズ (下) (講談社文庫)
定価:¥ 490
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破壊と破滅への哀切な疾走

自らを放擲した社会への復讐を果たす為にキクはダチュラを求めてアネモネらと島へ渡り、自らへの先天的な違和感に葛藤したハシは錯乱する。現代版ハムレットとでも言うべき悲劇の完結編!
方や棒高跳び選手、方や歌手として衆目を一身に受けながら、徐々にそれを喪失してゆく二人の姿は、あたかも元通りにコインロッカーへと回帰してゆくかの様な皮肉な風情を湛えている。コインロッカーより生まれし二人は、社会という巨大なコインロッカーの呪縛から脱け出すことはできなかったのであろうか?
積年の憎悪とともにダチュラを放つキクと、彷徨の末に遂に見つけた母の総てを赦すハシ。カタストロフィーに満ちたラストは極めてショッキングだが、同時に、耽美さすら感じさせる。まさに、刺激と余韻こそが作家・村上龍の神髄だと言えよう。
「限りなく」で退廃を、「海の向こうで」で空虚を描いた龍。本作を敢えて形容するなら、まさに魂といったところではないだろうか。
三十年も前の作品だとは思えない色褪せぬ瑞々しさ。そして、歯の根が合わない殺伐さ。この二つに裏打ちされた壮絶なリアリティを輝かせるこの無上の一作が、これから先も村上文学の頂点であり続けて欲しいと、私は願ってやまない。


これを超えることはたぶんできない。

龍さんのその後の作家としての原点です。
これをモチーフにふくらませて何作も書いていますが、
これを超えることはおそらくできない。
これと、『69』を読めば龍さんは修了です。
これを超える一冊をオイラはいつか読みたい。


心臓の音に見えるは青い海。

東京というのは、
暴力的なエネルギーに満ち溢れていて
近代的なイメージの反面、
今にも崩れてしまうんじゃないかという危惧も抱かされる。
きっとそれは、
東京という場所に住んでいる人々の影響も大きいのだろうけど。

村上龍の初期作にして、
とてつもない問題的傑作。
彼が描く東京とそこに住む人々の情景は、
何とも現代的で脆くて尖ってて壊れやすい。


キクとハシの物語を軸に
美少女アネモネやその他大勢を巻き込んで
東京というとてつもない怪物にダチュラの砲弾をぶちこんでやる。

心臓の音が聞こえるかい?
僕らは<コインロッカー・ベイビーズ>だ。


今だからこそ読んで欲しい小説

キクとハシはどちらも能動的な存在で、自分の中の衝動などを満たす
ためには自分で動き、また世界とそれぞれの形で関わっていくのが
最近の小説によくある無気力的な人間像と一線を画しているように
思えます。
ラストはそれまでの緻密さに比べ、比喩的な印象を与えますが、それに
より作品が説得力を失うと言うことはなく、寧ろ強まっているように
思えます。
単行本のほうでは、あとがき(?)として村上龍氏の言葉が収録されて
いるのでそちらを読むと、より楽しめると思います。


圧倒的なエンディング

一つのキーワードとともに紐解かれる生きていくことの意味。
早く結末が知りたくて、どんどん読んでしまいました。
ありえない境遇の主人公二人、なぜかかっこよくて自分自身に置き換えて読んでしまいました。
なぜか現実感を感じてしまう村上龍の描写能力に脱帽です。



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コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)

村上 龍 
コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)
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自閉と崩壊

自閉と崩壊をテーマとした小説。
蓮実重彦が「双子の冒険」のひとつとして総括した作品。
日本社会、日本文学の自閉構造を内破する形で、三島以降の高度資本主義化した日本社会を打った作品なのだと思います。冒頭の誕生の描写とイメージは今なお、今こそ鮮烈といえるかもしれません。後半の展開は漫画的です。村上龍の作品です。


熱狂の世界

 最初の方だけ読むと、「これは松本大洋の「鉄コン筋クリート」だ!」なんて思ったりします。兄弟にも似た二人の男の子、海、宗教といったキーワードがピタリとはまっているからです。「鉄コン」の方では、二人は成長せずにハッピーエンドを迎えますが、本作はさにあらず。ある時は華麗、ある時は醜悪、ある時は凶暴な世界に囲まれ、この二人、それにアネモネなどは激しい闘争をくりひろげます。
 構成も実にメリハリがあると同時に用意周到。音楽、薬物、刑務所、航海技術などの取材もよくなされているようです。その上で、文章の熱狂というものを忘れない。本作の激しさは、石川淳の土壌に吉増剛造の文の花が咲いたというような感じがします。
 こういう激越でグロテスクな表現には人の好きずきというものがあるでしょう。読みたくなければ読まなくてもいい。でも私は少なくとも面白いと思いました。もう30年近く前に発表されたのに古い感じがしないのは、作者の奮闘のせいか、作品に予言性があるからか、それとも今の日本が30年前と大して変わっていないからでしょうか。


ぐいぐいと読者を引っぱっていく上巻の圧倒的な迫力

 20代の時に読んだ橋本治の「桃尻娘」(高校生編)と本作には衝撃をうけました。特に本作の上下巻を読み終えたあとの3日間ぐらいは熱にうかされたような気分になったことを今でも覚えています。
 これでもかと読者を村上龍の小説世界に、まるで投げ込まれリアリティを持った小説世界から、一気に読ませてしまう力がありました。それは残念ながら上巻だけで、下巻からはその迫力が失われていきます。けれど、下巻のラストで、ハシが口にするセリフにはリアリティがありました。
 蜷川幸雄がRCサクセションの単行本「愛しあってるかい?」に記事が抜粋されていて、蜷川氏は、まだ20代後半の新生RCになってからの忌野清志郎にハシを演じさせたいとの文章が掲載されていました。


好きな人は好きだろう

これが好きという人の気持ちは何となく分かる。
浮かんでくる映像の彩度が高く、溢れ出すエネルギーとスピードを感じる。太陽のギラギラがまぶしい感じもする。

しかし、なんかくどい。とってつけたような、鼻につくような言い回し。MEは後期の村上龍作品は読んだことないけれど、なんか若い作品なのだなというのがヒシヒシと伝わって来て、その若さから力づくの勢いで書き上げた、という感じ。しかし、この長編、構成力、世界観、センスを感じないわけにはいかない。センス。


気持良い小説じゃないが、衝撃的な何かがある。


村上龍の代表作の一つ。
無差別殺人や若者が麻薬がらみで逮捕される事件が頻発すると、コインロッカー・ベイビーズを思い出す。

コインロッカー・ベイビーズは中学生の頃に図書室で読みトラウマ級の衝撃を受けた。
コインロッカーに産み落とされた主人公達は満たされない大人になった。
生誕にまつわる負のベクトルが心に穴をあけ、それは漠然と破壊の衝動へとつながっていく。
この世界の発する禍々しさを感じながら読んでみたら良いのでは。

二人はある意味、格差社会の申し子のような存在である。
今読み直しても「コインロッカー・ベイビーズ」はやっぱ強烈。
反面教師的に、「要は心の持ちようだ」と実感できる小説かもしれない。



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新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

村上 龍 
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酷い解説

新装版になって、上下巻に亘っていたのが一冊になったので、扱いやすくなった。

作品は傑作だと思う。

だが、解説と銘打たれた箇所で、金原ひとみが色々書いているのが、酷い。
内容どうこうではなく、「ふさわしくない」のだ。

金原は、人の小説の解説欄を使って、自分語りをしている。
自分の本の中でなら許されるような、読書感想的に書くような中身を垂れ流している。

初めてこの本を手に取る読書もいる。
カネハラヒトミなんか知らなくて、興味もない、という人もいる。
そういう人のために、この作品が出てきたときの社会状況、
作品そのものの構造や構成、作家ならではのフォーカスと本質の抽出・・。
「解説」というのは、そういうものがあってこそのものだろう。
飽くまで主役は「作品」だ。

そういう客観的な視点を持てない、自意識と承認欲求だけが
膨らんだ幼稚な「サッカさん」に解説を任せる出版社も、
この原稿でOKを出した編集者も、何か勘違いしているのではないか?

この本を手に取る読者は、村上龍に関心があるのであって、
金原ひとみに関心があるわけではない。
「金原ひとみにとっての『コインロッカー・ベイビーズ』」に
一体、どれだけの人が興味を持つのだろうか?

むしろ「カネハラヒトミってきちんとした文芸評論もできるんだ」ということが
わかった方が、本人にとってもいいと思う。

解説は旧版のほうがよかった。
ということで、星4つ。



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