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クチコミ情報
大変よい小説です愛することが人にとって必然の行為であり、ごく自然にたやすくできること。また困難をともなって深く傷つくことでもあるという、人と愛のいろんな関係について語っているとおもいます。
描写に音楽や文学の固有名詞をからめていて、それを知らない人にはわかりづらく感じるとおもいますが、そんな知識はまったく必要ないとおもいます。素直に日本語を感じとれば、この作品のよさを理解できるとおもいます。
ただ、そういった表現の多さが、この作品の価値を理解することを妨げているとおもいます。
また冗談めかした表現も多く、それがこの小説を読みやすくしているとおもいますが、伝えたいことをボカしてしまっているとおもいます。
80年代自伝小説この作品が書き下ろされたのは1987年。物語は、名作であればあるほど、どんなに年月を経ても長く読みつがれていくものだと思う。同時に物語は、その作品が生まれた時代の空気を常に運んでいるものだと思う。その意味でも、この小説は80年代の様相を強く身にまとっている。軽い。甘い。流れている。作者はあえてこの空気を書きたかったのかと思うほど、深みがないように感じる。
当時、ここまで如実に「僕」という男が直面している問題の重さをすりぬけ、人間のあいまいさ・性行動の辟易さを描写した作品はあまりなかったのではないだろうか。それだけに、この主人公と同じ年代の若者の気持ちをつかんだ・・結果、ベストセラーとなったのではないかと今になって振り返る。
あの時代を過ぎ、現在改めて読んでも、やはり人物個々が抱える状況の深刻さと裏腹に、物語の深淵が見えないように感じた。
ハルキ小説・・・・非常に読みにくい(共感度の低い)作品のひとつです。
「僕」がよく分からない確かに、登場人物や情景の描写は上手い。レズの場面など大したものだ。それはそれで結構面白く、夢中で読ませる。しかし、どうも納得できないのは、主人公の青年が二人の女を並行に真面目に愛するということで、これは精神的に相当おかしいし、簡単に言えば無責任である。
「僕」を取り巻く登場人物については、それなりに詳しくよく分かるのだが、「僕」についてはその行動、特に女がらみの行動が殆ど理解できない。突然旅に出たり突発的な行動には出るのだが、説明不足で気持ちが分からない。最後の場面にもガッカリした。希望がないんだよね。
「こんなダメ男に入れ込んで一生を棒に振る馬鹿な女にはなりたくない」という、賢い女性の感想が聞こえてくるようだ。
ある思い出村上春樹の作品、その中で真面目に最後まで読みきった唯一の作品です。
それも最初は自分一人で、二回目は患者さんと一緒に。
淡々とした文体で、内容よりも主人公の感情の起伏の乏しさや、周囲への関心の希薄さ、対人関係への関わりの優しげで狡猾な拒絶、そんなところが一読目の印象でした。
そのあたりが生々しい感情の発露を前面に押し出す作品と異なり、長年の統合失調症で言語の解体化、ほとんど「はい」と「いいえ」しか話せない病状、を生じつつある重症の患者さんにも侵襲性が乏しいかもしれないと思い、一緒に少しづつ読むことにしました。
心配された性的表現、今日の目で見ればとても控え目なそれも、にやりと笑ってすらすらと読んでくれたのです。徐々に病状が改善し、少しづつですが語彙が増えていきました。
しかし、ある日突然治療は中止となりました。
身体疾患の悪化でその患者さん、急死されたのです。
彼のために良かったことだったのかどうか、いまだにわかりません。安易に標準的治療から外れることは、慎むべきだと思いますが。
この作品や、賢治の銀河鉄道、なぜかこの患者さんに好まれました。
静けさや悲しさも、文体というフィルターペーパーで侵襲性、破壊性をろ過されているからかもしれません。
しかしそれは、欠点でもあるでしょう、過酷で凄惨な今日を生きる人間にとっては。
ボンボニエール 〜 思い出の玉手箱 めくるめく長い月日を経て、自分の全身全霊をかけて愛し抜いた直子という女性の記憶の断片が、飛行機の中で流れていたビートルズの「ノルウェイの森」の曲と共にデ・ジャ・ヴとしてよみがえってくる・・・。
時代は学生運動の全盛期。大学生活を送っている主人公の「僕」は、自殺していった姉や恋人の死に打ちのめされ、まるで三途の川をさまよう亡霊のように生きている直子へストイックな愛を捧げる。
死という荒波に押し流されてしまいそうな彼女を苦しみの世界から連れ出して、二人で明るい生活を築いていきたいけれど、もがいてももがいても「僕」の心の中でずっと咲き続けている可憐ではかない直子という花の花びらが散っていくのを、どうすることもできずに遠くからじっと眺めているような焦燥感と絶望感。
そこはまるでノルウェイの森のように深くて暗い闇の世界。
そして最愛の人を失った哀しみを乗り越えて、新しいパートナーと愛を培って自分の居場所を見つけながら生き抜いていくというラストシーンは、ノルウェイの森という深い暗闇の中に差し込んだ一本の光の矢のように光り輝いていました。
私はこの本を読んでいる時もこのレビューを書いている時も、ずっと涙がとまりませんでした。
「人を愛するという事はどうしてこんなにも切なくて哀しいものなのでしょうね」
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