シャルロット・チャーチのベスト・アルバムです。彼女が若干12歳の時にリリースした『天使の歌声』は本国イギリスだけでなく、クラシックの声楽アルバムとして異例の全世界で300万枚以上売れました。それだけ魅力ある歌声だと言うことがよく分かります。
ボーイ・ソプラノは、どうしても硬質のイメージがありますが、少女のソプラノは、もう少し柔らかい響きを兼ね備えています。『天使の歌声』という形容がまさしくあたっている歌姫の誕生です。12歳の歌唱力とは到底思えないほど、ソプラノ歌手として成熟した完成度を持っていましたね。彼女の名声を確立したA・ロイド・ウェッバーの『レクィエム』から「ピエ・イェズ」を聴いてください。20年前、サラ・ブライトマンのソプラノを聴いて感動したあの歌声に勝るとも劣らない名唱だったと思います。透明感溢れる清楚な歌声は、この曲のイメージそのもののソプラノでした。
カール・オルフの『カルミナ・ブラーナ』から「私の揺れ動く秤の上で」のゆったりとした伸びやかな歌声に将来のソプラノ歌手としての大きな可能性を見出しました。オーケストラをバックに声が浮き出る高音は、特筆ものです。
有名なカッチーニの「天使のパン」の高音の美しさは、世界を魅了した理由がよく理解できる透明感あふれる歌唱でした。
フォーレの「タントゥム・エルゴ」は、国内初CD化のものでした。このような敬虔な宗教曲を歌うほうが、彼女の声質にあっているような気がします。
「ハバネラ」を選曲したのはまだ年齢的に早いかな、と一瞬思いましたが、ギター伴奏のアレンジがよく、よい雰囲気を出していました。メゾ・ソプラノの曲も十分歌えます。大人の歌手への脱皮を果たしつつありますね。
現在、19歳になったシャルロット・チャーチは、アメリカに渡り、ミュージカルや映画の世界に進出しています。将来どのような歌姫になるのでしょうか。本当に楽しみです。