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クチコミ情報
ユーモアに満ちた小説憂鬱症のペンギンと暮らす売れない短編小説家が、ひょんなことからまだ死んでない人の死亡記事を書きだしたことから、いろいろな出来事に巻き込まれていく話。
いくらロシアといってもペンギンをペットとして飼えるとは思わないが、そんなことが全然気にならないぐらい、不思議な物語。
淡々としていて、それでいて味のあるいい話。ロシアの話だから暗い話かと思ったら、むしろユーモアに満ちている。友人の死なんていう悲しい出来事も、あっさりと書かれている。でも主人公の心情がよく伝わってくる。とてもよかった。
南極の氷山のような世界私たちの生活は、たとえば南極の氷山のようなものらしい。
水面に出ている一角だけでは、水面下の様子はわからない。
冴えない小説家ヴィクトルの生活は、ペンギンの訪れが直接の原因ではないにしろ、なにかしらの引き金となって、気がつけばものの価値やら感覚やらがどうしようもないほどに変わってしまう。
別に急に世界が変わってしまったわけではなくて、水面下にはいつもあった知らない世界が、自分の日常に侵食してくるのだ。
家の鍵は破られる、大金と少女が置いていかれる、発砲事件が相次ぐ・・・
まるでへたくそな冗談のような世界が、つつましくも平穏だった日常をのっとっていく。
そこにまた、閑話休題といったようにペンギンの描写が入ってきて、いい感じに話の腰を折る。
なぜペンギンなのか。こればっかりはわからない。
緊迫した場面で、ペンギンがぺたぺたと歩いている光景を想像すると、なんだか気が抜けてがっくりとなる。
もろい世界の上に生活するのは、人間もペンギンも同じらしい。
温暖化の影響が出ないことを、切に祈る。
著者はペンギンを飼っていません。ソ連崩壊後のウクライナの首都キエフでのお話。憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家が、政財界の大物が死ぬ前に、「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を依頼される。ホンワカした雰囲気ながら、不条理に満ちた長編小説です。「大統領の最後の恋」もお勧めです。
なんてったってミーシャが可愛い! 皇帝ペンギンのミーシャとふたり(?)で暮らしている売れない短編作家ヴィクトルの奇妙な半年間の体験。ミステリーのようでもあるしユーモア小説のようでもあり、とても不思議な味わい。全世界で大ヒットしたのだそうで、さもありなんと思わせる内容です。
ソ連崩壊後のマフィアが暗躍し政治も不透明な時代のウクライナが舞台で、普通だったら暗鬱な話になりそうなものですが、なぜか全体に飄々とした空気が流れています。凍った湖でペンギンとピクニックする冬、長雨の続く早春、マロニエの花が咲く春といったキエフの四季の移り変わりもいきいきと描かれていて映画を見ているような気分になってきました。
キエフとペンギンはよく似合う?「売れない小説家とペンギン」
こんな取り合わせ自体が、ある意味反則。
とにかく冒頭からラストまで、魅力にあふれる小説だ。
主人公は、なんのためだかわからない原稿書きを依頼され、あまりよく知りもしない人の娘を預かり、そのベビーシッターに雇った女の子と、それとペンギンとの不思議な共同生活を送る。
その生活の描写は魅力的で、特にペンギンと女の子とのやりとりはほほえましい。
これだけでもこの小説の価値は十分じゃないかと思うのだが、その一方で主人公の知らないところで(読者にもよくわからない)奇妙な出来事が同時進行していく。
だが、ミステリアスではあるが、重苦しさはない。
従来のロシア文学のイメージとは、だいぶ違う。
ソ連崩壊後の先行き不透明な雰囲気の立ち込めるキエフと、無言で廊下をぺたぺたと徘徊するペンギンの取り合わせが、妙に印象的だ。
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