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リチャード・イエーツ

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ドン・キホーテ~ラ・マンチャの男 [VHS]

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文学としては良し、映画としては駄目。アメリカ版ボヴァリー夫人

 作中、パリに行こうと夫を誘うエイプリルを観て何かに似ていると感じました。そうだ!思い出した。ソラニンとボヴァリー夫人だ。
 そのシーンのエイプリルはまさに種田にバンドやってよと誘う芽衣子であり、ボヴァリーに困難な外科手術を勧めるボヴァリー夫人です。原作はソラニンよりずっと前ですが、ボヴァリー夫人を下敷きにしているのはかなり確かでしょう。展開が似ていて、日々の生活に退屈しそこから抜け出そうとするところなどはもちろん、浮気したり、ラストにいたってはほとんど同じといってもいいです。しかしボヴァリー夫人と本作では重要な部分でかなり異なっています。それは夫のフランクもまたボヴァリー夫人である、ということです。
 まずこの男は全く退屈な夫ボヴァリーとは別人です。ユーモアがありウィットに富み、色んな才覚にあふれています。ただ本当に自分がやりたいもの、生きがいが見つけられないだけです。そしてボヴァリー夫人と同じく日々に退屈しきっています。だからこそ最初、妻の提言を受け入れた後あんなに幸福そうに生き生きとし始めたのです。しかし彼は多くの人たちもそうであるように、矛盾した性格をしています。それは平凡に退屈しながら、それを捨てきれないのです。彼以外でもこの映画ではそうした捨てきれない、生きがいのない男たちが出てきます。隣家の家の主人と大家(?)の夫がそれです。そしてその二人は明らかに幸福そうには見えません。どこか抜け殻のようにボーっとしています。そうしたことを考えると、エイプリルは本当は夫の為を思って彼をパリに誘ったのでは?という解釈も成り立つでしょう。なんだか外見はボヴァリー夫人だけど、中身はソラニンに似ています。主要人物以外の脇役である平凡な人々が悉く滑稽で、批判的な描かれ方をしているのも似ていますね(ソラニンの作者がこの原作を知っていたかは解りませんが)。
 この作品はそうした文学的な部分は間違いなく一級品でしょう。しかし見所が少なく、映画としては決して成功しているとはいえません。故に星1つ減です。ただし監督は『アメリカンビューティ』や『ロードトゥパーディション』それに『ジャーヘッド』のサム・メンデスで、本作ではそうした作品を想起させる描写がいっぱいあります。例えば全体的な雰囲気は『アメ〜』ですし、1950年代アメリカの通勤風景は少し年代は違いますが『ロード〜』と撮り方が似ていて、フランクが戦争の思い出を語るシーンは『ジャーヘッド』彷彿とさせます(最後ちょっとキツイかな?)。ですから氏のファンである私なんかはかなり面白かったです。そんなマニアックな人がはたしてどれほどいるか解りませんが、興味があれば損はしないと思います。


面白いとは言えないけれども、見る価値は十分にあります

 タイタニックの映画の印象が残っていれば、失望する作品かもしれません。娯楽作品とは言えないのです。
 1950年代の米国の生活、とくに建物や衣装面でリアルに美しく描いていますが、実際にあのような夫婦がいたかどうかは大いに疑問ですし、あの年代に「革命通り」という左翼的な感じの通りが米国にあったという想定自体が非現実的ですね。
 パリ行きを若い夫婦が企て、実現していこうする姿をさまざまの夫婦喧嘩の中で見せているので、あまり楽しい映画ではありませんし、パリ行きは単なる目標設定なので、パリの街角は一切なく、フランスの映像を期待している人達には一層がっかりさせる結果となるでしょう。
 しかし、夫婦喧嘩の中身がちょっと普通と違うので、その辺がわからないとこの映画の価値は半減するでしょう。互いに才能があり、どちらも向上心も強く、それなりに誠実な二人が、逆に二人を結び付けてきたそうした長所があったために、パリ行きという夢の実現を巡って争うことになるのです。二人とも自分にとても正直に生きており、その光景は私達をときどき感動させさせますし、二人の上手な演技力は、今まで見た米国映画のうちで最高の部類に属します。

 夫婦生活は5年、10年と経ると、段々相手の言うことが“分かりすぎて”喧嘩しやすくなるときがあります。「誤解して結婚し、理解して別れる」という名言があるくらいです。結婚をもたらす赤い糸は、互いの向上心(教養)という精神的な面、互いの欲望・諸々の思惑という世俗的な面でできているようで、両方がほどよくブレンドされたカップルほど理想的な組み合わせであり、この映画の主人公達はまさしくそうした典型的な例なのです。しかし、幸せになるとは限らないーーそれがこの作品のテーマのようです。つまり、文学性は高い映画なのですが、必ずしもそれが面白さを兼ねていないのが残念な点です。


夫婦とは。

この作品が伝えることに何ら答えはなく、観るものの視点により、幾通りにも膨らみ抱く形であり、夫婦間のあり方、家庭の持ち方というもの、強いては人生というところを問うたテーマです。
薄氷を踏むがごとく、地球そのものが薄い層で覆われているがごとく、また生活空間というものが自由であるにもかかわらず、何らかの形で範囲が限られた閉塞空間であるがごとく、拘束された中で生活していることは現実かもしれません。
この映画では、結婚前の夢が家庭を持ったことで、特別な存在を理解しあえるもの同士が、生活条件に則った”平凡”という生活に満足できなくなる、夫は郊外より満員電車で通勤し仕事をこなし、妻は郊外の住まいで家事をこなすといったことにたまらなくなったのです。
もっと輝いてもいいのではないか、もっと夢があっていいのではないか。
そう思うにつれ、夢と現実にギャップができ、ギャップはだんだんと夫婦間に溝をこしらえ、あれだけ愛おしかったのに”マンネリ”にしか思わなくなり、悲劇として返ってくるというストーリーなのです。
この映画の素晴らしいところは、マンネリから脱皮し夢を抱いて心機一転しようとしているところに、様々な事象や事案が発生し、その時点でのこころの葛藤をうまく表現しているところです。
現在では直ぐに離婚しておさらばしてしまうといった逃げがあるのですが、大量生産の高度経済成長時期であった1950年代という設定においては、社会に追いつくためにきもちにゆとりがない反面で、そのジレンマに思い悩むという点で最も表現しやすかったのではないかと思います。
レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットのコンビですが、二人の呼吸がぴったりと合っており、また、1950年代といった往時にも相応しい容姿を醸し出しており、この映画のコンテンツをよく咀嚼して理解した上での熱演であったと思います。


壮大な夫婦喧嘩

現在、★5を付けている3名のうち、
作為的評価と思われるレビューは2個
嘘臭い度 67%

『タイタニック』の、あのコンビが復活、
監督は『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス

レオナルド・ディカプリオの演技はスゲェけど、
家族揃って見るような映画ではない・・・
夫婦や恋人へ向けた教本的映画

だったら、僕ちゃんは『ブラッド・ダイヤモンド』のレオ様のほーが好きです。


ケンカをしては仲直り、夫婦や恋人にありがちな日常を描いているので、
年月を重ねれば重ねるほど、共感が持てるはずです。

人生、こんなハズじゃ無かった感が、
ジワジワと表現されてくるので、恐ろしい。

そして、ラストシーンには、夫婦を長続きさせるコツが紹介されます。
まさか、このカットで終わるとは・・・ 想像すらしなかった・・・

覚悟して見るなら、事前に『妻の相談に乗ってはいけない』を
読んでおくと、身につくコトが多そうです。


人間とはいつの時代も悩み、考え続ける生き物

 1950年代が舞台だけれども、現代にも共通するテーマを扱った作品。仕事に嫌気がさしている夫。理想の生活を夢見る妻。お互い不満を持ちながら生きている。それでも結婚生活は一喜一憂と続いてゆく。

 浮気をして家に帰ってくると妻がバースデイケーキを子供たちと一緒に作って待っていてくれた。パリへの移住を夢見て退職を決意するも会社で重要なポストに抜擢された。人生がうまくいっているのかどうなのかわからない。家では時には怒鳴りあい時には愛し合い。地に足つかず、宙を舞っているかの様な不安定な人生。揺れ動く心情。人生はいつ何が起きるかわからない。

 夫婦生活の難しさを感じました。そして同時に人生の意味を追求する夫婦の姿に共感。切なさや悲しさを感じさせます。人間とはいつの時代でも悩み続ける生き物なのだなと、深く感慨にひたりました。



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夫婦げんかって何でもはっきり言っていいものではないですよね;

たまには新作を借りてみた。予想をはるかに越えて面白かった。★★★★☆です。
監督はサム・メンデス(『アメリカン・ビューティー』)。前作と同様、どこか話が病んでいる。この監督のこういう病みかたは好き。
アメリカの地方都市を舞台に、平凡な若い夫婦とその周囲の人々のやり取り、そしてしあわせだった家庭が少しづつ崩壊していく姿を克明に描く。

今のままでは自分の人生を腐らせていくだけだから、アメリカを捨て、パリへ行って、政府機関の秘書として働きたいと言い出した妻。「政府機関の秘書の給料ってすごいのよ」。夫が自分の仕事はどうするのか?と聞くと、2人でパリへ行けるのならしばらくは自分が稼ぐとまでいう妻。一度は妻の提案に乗りかけるのだが、思わず仕事でチャンスをつかみ、パリ行きがおっくうになってきた夫。

夫婦やってるレオ様とケイト・ウィンスレット。冒頭から論戦の応酬がすさまじい。話をとおして字幕は読み応えがある。アメリカ人だからといって誰もがあれほど論理的なわけではないので(笑)、夫婦ゲンカってなんでも言葉に出して言っていいものではないなぁと。

この映画のラストシーンが印象的;おそらくは付近の住民(映画の中には登場しない)なのだろうが、老夫婦がとっくに引っ越していったご近所の噂話をしている。老女が「そういえばあの夫婦(レオ様×ウィンスレット)が住んでいた家はなかなか売れないの。あの夫婦は家の値段を下げたのよ。それは・・・」という噂話を始めると、黙ってこっそり耳から補聴器を外す老人。もうこの年になればそういう話は聴きあきたよと。



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リチャード イエーツ Richard Yates 青木 千鶴 
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浮気する男の心理が分かる

レオナルド・デカプリオ主演で映画化が決まったこの作品。
はっきりいって、面白くもなんともなく、
むしろ、すべてが不快なくらいなんだけど、
非常に感慨深い作品である。

衝撃的なのは、女である私が、
「愛して止まない妻がいながら、浮気に走る男の気持ち。」
「世間の風習に縛られて妻は持ったものの、Aクラスの女に憧れ浮気する男の気持ち。」
この2パターンがそれなりの共感とともに理解できる点である。

憧れの美しく聡明な妻と結婚し、
人も羨む理想の家庭を築いたかに見えるフランク
30歳を迎え、人生の全貌が見えるにつれて、
彼とその妻、エイプリルの日常へのイライラは募っていった。
ある日妻は唐突に気づくのだ。
このイライラを打破する絶好の策、パリへの移住を。

夫はこの生活に腐っているだけで、本当はもっと才能のある人だ。
妻は夫の能力を信じ、夫は自分の実力を知っていた。
それが二人の不幸だった。

浅はかな夫が言葉巧みに妻や愛人を操ろうとする様が、全く持って、小賢しい。
最もらしく聞こえて、すべての優先順位は自己弁護のみであるのに、
不幸なのは、その言葉を妻が真剣に聞こうとしたことだ。
そして夫が本当に妻を愛していたことだろう。


「小市民的な幸せな」生活に満足出来るか?

フランクはニューヨークの一流企業に勤め、郊外でエイプリルと二人の子供と、一見「幸せな」家庭を築いています。

ところが、地元劇団の初公演の失敗から、そんな「幸せな」生活が破たんをきたし始めます。
「愛している」ことと「嫌いではない」ことの違いに目を瞑り、お互いに背伸びした生活であったことに気がつきます。
そして、そうした現状を打破するためにヨーロッパ移住を計画しますが、それもエイプリルの妊娠で挫折します。

この「小市民的な」そして退屈な「幸せな」生活に満足出来なくなった時、ひとつの家庭が崩壊に向かいます。

しかし、考えてみれば、ほとんどの家庭がそんな生活ではないでしょうか?
エイプリルのように「張り合いのある」「生きがいのある」生活を求めすぎれば、誰も満足がゆかないでしょう。
完璧な家族などと言うものがあるのでしょうか?
そんな風に考えてしまうのは、私自身が「小市民的な幸せな」生活に満足しきっていると言うことでしょうか?



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レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで (ヴィレッジブックス)

リチャード・イエーツ 村松潔 
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居場所の居心地の悪さ以前に、居場所のない私の感想

映画を見る前に原作を読みました。映画はほぼ原作どおりでした。映画も見ようと考えている方、先に映画を見た方がいいかもしれないです。もちろん原作と映画は別物だと理屈では分かっていますが、映画を見た後で原作を読むとなるほどという感じだと思いますが、逆に原作を先に読むとそれに引きずられて映画を見てしまいそうなんです。つまり、それだけ映画はきわめて映画的で、原作はきわめて小説的だということなのです。
どういうわけか全く同時期にハヤカワ文庫でも出ていまして、訳者と値段が数円違うようです。どちらをとるか、あるいは読み比べるか、ですね。私は村松氏の訳を読みたかったのでこちらを選びました。読みやすかったですよ。
あとがきにありましたが、昨今の八方ふさがりの経済状況を反映してかアメリカでも再評価の兆しが高まっているようです。日本でプロレタリア文学が再び注目を集めているのと同じでしょうか。
ですので50年代のアメリカの平凡な夫婦と平凡なご近所さんたちのひたすらダークサイドばかりが滑稽に暴かれる本当に救いのない小説なのですが、今の時代に読むとなんだかぴったりしすぎているほど理解されて怖いくらいでした。
各人の本当に事細かな内的独白は自分を棚に上げた恐ろしいまでの身勝手さと恐ろしいまでの滑稽さに満ちています。私はこの病める人々の告白を半ば馬鹿にしつつ、半ば共感しつつ読み進めるのをとめることができませんでした。
平凡であろうとしてそこに安住できない夫婦の話が柱ですが、私はその平凡な役を得たこと自体一度もないのです。彼ら以上に終わっているのかと思うと途方に暮れました。。。



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家族の終わりに

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映画かお芝居で観てみたい

決して幸せな話ではないのですが、小説のほぼ中心にいる男性の情けなさが笑えたりします。
彼だけでなく、ここに出てくる人たちが、自分のことをごまかそうとしているさまは、誰でも少なからず共感出来ると思います。
脇役である「つまらない職場」の同僚やご近所さんたちが生き生きと描かれていて、映画俳優の何人かを思い浮かべました。
悲劇の中に喜劇があり、喜劇の中に悲劇があり、面白い小説です。


「空虚さ」の中で「生きる」ということ

一見、幸せそうな家族が、その内に抱えている「空虚感」によって、悲劇のどん底に落ちる話です。

二人の子どもに恵まれ、綺麗な奥さんもいて、幸せそうな家族です。ところが、その奥には「絶望的な空虚感」が存在していました。
夫婦の間の考え方の違いが、表面化してきます。
それは、夫婦として「生きる」とはどういうことであり、家族として「生きる」とは何であるかという問題です。お互いが自分を殺して生きているのではという疑問が表面化した時、どうしたらいいのでしょうか?

夫婦はフランス行きを考えます。しかし、それも妊娠という事態で頓挫してしまいます。
平凡な暮らしを幸せと考えるのか、その「空虚さ」を乗り越えようとするのか、その二つの間で二人は揺れ動き、関係に齟齬をきたします。

個人が「生きる」と言う時、そこに「夫婦」とか、「家族」といった枠組みが、どういう位置づけになるのか、作者はその問題を提示しています。



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