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司城 志朗

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MW ムウ (小学館文庫)

司城 志朗 
MW ムウ (小学館文庫)
定価:¥ 540
新品最安価格:¥ 540
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映画の補足として

映画で???だった謎も分かるので複数買いして友人に配りました!
ラストは映画より断然こっちが好きです。


「ようやくはじまったところだ。俺はやめない。お前もやめない。俺たちは何も怖くない。」

 本書は、漫画の神様・手塚治虫がかつて『ビッグコミックス』誌上(1976年9月10日号〜1978年1月25日号)に発表した衝撃の問題作『MW−ムウ−』を基に7月4日に公開された映画『MW‐ムウ‐』(監督:岩本仁志、主演:玉木宏)のノベライズである。

 バンコクで起きた日本人誘拐事件の背景に16年前に起こった沖之真船島での “MW−ムウ−”にまつわる一連の事件に隠されていた謎をそのとき島に残された二人の少年・結城と賀来が互いの絆を深めながら島の関係者に近づきひとつひとつ真相を暴いて行く…。

 島の出身者で現在、LA新世紀銀行に勤務するコーポレートファイナンス部次長・結城美智雄と山の手教会で聖職に就く神父・賀来裕太郎、誘拐事件の捜査に二人の関与を疑う警視庁捜査一課の沢木、16年前に起きた沖之真船島での事件と疑惑に関心を抱く東京中央新聞社会部記者・牧野京子、沖之真船島での事件の鍵を握る現内閣外務大臣・望月靖男などなど…。

 現時点では映画を未見であるが、『MW−ムウ−』のイメージを損なわないよう工夫を凝らしているものの原作の愛読者としては、読後感として今ひとつ物足りなさを感じた。最も大きな要因は、原作にもあった結城という神をも欺く悪魔のような強烈なダークヒーローの存在感が(原作が素晴らしかったせいか)感じられなかった事が大きく、本作では、単なる異常な殺人鬼のような印象を受けた。それでも作り手が原作の骨格部分を大事にしている事は伝わったし、特に原作では、あの背筋を凍らせるような衝撃的なラストが印象的であっただけに本作はどのように対応しているのか気になっていたが、原作とは違うもののある程度は納得できた。

 余談であるが、沢木が結城の部屋を家宅捜査する際に協力する本庁の鑑識員・麦山攻(名前からして『相棒』のあの人を連想させる)には大笑いしました。


補完として

映画で語られていなかった部分、特に二人の少年時代や川村記者、村越神父についての補完品としてはいいと思います。原作はもちろん、ノベルやパンフ、ビジュアルブック、各インタビューを網羅してから再度映画を見ると、かなり違った印象を受けました。映画は尺の関係もあってか結城と賀来の関係性が今ひとつ説得力に欠ける…というより弱いのですが(原作とは随分変えてきていますし)、これを読んだらいくらかは理解しやすいです。
映画でツメの甘かった部分(突っ込みまくった部分)も描写不足の部分もきちっと描かれていて、脚本家さんと話し合って、ノベル版と合わせた作品に仕上げてほしかったかも。

文章は確かにちょっと古臭いですね。映画の結城のドライでスタイリッシュなイメージをがっちり意識して読まないと、首を傾げたくなるところもありました。また、結城と賀来の関係をそう固定しちゃうと、原作・映画を否定しかねないので、加減が難しいなと思います。

映画を見た後で、補完として読む分にはお勧めです。



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元ピンカートン・インベスティゲーション・コンビの海洋冒険活劇が復活!

 いつもながら、星の数では計れない面白さがあります。
 本書は、1991年、著者が谷口ジロー氏と組んで製作した、元フランス外人部隊の将校を主役とした冒険劇画「サムライ・ノングラータ」(小学館)と同タイトルだが、内容はまったく別モノ。
 で、その正体はといえば、矢作俊彦氏と司城志朗氏の元ピンカートン・インヴェスティゲーション・コンビが1984年にカドカワノベルズよりリリースした「海からきたサムライ」を加筆修正したもの。
 内容が「海からきたサムライ」であろうがなんであろうが、とりあえず二人が新本をリリースした以上、読まざるを得ないわけで。
 じつのところ、「海からきたサムライ」については、旧作が出たときに読み、文庫化されたときに読み、あとハワイに行く前にはいつも読んだり持っていったりして。その新版を手にしても、「うーむ、せっかくこの二人の名前で出すのなら、新しい作品を読みたかったな」なんていう気持ちがないでもなかった。
 で、読んでみると、やっぱり、まぁスゴイ。
 スゴイところをイチイチ語る野暮はおいといて、とにかく加筆修正なんてものじゃないくらい手を入れられた冒頭からいきなり気持ちを鷲づかみにされて、まったく新しい作品のような新鮮な気分で最後までグイと一気に読まされてしまいました。

 クラシックのミュージシャンが若いころにレコーディングした作品を、さまざまな経験を経た後、もういちど原点を見つめなおして新しい解釈でレコーディングをする作業にも似た感慨を抱きました。グレン・グールドがゴールドベルク変奏曲を、ミーシャ・マイスキーがバッハの無伴奏チェロ組曲を劇的なほどに新しい解釈を施して再びレコーディングしたように。
 それはまさに20年あまりの時を経て、二人の名前で出すのにふさわしい魅力のある作品であり、その作品にていねいに加えられた筆には、まさに二人が歩んできた背景をしっかりと感じさせるものでもありました。
 いいですね。こういう作品も。
 というわけで、残る「暗闇にノーサイド」と「ブロードウェイの戦車」もぜひ。あと、欲を言えば、このノリで20年来の懸案となっている「コルテスの収穫(下)」なんかも書き下ろしてもらえたら。
 ぜひ。


意外と今でも面白い

大幅加筆訂正ということで20年ぶりに読んでみたが、意外や意外、現在でも充分に楽しめる。特に展開のスピード感は司城志朗のセンスかと思われるが、矢作俊彦単独名義にはない面白さ。もちろん矢作氏独特の語り口は健在。こういったタイプの新作をまた読んでみたいな。
「ブロードウェイの戦車」「暗闇にノーサイド」があるので星4つですが、単独なら5つ。



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