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夜想曲集音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

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夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

カズオ・イシグロ 土屋政雄 
夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
定価:¥ 1,680
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初の短編集

カズオ イシグロの初の短編集。
内容は他の人たちが、必要十分に説明しているので、、。

要約すると、
新しい人生のスタートをするために、
持ち物を取り替える人たちの話。
顔だったり、妻だったり、謙虚さだったり、。
どの作品もこっていて、
くすっと笑いつつ、
すこし苦い後味だった。

正に、登場人物達が、
夜に回想する話なのだろう、、。


連作(?)短編!

原題は「NOCTURNES」となっているのですが確かに良いタイトルで、この連作短編(いわゆる普通の連作短編ではないが、私には連作短編に感じました)の通しタイトルとしてベストだと思いました。


往年の大歌手でスターであり、ベネチアでギター奏者として生計をたてる主人公の母と東欧に暮らしていたときからのファンである老歌手との1夜のサプライズセッションの顛末を描いた「老歌手」

大学時代の親しかった友人夫婦の家に泊まりに行く1人やもめの47歳の英語教師として食いつないできた男。友人は仕事に成功しているが何故かいつもは仲の良い夫婦に訪れたささやかな危機的状況に陥った時期に来てしまったことから始まる変な時間の変なやりとりを描いた「降っても晴れても」

プロを目指すまだ若いギター奏者が姉の故郷の田舎のカフェを手伝うことで知り合ったミュージシャン夫婦との交友を描いた「モールバンヒルズ」

売れないジャズサックス奏者のとある入院に伴って生まれたセレブレティーとの不思議な展開を、不思議な場所で描いた「夜想曲」

若いチェリストと不思議な年上の魅力的アメリカ人女性との出会いで生まれた奇妙な師弟関係を語る「チェリスト」


もう少し詳しく書きたいのですが、どの作品もやはり素の状態で味わっていただくのが最も美味しいと考えさせられる作品、やはりイシグロさんは面白いです。


それでも、やはりどちらかというと私の好みは長編ですし、「日の名残り」、「私を離さないで」、「遠い山なみの光(昔のタイトルは「女たちの遠い夏」)」なんかを読んでしまっているので、その期待が大きくなりすぎた分、少しだけがっかりもしてしまいました。ただ、もちろん素晴らしい作品です。

イシグロカズオ作品の静かなトーンが好きな方にオススメ致します


人生の移ろいやすさと音楽を描く味わい深い短編集

最初、読み終えたときには「イシグロ氏にしては通俗的な作品集だなあ・・」と思いましたが、
やがて表面上の軽さとはうらはらに、なかなか内容の深い短編集だと気づきました。

登場人物は過去の成功を懐かしんだり、将来の栄光を夢見たり、
皆、いささか寂しく微妙な立場に立たされています。
音楽業界で成功するため整形手術を試みる、才能ある中年サックス奏者、
シンガー・ソングライターを夢見る若者と初老の音楽家夫婦、
ベネチアで不思議な年上の女性からチェロの手ほどき(?)を受ける青年など、
プロの音楽家として発展途上だったり、盛りを過ぎていたり、
俗世で成功していても空虚さを抱えていたり、と人生の縮図のような群像です。

イシグロの手にかかると、こういったはかなく、滑稽にも思える人びとの姿が
音楽の持つ魔法の力で、普遍性と一抹の哀愁を帯びて浮かび上がります。
そして音楽という天上の美に触れた彼らの人生が、
新たな意味とともに、夕暮れ時の光に優しく静かに照らし出されるのです。

どの短編にもそれぞれの味わいがありますが、個人的には二番目の『降っても晴れても』の
何とも絶妙なユーモア(ビリー・ワイルダーの映画みたい)に思わず声を出して笑いました。
こんなほろ苦いドタバタ喜劇も書ける人だったんですね。




室内楽のソロチェロのような小説。静かに胸に迫り来る

カズオ・イシグロの作品は初めて読みました。

静かな小説で、ストーリーもドラマチックな抑揚はありません(「夜想曲」という作品はちょっとあり)。それでいて退屈しないのは、しっかり心をつかまれていたからなのでしょう。作品の登場人物は、円熟期を過ぎ、落ちていく自分に葛藤を感じ、なかば諦めをもっています。人生を一日にたとえるなら、夕日が落ち、夜が始まる時間帯です。「夜想曲集」というタイトルは素敵な表現です。傍からみると、落ちぶれる人々ですが、悲壮感を感じさせません。私たちが、夜になったことからといって、悲しむことがないのと同じです。

あとがきを読むと「大きく影響を受けた作家の一人にチェーホフをあげている」というのがありました。「チェーホフ作品のように、ドラマ性や落ちがなく、人生の一瞬を切り取ってみせたような作品だ」と評されていました。この一文がこの本を表すのに一番ぴったりだと思います。


最後には深く感動

このところミステリ小説を多く読んでいたせいかもしれないが、最初の一編、二編は、オチのないラストにちょっと不満が残った。しかし、読み進めるうちに、短編間の繋がりに気づきはじめ、全体のテーマも見えてきて、それぞれの登場人物たちの他にどうしようもないとしか表現しようのないような心情も伝わってきて、深い感動へと繋がっていきました。
どの短編も設定が素晴らしいです。もう小説の設定なんて出尽くしたような現代で、よくまあ、こうも意外性のある設定ができるのかと思いました。翻訳文は土屋さんなので、安心して読めます。



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PC・家電・CD・DVD  |  2009/11/25