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クチコミ情報
昭和に入っても大正浪漫 いよいよ時代もくだった昭和に入ると、いろいろときな臭い話が出てくる。人が人情だけでは生きづらい雰囲気がはびこってくる。そんな中でも任侠心と心意気だけで生きる琴線に触れるお話ばかり。
とにかく言葉の端々に含蓄があって、重みがある。一つ一つ心にじーんとくる、珠玉の短編集。じっくり味わって読まなければ損である。
昭和初期の銀座を銀ブラできる物語です。モボ・モガが闊歩する昭和初期の東京・銀座。目細一家の親分もややお歳をめしました。天切り松もそろそろ黄不動の兄貴の跡目を継いだ頃、日本は戦争を起こし中国大陸に進出していました。国を挙げての泥棒行為を前にして本物の盗人は意気消沈。そんな中で、目細一家は本物の狭義を貫く仕事を目論見ます。松蔵の江戸言葉で語られる、昭和初期の東京の風俗。闇もあれば今の東京がなくしてしまった光もある。特に面白いのは太平洋戦争後に日本はアメリカ被れになったように思っていましたが、昭和初期にすでにアメリカ風俗が世の中を覆っていたことです。さらに、銀座松屋の賑わいですね。当時の銀座の様子が伺えて読んでいるだけでその頃の銀座をブラブラ歩いている気分に浸ってきます。この本で当初どうにも抵抗があったのは、松蔵翁が話し始めると警察署長をはじめ松の話を聞くために押すな押すなの賑わいになるという構成です。そこに徐に「語って聞かせようか・・」と話が始まるのですが、どうも自画自賛しているように感じていました。しかし、この江戸の話し言葉で古き時代の東京を紹介するには、天切り松に語らせる以外になかったかなぁと今では思っています。そういったことが頭によぎったとしても、物語は抜群に面白いので気にするほどのことはないのですが、大ベストセラー作家の著者がなぜこの手法を用いたのか気にはなっています。
松蔵にもっともっと語ってほしい義理や人情を重んじ生きてきた松蔵たちだったが、時代が昭和になり日に日に
戦争が暗い影を落とすようになる。寅弥や勲のためにどえらいものを盗もうと
する松蔵たちを描く「昭和俠盗伝」、永田少将を斬殺した相沢中佐を描く
「日輪の刺客」「惜別の譜」、愛新覚羅溥傑と浩を描いた「王妃のワルツ」は、
人々の悲哀がにじみ出ていて、とても切なかった。狂気の時代へと突入する
日本・・・。これから、安吉は?寅弥は?栄治は?常次郎は?おこんは?
もっともっと松蔵に語ってもらいたいと思った。
心配しながら期待相変わらずイキな結末が、その語り口とともに見事です。
相沢三郎中佐を人間的に好ましく描いているのも、新しい視線で面白く読めました。また愛新覚羅溥傑と結婚した嵯峨浩のお茶目なところも、よくここまで物語にしたてたなと感心しました。
史実のピンポイントは押さえながらも、そこにフィクションを挿入して、一寸した涙、皮肉や意地を見せるいつものパターンにしっかりとはまった次第です。
でも戦争への足音はひたひたと聞こえてきます。この後、どんな物語が続くのか、心配しながら期待しています。
面白さに外しがない待ちに待った天切り松シリーズ第4巻。
警察署や留置所で警察相手に古き時代の高い気概を持った日本人の話を語るパターンの松蔵の姿は踏襲され、時代はいよいよ昭和に移る。
これまで同様、江戸っ子のテンポ良い語り口に一気に惹き込まれ気がついたら読み終わっていたといった感じであった。
天切り松シリーズは面白さに外しがないすばらしい作品である。
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