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クチコミ情報
読み応え充分!貧しい暮らしをしている母と子の力になろうとする寅弥を描いた「初湯千両」、
鮮やかな詐欺の手口を披露する常兄ィを描いた「共犯者」、おこんと竹久夢二の
ふれあいを描いた「宵待ち草」、一人の女のために楠木正成の太刀を一時的に
拝借しようとする栄治の話「大楠公の太刀」、道化師の父親を持つ仁太と少年の
日の松蔵の物語「道化の恋文」、松蔵が、持つはずのない二つ盃を持つことに
なったいきさつを描いた「銀次蔭盃」、どの話も読み応えがあった。一番印象に
残ったのは「道化の恋文」だった。貧しさや自分の境遇から抜け出すのが困難な
時代、はたして少年の夢は叶うのか?安吉一家に登場する男たちのかっこよさ
だけを描かず、その当時の切なさも見事に描いている。松蔵は、次はどんな話を
聞かせてくれるのか?とても楽しみだ。
血より濃い絆一巻では安吉一家の何がそこまで義賊なのか分からなかった。
しきりに出てくるキーワード「粋」「情」。けれども人様の物を盗む事には変わりはない、何が義賊なのか、と思っていました。
ところがここまで読んできてある事にようやく気付きました。
安吉親分は警察でさえ一目置くかつて盗人二千人を束ねていた大親分。スリの腕は確か。いつも奇麗なスーツを着ていて紳士。それは安吉一家の5人全員がそう。
しかし、盗人としての腕は確かなはずの全員が余分なお金をほとんど持っていないのです。住んでいる所は長屋。華やかな暮らしぶりとは程遠い。
こんな場面があります。
いつものように「仕事」をして、いつものように貧しい人にそのお金をやってしまった一家の兄貴分虎兄が湯屋代しか今持ってないんだ、と言う場面です。
虎兄は大金持ちの家に強盗に入った後、その盗んだ千両と共に自分の有り金も全て貧しい親子の家に置いてきて、自分のためのお金はほとんど手元に残してはいなかったのです。
食べる分だけを手元に残し、決して自分のための盗みはしない。
盗むものは私欲を肥やすための賄賂のお金だったり、有り余ったお金だったりします。
今回、一巻での安吉親分とその親分銀次親分とのその後の話があります。
なるほど、あの安吉親分をここまで育て上げた人物である事が二人の邂逅の場面に現れています。
銀次親分と安吉親分の絆。
そして安吉親分と松の絆。
人を信頼し信じる者同士の絆はどんな悪にも崩せない程に強い。血より水よりも濃い絆というものはこういうものを言うのか、と感じずにいられませんでした。
いつでも読んでしまう。一気に終わりまで世界に浸れる幸せな読書。 この天切り松の本が出ていると、毎回買って読んでしまう。この巻もまたまた一気に読ませてくれた。そして、明治時代にタイムスリップしたような不思議な感覚を覚えさせてくれた。それだけ集中して一気に読めるから味わえる感覚なのであろう。
娯楽小説として、すごく良くできている。あわせて、美しい生き様というものもいつも考えさせてくれる。
粋な生き方に、拍手喝采!ご存知、「天切り松」と呼ばれた老義賊が、留置場内で、親分である「目細の安吉」一家のエピソードを闇語る、4巻からなるシリーズの第3巻です。今回も、これまで同様、歴史上の偉人である森鴎外、竹久夢二らも効果的に登場させながら、一家の義賊たちの、粋で格好いい生き方を、松の闇語りに乗せて紹介してくれます。
また、これまでと毛色の変ったエピソードとしては、常次郎について、得意芸である変装を生かした事件を披露してくれるのですが、思わず、う〜むと喝采をあげたくなる鮮やかさです。
シリーズのパターン的には、勧善懲悪的な側面があり、疲れ気味の通勤時に読むと、元気の出てくるシリーズでもあります。
浅田ワールド、これにあり浅田次郎の作品を40作以上読んでいる大ファンです。
本シリーズも好きですね。
毎回「浅田ワールド」という虚実ないまぜの世界へといざなってくれます。
粋な世界を描かせたら天下一品ですね。
また、天切り松のテンポの言い語り口調が、文体にリズムを生んでいますので味わいが感じられます。タンカの切り方もいなせですし、明治・大正時代の江戸っ子っていうのは、こうだったんだ、と思わせるようなセリフ廻しに毎回感心してしまいます。
今作でも、竹久夢二、伊藤博文、永井荷風という実在人物を登場させ、いきなり不思議な世界へ連れていってくれるわけで、読者としては話の展開に毎回驚かされ続けます。もっともそこが魅力で好きな箇所なんですが・・・・。
第2話の「共犯者」の鮮やかさは、拍手喝采ものです。してやったり、と言う感じですかね。
そして第6話「銀次蔭盃」の安吉親分と仕立屋銀次の接見シーンの会話は、本当に泣けてきます。ケレン味たっぷりな話もまた浅田次郎の真骨頂ですね。
文庫化により、中村勘三郎の解説も所収されており、得した気分でした。
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