
|
クチコミ情報
黒手塚の最高傑作アトムやリボンの騎士等のアニメ化された所謂「白」手塚作品と両極に位置する作品。
GHQ占領下の日本が舞台となり、下山事件、農地解放等の事件を題材として、その時生きた人の、政治思想、性モラル、道徳価値の変換を物語る。
傑作「アドルフに告ぐ」と同じく、続く戦後という時代の匂いを感じることができます。
観察可能な事実を元に推理小説を書いたのが松本清張、ノンフィクションを書いたのか吉村昭、漫画を描いたのが手塚治虫でしょうか。
作家にとっては結局「事実」が一番面白いネタ元なのかなあと思います。
おすすめです。
漫画で表現した小説この作品は上下巻通して読まないと意味がありません。ですからレビューも全編通した内容です。
下山事件やゼネストといった今では歴史になりつつある事件を背景にして旧家の戦後を描き出しているがどれをとっても理解できる人の年齢が高いように思う。もともと昭和47年に発表された作品なのでその時代を知っていれば事件についてはともかく旧家の雰囲気となるとわかる人は少ないでしょう。
手塚氏自身が大阪の旧家の出身ですからその閉鎖的な小社会を見聞きして育っているので読み手にもそれなりの予備知識を要求しています。その意味ではやや作品の紙幅が少なく背景の説明が少ないのがつらいところです。
しかし個々のキャラクターの書き込みはすばらしく背景を気にせずストーリーに引き込んでくれます。この作品は人の業を描くこととそこからの自由、そして業を業として背負う人の強さがテーマです。
ラストのおばあさんのせりふが全てを救います。
昭和の時代まるで、上質のノンフィクションのような漫画です。漫画の域を超えた質の高い作品だと思います。敗戦後の昭和の時代の闇を描いているようです。私は、下山事件については詳しくありませんが、その謎に迫るような作品になっているようです。この作品を読んで下山事件に興味を持ちました。面白いので、上下巻とも一気に読みました。昭和の時代に、本当にこんなことあったかもしれないと思わされる、地方の資産家の閉鎖的な陰湿さについては、不快な気持ちを持ちつつも、人間の本質を見る思いです。難しいテーマを読者の気持ちを鷲づかみにしながら、描いていくところは、さすが、手塚治虫と思います。また、テーマの選び方が、知性と感性を感じます。
土曜漫画これは凄まじい。
たとえば、アメリカン・ニューシネマの傑作、『イージー・ライダー』を観終えたあとや、稲垣足穂の『弥勒』を読み終えたあとや、つげ義春の『無能の人』を読み終えたあとなどは、あまりのショックでとても学校や会社など行く気がしなくなってしまう。
これらは、全て土曜日に味わうべきものだろう。
この間はじめて読んだ手塚治虫の『奇子(あやこ)』も、やはりそのひとつで、僕はしばらく立ち直れなかった。
なんでこの手塚治虫という人は、人間というものの弱さや下らなさや醜さをここまで徹底的に救い無く、胸糞悪く描くことができるのだろうか。
こういうものを読むとつくづく、ジョン・レノンにも同様のことが言えるが、手塚治虫が愛や勇気や希望の使者的な扱いを受けているのが不思議でしょうがない。
とにかく、このあまりにも強烈な手塚治虫のダークサイドの美しき結晶に触れてみて欲しい。
この絶望をどう取るかは、あなたの自由である。
真骨頂か。別の所でも書きましたが、笑いとシリアスとは、本来表裏一体なのですね。コインの裏表みたいに。コメディアンさんのシリアスな芝居がハマり役になるとか。 うーむ。暗い。構成は緻密にしてとことんダーク。GHQや下山(作中では霜山)事件などが絡む戦後日本を舞台に、或る旧家の姿が描かれます。 ヒョウタンツギもオムカエデゴンスもハム・エッグもヒゲオヤジも出て来ません。 主人公奇子に、初めの内は感情移入もしながら読んでいたのですが、段々とそれも辛くなってくるのが凄い。 作家・手塚治虫が、自分の中のレンジの針を、かなり一方に振った作品、と云えるのでしょう。 手塚作品を子供が読むべき模範的な漫画作品、と取り敢えず唱える人は、この作品を読んでどう云う感想をもたれるでしょうかね。 あまりにも救いがないので、星は1点引かさせて貰いましたが…。 一気に読んでしまいました。傑作です。
|