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クチコミ情報
和製タイムトラベルSFの金字塔
主人公が、昭和38年から昭和7年にタイムトラベルする本作。
不測のアクシデントで、昭和38年に戻れなくなったにもかかわらず、あわてず騒がず、
地に足のついた実際的な対応をしていく、実に理系らしい主人公の姿が印象的です。
ところで、本作では「運命は変えられない」ということを前提とした、タイムパラドックスの
処理が行われており、かりに過去で、自分と出会っても、消滅したり存在が許されない
といった事態は起こりません。
作者が本作で提示したタイムパラドックスの解答は、倫理的、あるいは科学的に難があると
考える向きもあるかもしれませんが、破綻なく時の円環を閉じる論理の辻褄合わせとしては、
成功していると思います。
日本的なタイムトラベルSF「日本語で書かれたタイムトラベル小説の最高峰」というキャッチフレーズに魅かれて読んだが、確かに日本的なSFではある。
日本のSFには主人公の行動や話の展開が安易で論理的でない場合があり、本書にもその傾向がある。例えば主人公がうっかり過去に遡ってしまう展開はまだありとしても、金儲けのためにヨーヨーの開発に取り組む点などは脱線しすぎで理解に苦しむし、ユーモアとしても楽しめない。
日本の戦前の銀座の様子が生き生きと描かれているなど興味深い点もあるし、最後の思いがけない展開などそれなりに面白かったが、そもそも何故タイムマシンが戦中の日本に登場したのかなど、根本的な理由が明かされない点が消化不良であったり、中途半端感が残る作品であった。
手厳しいことを書いてしまったが、海外のタイムトラベル的な小説には巨匠のハインラインの「夏への扉」やアシモフの「永遠の終り」といった傑作があり、それらと本書を読み比べて頂ければ、言わんとすることが理解してもらえると思う。
辛口レビューで申し訳ありませんまず、死人に鞭打つようで気が引けますが。特にカルト人気のある作家ですから余計に。
しかし、これで早世の天才とはいかがなものかと思いました。小説を何冊も出してる時点で偉大ですが天才ではないと思います。星新一氏が国民的作家になったのと、広瀬氏が不遇な評価に相成った事にはそれなりにまっとうな理由があると思いました。
例えば、スポーツの世界であれば生真面目というのは評価されやすいですが、芸術方面で生真面目というのは不向きだと思います。多分小説なんてものは、多少いいかげんな人間が書いた方が面白くなるのではないでしょうか。広瀬氏の文章は生真面さがにじみでており、読んでいて少し気恥ずかしくなる時さえありました。そのせいか全編通してアマチュアっぽい小説だなと思いました。これはなにも昔の作品だとか初の長編だとかの要因とは関係ないです。本当にいい作品はいつの時代に読まれてもやっぱり面白いですからね。
この作品、僕には主人公のあからさまな独善者っぷりが気になりました。主人公は真面目なわりに自分の利害の事のみ考えて行動しています。その独善っぽさや、俗物感が作者の生真面目さゆえにうまくユーモア化フィクション化されていなくて気持ち悪かったです。
まるで作者の変な願望欲望を見せられているような居心地の悪さでした。
良いと思った所は、まず大正の風俗が描写されている所です。こればかりは実際の所は知りませんが、素直に面白かったです。それと、かしらとの友情も良かったです。距離間が絶えず変わらない所がいいと思いました。
しかし総合的にはSF小説として人にお勧めできる作品ではないと思いました。
スタート時点ですでに過去ラジオの本の紹介番組で取り上げられていたので、早速買い求めました。
書かれた時代が既に40年以上も昔、さらにそこからタイムマシーンに乗って・・・
どの時代の風景も匂いまで漂ってきそうで、ヒョウキンな文体は親しみやすく
古臭いというよりも、温かく懐かしいものでした。
ラストは辻褄合わなかったり、未消化感が残るとこもあったものの、
それよりも、登場人物とお別れするのが淋しいくらいでした。
伊沢先生、あなたは誰?司馬遼太郎が直木賞選考委員だった際に、何度も候補になったSF作家・広瀬正の作品を、候補になるたびに高く評価し、特に『マイナス・ゼロ』を大絶賛していたと知り、我先にと飛びついた本作品。特に、タイムトラベルを扱った話に必ず付いて回るパラドックスにどうやって取り組んだのかに注目して読んだ本作品であったが、物語の大団円で主人公浜田俊夫とヒロイン伊沢啓子にまつわる謎はほぼ破綻なく解明されたものの、物語の最初からずっと解明されるべく提示されていた浜田俊夫のお隣の大学の先生で伊沢啓子の父親でもあった男の正体について何ら回答が出されていなかった。
その他、駐在所の巡査の顛末であるとか、そもそもタイムマシンがどこからやってきたのかについてもどこか宙ぶらりんな形で話が完結していた。物語の最後の1ページで、これら残された諸疑問がこれから解決されるような予感を読者に与える形で話は終わってはいたものの、是非著者自身の手でもう少し明確な決着を付けて欲しかったというのが、正直な感想である。
それにしても、最初から最後まで、タイムマシンは無機質でひたすら不気味な存在だった。
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