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今の日本、大戦前のフランスに何か似てないか!?この本を読んで思ったことは、第二次世界大戦直前のフランスと、現在の我が国の共通点の多さである。改めて言うまでもなくフランスはドイツに完膚なきまでにやられた。それまでのフランスは今、我々の知っているフランスからは想像もつかない大国であった。
フランスは隣国ドイツの脅威を知りつつも、楽観的に考え、あるいはわかっていつつも触れたくないこととして、対策をとらなかった。今から思えばどうしてそのようなことになっていたのか、まるで魔法にかかったとしか言いようのない状態であった。これはイギリスについても半ば当てはまる。
さて、現在の日本はどうか。近隣の国がわが固有領土を掠めようと虎視眈々とその砲口をわが国に向けているのは歴然としている。それなのに為政者はその脅威から目をそらし、マスコミはそのような事実を黙殺する。
フランスのたどった運命をそのまま再現しようとするかのごとくである。
60年前に書かれた本書であるが、今日本に最も必要な一冊といっても過言ではあるまい。
平和主義について考えさせられる平和主義を唱えて努力しても相手が明確な意思を持った相手ならばそれは全て無駄となり、専守防衛と言うモノを行うには攻める側以上に充実した武装が必要であり意識が必要であると言うこと、またいざ有事が迫ったならば見苦しい権力闘争等より強調を優先せねばならないと云うもっとも基本的でありながら今の日本人には理解し難いであろう部分が良く記されている。
恐らくこの様な主張は右翼的だとかタカ派的発想だとかケチをつける輩が出るだろうが史実として現在の日本と良く似た状況下フランスが敗れたと言う記録があるという事を記憶の墨に留めておくべきでは無いだろうか?
今は戦争前夜ではない、だからと言って備えを怠れば取り返しの付かない事になってしまうという事を良く理解する為に本書は最適だと思う。
今、読むべき「歴史の教訓」第一次大戦でドイツに勝利したフランスが第二次大戦ではドイツの電撃戦が始まるとマジノ線を突破され、なぜあっけなくドイツに降伏することになってしまったのか?
アンドレ・モーロワは第一次大戦では英国軍の連絡将校として働き、欧州大戦が始まると仏英軍と行動を共にして戦争の現場を知り、また仏英要人の生の声を聞く機会も多かった人である。その経験を踏まえて、本書はフランスの降伏後、米国に渡ったモーロワが執筆したものである。一口で言えば、ナチスドイツの眼前にある軍事的脅威をフランス(英国も)が正面から見ようとせず、徒らに時間を費やしてしまったことにあるといえようか。
驚くのは米国で1940年(昭和15年)9月に米国で発表された英訳版が同年11月には我が国で邦訳・出版され、3ヶ月後の昭和16年2月には200版を重ねる記録的なベストセラーとなったことである。日米開戦直前であり、当時の日本人の欧州情勢への関心の高さが窺い知れよう。因みに本書の出る2ヶ月前の昭和15年9月には日独伊同盟が締結されている。
本書は最初の出版から約65年の歳月を経て、再刊行されたものである。巻末には、当時の時代背景を知るのに有益な中西輝政氏の解説が付いている。同氏の「第三共和制のフランス(1871〜1940)」も「戦後日本」も、ともに『敗戦から生まれた民主主義の国』であり、安全保障に関しては危うさがあるという指摘には首肯できる。
今また歴史の教訓として日本人が読むべき書と言えよう。
志と信念の価値を謳った実録文学同じく祖国から脱出し欧州の危機に警鐘を鳴らした経営学者ドラッカーの緊迫感溢れる処女作「経済人の終わり」とつい比較してしまう。
しかしそれは酷かも知れない。優れた作品だが評論よりは実録に近く、実録より随筆に近いからだ。冷静な文体だが分析論文や評論ではないから、著者のメッセージからただちに日本の<現在>を解釈しようとすると少し無理のある下手な例え話になってしまう。そのような紹介の仕方は一種の政治的宣伝臭が漂い、作品の魅力を著しく損なう。
むしろ、祖国を失った虚無感や悔恨を抱きつつも、そこから這い上がろうとする著者の志、そして登場人物たちの良くも悪くもきめ細やかで情感溢れる描写こそが、この作品の魅力を成している。
絶望の淵にあっても志と信念を持つことの価値を謳った、切実な実録文学と言う方が相応しい。
あの「英国史」のモロアが思索するみちすじ 敗れ行くフランスの描写も秀逸だが、第六章はモロアの考え方を要約したような部分だ。彼はいまやアメリカへ渡る船上にあり、学童が走り回るまえのデッキチェアに座り、某氏と語り合っている。
なぜかくもすみやかにフランスは敗れたのか???
国民の士気が振るわなかったせいか。全体にみて然り。
なぜか。1940年のフランスは不統一の国であった。外国の宣伝に弱かった。デモクラシーという形態の弱点がそこにある。世論を指導することと、世論に迎合することの差。時間が重要な要素であること。チャーチルはある程度成功した。英国で発明された議会制度は、他の国でよりも良く運用されている。「英国は貴族政治の国であるが故に、民主主義政治の国である。」 共和政体という語には公衆の利益に献身するという思想が含まれている。これが本質であろう・・・。
本書の魅力は、モロア自身の体験を通して、こうした問題を考えることができる点にある。しかもあの「英国史」「フランス史」「アメリカ史」といったすぐれた史書と同じ筆でかかれていることで、1940年のみならず欧州2000年の歴史をベースに考えることができる点にあろう。
モロアとは、すごい人だったと思う。
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