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クチコミ情報
トルク・リングはいま何処?最終巻までついにその正体を明らかにしない恩地元、彼の真の正体が垣間見える描写が本巻P.196からP.205にさりげなく織り込まれています、
それはナイロビに到着した恩地と税官吏のささいな衝突、しかし恩地の正体が決定的にあからさまになる衝突です、
当事の発展途上国ならば当然に横行していた税官吏の嫌がらせに怒った恩地は接収されそうなタバコをカートンごと握りつぶし、さらになんとケニヤ国の紙幣を破ってしまうのです、
紙幣/貨幣は国旗と並びどこの国でもその国家を象徴し一定の敬意をはらって接すべきものである、という通常の精神の大人であればあたりまえすぎるような価値観が恩地に欠けていることがここで明らかになるわけです、それもまさに国家の出先機関である税関で紙幣を破る行為がどれほどその国を侮辱するものであるか、説明無用と私は考えますが、恩地の世代はそんなこと考えたこともないのかもしれない、
その後の行動がさらに読者を白けさせます、
警察に連行された恩地はどうにか署長にとりいり事件化を避けるのですが、自分を空港へ送らせた警官にチップを握らせ何をさせたかはぜひ書中で確認してください、(それができるならもっとましな処世をしたらどうなんだ恩地君!)
恩地の心に巣食う沈まぬ太陽という信念は、国旗・君が代への対応で処分されたアカ教員が、これからも戦い続けます、と反省も後悔も決してしないのとおんなじことなんでしょう、
本書で描かれたような労使関係の緊張が存在するような企業/組織の現実の末路はぜひみんなで見届けましょう、
映画が先か、本が先か、どちらでもだいじょうぶ 昨日公開となった映画を見た。原作を読んでから映画を見るとがっかりするとよく言われるが、
よく出来た映画だった。だからと言って映画を見て筋を知ってしまうと本がおもしろくなくなる
かというとそういうこともない。むしろ3時間超と映画としては長いとはいえ、文庫本で5巻と
いう長い小説ではどうしても取捨選択してはしょわらずを得ないので、映画を見てから読むと映画
で描写できなかったディテールが分かり、面白さが増す。
この本で扱った航空会社は政権交代もありほぼ公的資金注入が決まった。本と映画で描かれた
官的体質のゆえである。映画制作の構想・企画は政府による再生が明らかとなる前であったはずだ。
その時機を得た先見性には脱帽だが、10年も前にそれを見越したような予見を内包したこの本は
すばらしいという言葉を超越している。山崎豊子おそるべしとしか言いようがない。映画と本、
双方お勧めですが、映画にはハンカチが必携です。
「白い巨塔」で育った者の読後感です。
by 左門 新
三つ星レストランには、なぜ女性シェフがいないのか
女はなぜ素肌にセーターを着れるのか
沈まぬ太陽2 アフリカ編(下)主人公に対する、執拗な会社側の理不尽な報復。これに対して、自分を信じる仲間のためにも信念を曲げず、私腹を肥やす会社側に与しない姿が感動的です。実際には、主人公のようにされることはないと思いますが、少しでも報復人事等を経験した人は勿論、そうでない人も共感できると思います。また利益一辺倒の昨今、品質安全問題にも視野に入れたこのシリーズは、時代背景にかかわらず感慨深いものがあります。
会社の非情さが赤裸々に書かれるパキスタン、イラン、ケニアと、恩地の海外たらい回しの旅は続く。
組合の副委員長として共に闘った同期の行天は会社側に寝返り
順調に出世を重ねていく。
そんな中、1972年に国民航空の旅客機がニューデリー、ボンベイ、
モスクワと連続して事故を起こす。事故調査班として現地に派遣
された国民航空社員の苦闘が書かれる。
しかし、事故原因をパイロットのミスとする社員の考えは無視され、
会社には空港設備の不備であるとの報告が出される。また、事故
原因調査に同行したパイロットが、同じパイロット仲間を擁護する
ため、自分の目で見た事実を信じず、執拗に仮定の想像を繰り返し、
空港設備に責任を求める姿にはあきれてしまった。
このような体質が、日本航空(作中では国民航空)123便墜落事故
に繋がって行ったのではないだろうか。
やがて、恩地に日本帰国の話が出てくる。しかし、それは会社側が
折れた訳では無く、連続事故の背景に国民航空の労使関係が影響
しているのではないかと国会で追及されたからであった。会社として
は、更なる僻地へ追いやる計画もあったようだ。
家族との別れ、出世を重ねるかつての仲間、海外で一人仕事をする
孤独、日本で会社に差別されながらも頑張っている組合の仲間、様々
な思いが積み重なり、恩地は精神的に追い込まれていく。
執拗な報復人事、組合つぶし、安全軽視の体質など、会社の非情
さが赤裸々に書かれるアフリカ篇。
そして物語は運命の御巣鷹山篇へと続く。
続きが楽しみ合員の待遇改善を目的に組合活動を活発に行ったことからアフリカに10年以上飛ばされていた主人公の恩地が組合員の働きかけでようやく帰国できるようになった。
アフリカ編(下)は読中爽快であったがその後はどうなるのか…楽しみである。
この面白さは最後まで挫折がないことは間違いない。
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