

|
クチコミ情報
資料としては貴重映画「カルメン故郷に帰る」のテーマ曲だった「そばの花咲く(作中では「ああ、わが故郷」)」の歌詞を調べるために購入しました。木下忠司作品をクラシック歌曲のように扱い、ピアノのみの伴奏で女性声楽家が歌います。こういうのもアリかなとは思うのですが、全体に発表会ムードが漂っており、何かもうひと味出せなかったものかとやや疑問を感じます。が、バーバパパや、安寿と厨子王丸の挿入歌など、資料的に価値ある作品だと思います。
ベストではないかも知れないが―多様性―編曲に意義既に「普通に歌えばいいのでは?」という優れたレビューがある。が、少し別な角度から記したい。
木下忠司(木下恵介の実弟)の作品が1枚のCDにまとまったということだけでも多としたい。
木下恵介監督の映画『カルメン故郷に帰る』の挿入歌「故郷」の作曲は木下忠司である。それは、足踏みオルガンの伴奏による子供たちの歌である。一方、藍川の「そばの花咲く」は藍川自身の足踏みオルガンの伴奏で歌われている。どちらかと言えば素朴な「故郷」の方が好きだがクリアな「そばの花咲く」も捨てがたい。藍川には不本意であろうが、この1曲だけのためにCDを買った。
『カルメン故郷に帰る』では、挿入歌の「故郷」とオルガンが重要なのである。それで、映画を観ているか否かによって印象(評価?)も異なるであろう。
※『カルメン故郷に帰る』のDVDの購入は中国の正規版をお薦めする。中国語の字幕をオフにして観ればよい。
普通に歌えばいいのでは?藍川氏は、著書や演奏活動を通して、日本歌曲に対する鋭い問題意識を持っている。
西洋から輸入したクラシック音楽の歌唱法のまま、日本語の本来持っている発音などに無頓着なまま歌う現状に対する疑問から、日本語の美しさ、発声などに問題意識を持って活動に取り組んでいる。
著書『これでいいのか、にっぽんのうた』などで日本歌曲を「芸術作品」として高めていこうとする著者の姿勢は評価に値すると私は思ってきた。
と同時に違和感も感じてきた。
このCDを聞いてその違和感の原因がわかった。
というのは、日本語の歌をクラシック音楽の歌唱法で歌う必要があるのか、ということだ。
彼女は日本歌曲に思いいれがあり、ここには、いわゆるクラシック音楽の作曲家のみならず、戦前の歌謡曲の作曲家の歌にも「芸術的価値」を認め、「芸術的」に高めようという努力が見られる。
このCDに収録されているのは歌謡曲、映画音楽などと一般的に呼ばれている歌である。
収録曲を見れば分かるように、映画、アニメの主題歌、特に有名なのはドラマ「水戸黄門」の主題歌だろう。
収録された演奏を聴くと、クラシック音楽の歌唱法で日本語の歌を歌うこと自体が誤った方法なのでは、と思ってしまう。
はっきり言って、音大で声楽を学んだクラシック音楽の歌手が歌う必要はなく、むしろ普通に歌謡曲歌手などが歌えば済む話では?と思ってしまう。
クラシック音楽の歌唱法でわざわざ「芸術性」なる価値をつけて歌おうとしても、私にとっては歌謡曲歌手が歌うもの、はっきりいえば「水戸黄門」のテーマで言えば「助さん格さん」が歌っているもの、他のものも実際映画で歌われたような俳優さんや歌謡曲歌手が歌ったオリジナルなものの方が、歌としては聴けると思う。
なんか「芸術性」なる価値をつけることによって、余所余所しさを感じてしまう。
クラシック音楽の発声法は西洋の言語体系の中ではぐくまれたもので、基本的に日本語と相容れないものだ。
そのことに気付いた藍川氏の問題意識はすばらしいとは思うが、それが現実の作品となってあらわれたものを聞いてみると、普通の一般的な歌い方で歌うのが日本語が一番生かされるのでは、と思ってしまった。
きつい評価になってしまったが、ここにはクラシック音楽の歌唱法が正統な歌い方だといわんばかりの姿勢を感じてしまったため、あえてこの評価を付けさせていただいた。
|