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野田高梧

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彼岸花 [DVD]

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ワンダフル!OZU

前のお二方のレビューをみて嬉しくなったので小生も少し。佐分利信…この人に子供の時があったのかしら、その重さと渋さ。「暖流」は30歳位だが今の同齢と比べるのも愚かな貫禄。この人と共演すると流石の笠智衆も必要以上に痩けて見える。この作品の役柄ではなおさら。今見直すと(自分の歳のせいか)女優陣が皆それぞれに美しい。ことに田中絹代と有馬稲子。高橋貞二が持ち味を発揮して笑える。全集の特典映像の中で桜むつ子が懐かしげに明かしているが、「ナンキンマメ!ナンキンマメ!」のカットは30回余もやり直しだったそうである。その彼もこの翌年自動車事故で早世、享年32歳。惜しいが佐田啓二ともども日本映画の衰退を見ずには済んだ。ともあれ、これは極上の小津安二郎映画に違いない。

小津監督、初のカラー作品

  昭和33年になってようやく、本作で小津監督は初のカラー撮影にチャレンジする。当初モノクロで撮る予定だったが、大映のスター山本富士子が客演することにもなったし松竹上層部からの勧めもあって、文字通り彩を添えることとなった。ただし、当時一般的であった米国のイーストマンではなく、西独のアグファのカラーシステムを採用したために、全体的にメリハリの乏しい、くすんだ感じになっている。ところがこれが今となっては逆に新鮮で、なんともいえない味を醸し出しているのだ。しかもアグファは赤の発色に優れているので採用されたという説もあって、なるほど赤の深みには独特のものがある。カラー撮影のセンスはもちろん撮影監督に負うところが大きいのだが、本作の厚田雄春のキャメラワークと、翌年大映に乗り込んで製作した「浮草」での宮川一夫の才気煥発の仕事を観くらべるのも一興か。

 久々にこの映画を観なおして感じたことは佐分利信の存在感。いつもセリフをボソボソ言ってるだけのような感じで、うまいんだかヘタなんだか全然わかんない役者さんですが、独特の重みで、画面にでるとビタっときまる。まるでジョン・ウェインみたいです。もしかしたら天性の映画スターかもしれない。彼が出演している他の小津作品は「戸田家の兄妹」「父ありき」「お茶漬けの味」「秋日和」。みんないい味出てます。

 あとは、浪花千栄子、山本富士子母子による京都弁の掛け合いが上質の漫才をみているようで笑えます。対立する佐分利と有馬稲子を常に暖かいまなざしで見つめる、田中絹代の泰然自若とした演技も全然イヤミがなくて素敵。さすがは大女優!小津監督は脇役に見せ場を作るのが本当にうまいですねえ。これまた必見です。


小津映画のエッセンス満載の、昭和33年の空気を満喫できる名品

原節子は出演しないし、笠智衆は脇役だが、小津映画のエッセンス満載の傑作だ。いつもながらの娘の結婚を巡る家族のちょっとした波乱、親同士、娘同士の絆を軸に筋は展開する。大事件が発生する訳ではなく、似たような話なのだが、小津映画は作品ごとに工夫をこらして、飽きることがない。本作の場合は、娘(有馬稲子)が父親(佐分利信)の反対をおしきって結婚したり、笠智衆の娘(久我美子)が同棲生活を始めたりして、父親達を失望させるのだが、最後には娘の幸せを願う気持ちになる。「親は子供の幸せについていくべきなんだ」「子供が幸せになりゃ、親はそれでいいんだ」「結局は子に負ける」という父親の子供への愛情の発露。結婚の本質を捉えた「真鍮を金にする。それが本当の結婚だ」も名台詞。家族を持つ者として心に染みる。そして、本作を特徴づけるのが、独特の統一感のとれた色彩美。冒頭のクレジット・ロールから引き込まれ、昭和33年の空気を満喫できる。

豪華な女優陣の競演も期待に応える。でしゃばり過ぎずに娘の望む結婚へと父親を誘導する母親役の大女優・田中絹代の、妻・母親の一つの理想像を演じる貫禄・たたずまいはさすが。浪花千栄子は芸達者だし、山本富士子は大輪の花のようなあでやかさ。非のうちようがない。

父親たちが小料理屋(女将は高橋とよ)で一杯やったり、クラス会を開くシーン(どちらも中村伸郎がいい味出してます)、部屋の中の静物(例えばヤカン)を何気なく捉えるショット、どこからともなく聞こえるオルゴールやピアノの音など、他の小津映画でも登場するパターンは本作でもふんだんにあるが、私はこの小津映画の世界が好きでたまらない。駅の場面から始まり、去り行く列車のカットで終わる整合性。本作は小津映画の様式美の1つの頂点を極めた作品と評しても過言ではないだろう。



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子供の幸福を邪魔する親という存在

大映に招かれて撮った前作『浮草』では慣れていない場所で作ったせいか作品全体にどことなく緊張感が漂っていたのだが、再び古巣の松竹に戻って小津が撮った本作品は、肩の力が抜けた小津の“余裕”さえ感じられる1本だ。今までの「父と娘」というテーマに少し変化を加えたこの『秋日和』、定番娘役の原節子がお母さん役となって登場し、その母を思いやる娘役に若き司葉子が扮している。

いきなり父親の7回忌からはじまるこの映画、娘のアヤ子(司葉子)から「おじ様」と慕われている亡父の友人3人組(佐分利信、中村伸郎、北竜二)が、父不在のこの映画で父親の代役をつとめている。美人のアヤ子の嫁ぎ先に世話を焼きたがるこの3人、その昔やはり美人の未亡人秋子(原節子)にどうも気があったらしく、なんだかんだいって秋子に対する下心が丸見え。一人ぼっちになってしまう母親を心配して縁談を断り続けるアヤ子を嫁がせるために“ある作戦”を企てるのだが・・・。

定番のローアングルこそ健在だが、切り返しショットや同じ台詞のリフレインといった前衛的手法?はさほど目立っておらず、映画全体に漂うユーモラスな雰囲気が観客をリラックスさせてくれるのだ。早大卒で○○商事勤務、社内のバスケットボールチームのキャプテンで・・・といった絵に描いたようなエリートをアヤ子とくっつけようとするのだが、TVドラマなどに出てくる中身スカスカの主人公たちとはちがってあまり嫌味ったらしく見えてこないから不思議である。

それは、(おそらく学歴コンプレックスがあったであろう)小津安二郎のエリートと呼ばれる連中に対するどこか冷ややかな視線や、一見「母と娘」の美しい親子愛を描いたように見える本作品の根底に、“子供の幸福を邪魔する親の存在”というブラックなサブ・テーマをこっそりと潜ませているからではないだろうか。小津作品を見終わった後にいつも感じる一抹の寂しさは、そのせいなのかもしれない。


ほのぼのと楽しめる小津コメディー

小津作品の中でもコメディーの要素が非常に目立つ映画である。物語自体は「晩春」に類似しているが、父と娘の関係を母と娘の関係に置き換えており、小津監督の女性の心理に対する洞察力に脱帽する。佐分利信を筆頭にした、三人の中年男のやりとりが面白く、笑いを誘う。世代は違うが、縁談に翻弄される原節子と司葉子には、なんとも言えないセックスアピールがある。出色は、岡田茉莉子のキャラだろうか。キビキビとした言動に、当時のOLの中にも、このような人物がいたのかもしれないと想像すると楽しくなる。

星一つ引いた理由は、セットの多用で、構図がスタティックすぎること。おそらく予算の関係なのだろうが「東京物語」などと比べると、ロケが少なく、さながら舞台劇を見ているような気がしてくる。もともと静的な小津映画ではあるが、もう少し映画らしい映画にしてほしかった。


岡田茉莉子ファン必見

それまで司葉子のシャドー的な存在だった岡田茉莉子が、途中、司と入れ替わるように映画の中心人物になるんですねぇ・・・。驚きました。
岡田茉莉子ファンなら絶対に見るべき作品。


「晩春」と鮮やかな好一対をなす名作

60年公開の、小津監督カラー作品第4作。原節子を起用したカラー映画としては最初の作品。「晩春」と似たストーリーで、配偶者を亡くして親が娘の結婚を心配し、娘は寂しくなる親の将来を案じて結婚を考えたくない。そういう中で娘が結婚しやすくしようと親の再婚話が浮上し、娘は不潔だと反発する騒動がもちあがるが、最後には親は「今さらもう一度麓から山へ登るなんてこりごり」と自分は再婚しないが、「あなたはこれからなんだし、先々どんな幸せが待っているかわからないじゃない」と娘を最後の2人旅行の宿の夜にさとす。そして娘は結婚式を無事終え、親は寂しくなった家に戻り、万感胸に迫るものを感じつつ、うっすら笑みを浮かべて静かに終わる。粗筋だけ見ると晩春と同じではないかと思うが、晩春とは男女の立場を一部入れ替え、また世相の変化を反映している。すなわち、「晩春」と対比すると、以下のようになる(左が「晩春」で、右が本作)。

親:父親(笠智衆)、母親(原節子)
娘:原節子、司葉子
結婚相手:登場せず(見合い)、佐田啓二(佐分利信の紹介→自由な交際)
世話焼き人:親の妹(杉村春子)、亡父の友人3人組(佐分利信、中村伸郎、北竜二)
親と世話焼き人の男女が入れ替わっているのが面白い。特に3人組は飲み友達で、北竜二は昔からのあこがれの女性と結婚できるのかと心ときめかせるが、結局ダシに使われただけ。この3人組と娘の同僚・岡田茉莉子が映画全体をユーモラスなトーンにしている。しかし、一番心に染みるのは親子での最後の2人旅行となる宿の夜の場面だ。原節子の屈指の名演技といっていいだろう。そして変わらぬ原節子の美貌。まさに「雨に悩める海棠」だ。


これまた完璧な

 戦前のサイレント時代に岡田時彦というたいへん美男の俳優さんがいて、小津作品にも何本か出演している。芸域がとても広いひとで、悲劇のヒーローからドタバタコメディからなんでもできたそうである。残念ながら30代前半で肺結核のため他界して、トーキー時代まで生き延びることはなかった。

 話は変わって、岡田茉莉子がこの映画に出演したあとで、なぜ自分にこの役をあてたのかと小津に直接問いただしたらしい。小津の答えが

「岡田時彦の娘だから多分できると思った。」

 簡単ですが、大変重みのある答えです。この映画における彼女の演技はかなり難しい。従来の日本映画にはあまりない役で、ハリウッド風コメディ映画のバタ臭さを要求される。本作の出来は彼女にかかっていると言っても過言ではないのだが、その難役を見事に演じ切って、本作を傑作に仕上げている。つまりは「血」のなせるワザか?

 亡き友の娘の嫁入り先を案ずる三人のオヤジたち(佐分利信、中村伸郎、北竜二)がいる。その娘の友人で、三人オヤジを手玉にとるチャキチャキ娘が彼女の役。本作の喜劇的なトーンを決定的にしているのは、三人オヤジと岡田の絶妙のアンサンブルで、まるでクラシック音楽の対位法のような効果を生んでいる。

 「亡き友」の未亡人が原節子、娘は司葉子。司の結婚相手に佐田啓二。三人オヤジのなかでヤモメの北竜二が、他の二人に原節子と結婚しろとそそのかされて、すっかりその気になるのもおかしいし、彼らの会話にさりげなく、猥談が盛り込まれているのも一興。そしてカラー撮影に慣熟してきたと思われる小津の演出は、いろいろな意味で円熟の極みといえよう。他に岡田の斬新な衣装など、見所はじつに多い。これまた必見です。



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字幕つき・・・

 小津安二郎氏・・・。日本を代表する日本を描く映画作家・・・。全身の力が抜けるとはこのことで、見てる自分はまるで陽のあたる縁側で寝てる猫のよう・・・。時代は関係ないと思う。よく、小津さんの映画を、日本の日常のよく有り触れた・・・と形容するごく簡単な会話をよく耳にするが、実際にこういった長閑な家庭がいったい日本のどこに或るのだろうか。小津氏はヒッチコックやベルイマンのように構築した世界を貫き通した、まさに世界を代表する個性的な映画人でしょう。だからこそ、見る価値があるのです。コミュニケーションが壊れた現代人は特に重宝して観るべきです。僕は『晩春』を拝見しましたが、現代日本の、また自身の雑多な毎日が滑稽と思えるほど胸に染みて参ります。いつまでも、いつまでも・・・。このような独特の世界を築き上げたのが日本人だったとは、驚きと同時に同じ日本人として誇りを持てます。

麦秋と晩春

小津の映画の題名は しかし ほんとうに素気ない。志賀直哉と小津が仲が良かった様子だが 確かに志賀の短編の題名の付け方に 似てなくも無い。それにしても この表題の2本こそ このBOXの白眉である。いずれも底光りするような傑作であり 数年に一度くらいは見直している映画である。特に杉村春子は絶品。コミカルで 品が無くて しかし人が良いというオバサン役が素晴らしい。彼女がほろりと涙ぐむ場面等は何回見ても唸るしかない。

それにしても 昔は小津は 銀座並木座で見るしかなかった。このようにDVDでいつでも見れるという環境は恵まれていることは確かだが それでも 並木座を失った我々としては 何か引っ掛かるものが心にあるのも確か。

親孝行に最適かも

このDVDの出演者は名前ぐらいしか知らない人々です。なぜ購入しようと思ったかというと武田鉄矢氏のラジオ番組で「晩春」が紹介されていたからです。出ている女優、俳優は知らない人ばかりでしたが、素敵な人だと思いました。日本にもこんな映画財産があることを知りませんでした。いいものはいいと評価しないといい魔もが残りませんね。

私の場合は親と一緒に見ることができました。親孝行になりました。母の日にいかが?

誰が管理者なのか?

本来は1作ごとに廉価で別売りされるべきとおもうので、このような高価なボックスは星ひとつと評価します、

現在では、小津映画のような古い作品が商品化されたり放映されたりする場合、「製作されてから長い年月が経っておりますので、お見苦しい個所がありますが、なにとぞご了承ください」といった文言が付加されるのが当たり前の状態になっています、

それしか見ることが出来ないのですから購入者や観客にとっては了承するもなにもないわけですが、果たしてその原因は「製作されてから長時間経過したから」なのでしょうか、

たとえば小津映画と同時代に製作されたロバート・ジョンソンの60曲ほどの録音は現在残っている当時のSP盤をレストアした音以外には残っていないわけで、これこそ当時の「レコーディング」技術を考えれば仕方のないことですが、撮影された「フィルム」はまったく違います、

現在も所有権や著作権を有する企業が自社の商品である「映画フィルム」について商品価値なり文化的価値を感じてまっとうな管理を実行していれば、いまでも私たちは小津の全作品を美しい映像で見ることができたはずです、「企業の志の低さ」がフィルムを散逸させ、幸運に残ったフィルムにしてもノイズだらけにしてしまったわけです、同じ企業がやはり低い志のもとに本作のような高価なボックスセットを臆面もなく発売しているのが現実でしょう、

小津安二郎 DVD-BOX 第一集 DVD

もともと小津映画のファンでしたので、すべてそろえて10万円の定価に迷いましたが、買うことに決めました。Amazonを選んだのは、調べたなかで値引率が最も高かったからです。24時間以内のふれ込みでしたが、商品が届いたのは申し込みから2日目でした。DVD-BOXは布張りの装丁が美しく、ブックレットも映画のスチールがふんだんに使われ、資料としても価値のあるものです。特典ディスク「まほろば」は2時間を超えるボリュームで、鑑賞の手引きとしておおいに役立ちました。肝心のDVDは、以前スクリーンで見たのと同じアグファカラーの深い色合いがブラウン管に再現されていて大いに満足しました。


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シナリオ構造論 (1952年)

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シナリオ構造論 改版

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脚本家にとっての生涯の友!

概念的なことから、技術まで、
脚本とはなんぞや? という問いに答えを出してくれています。
少々古い本なんで、堅苦しい文章だったり、
今では見ることのできない映画(ビデオにもならないくらいの古い映画)
の話も出てきたりで、理解に時間がかかってしまうかもしれませんが、
一生涯、脚本家として付き合う入門書としてはこの本以外ないでしょう。



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日本シナリオ文学全集〈第7〉小津安二郎,野田高梧集 (1956年)

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