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雨月物語 [DVD]

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雨月物語 [DVD]

溝口健二 京マチ子 水戸光子 田中絹代 森雅之 小沢栄太郎 青山杉作 羅門光三郎 香川良介 上田吉二郎 毛利菊枝 
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正直なところ...

一旗揚げようとする戦国時代の百姓たちの物語。
「利益」や「権力」を求めて故郷を出て、その果てに気付く故郷と日常の価値の大きさ。

初めて溝口健二監督の作品をみた。
評価の高い邦画ということだが、
ストーリーがオーソドックスなことと白黒映画に見慣れないことで、
正直なところ少し眠たくなることもあった。

淡々としたストーリーが好みでないということかもしれない。
逆に、原作2編を違和感なくひとつの物語に作り上げたことは素晴らしいと思う。

他のレビューアーの皆さんのようにカメラワークなどに気が回るのは先のことになりそうだが、
もっとたくさん名作を見て目を養いたい。


普遍と特殊

初めて溝口の作品を見ました。映画に求めたいたものはきらびやかな映像美であった私にとり白黒の作品というのはどうも偏見に基づく抵抗があり今まで見ることはありませんでした。海外での評判もしょせん無知に基づくオリエンタリズムがなせるものとの偏見が大きく作用していたようです。他のレヴューアーの皆さんが指摘する映画技術上のポイントは今でもわからないというのが正直な感想です。でもここにはたしかにオリエンタリズムを超える普遍があるというのは見ることによって得た新しい発見でした。この「普遍」が雨月物語の持つ日本の文化のディテールの描写とこのように見事に融合した場合に引き起こしたこれほどの世界的な賞賛は必然だったのでしょう。「権力」や「利益」を求めて故郷と日常から戦国の動乱へ飛び出した男たちが、現実と永遠の幻想の後に見出したものは、故郷と日常の価値の再発見でした。農作業と焼き物の日常が描写される結末のシーンは永遠の真理を現しています。現実の残酷な描写はあくまでも隠喩で描写され、幻想の描写は細かく小道具を使い描写されるのは見事なコントラストです。そして田中絹代と京マチコとの対照的なcharacterisationも見事にそれぞれの女優の個性を反映したものです。

初めて知ったすさまじい衝撃

この映画は、今はなき銀座の並木座で見ました。古い土蔵の白い漆喰の上に映し出されたかのような光と影の”雨月物語”は「映画とはこういうものなのだ」という事を初めて知ったすさまじい衝撃を思い出されます。DVDになると映画と違って映像作品になってしまいますが、それでも地獄の底のような静けさが作品の深いところに常に流れています。これは日本映画の傑作などと言う、ちんけな評価ではなく、この日本という島国に太古から流れている神聖、崇高なたたずまいを光と影で写し撮った世界宝とでもいうべき”映画”です。

幽玄の美、戦乱の中の男の迷いと女の苦しさ・健気さを鮮やかに描いた巨匠の最高傑作

ゴダール監督が好きな監督を3人挙げよ、と問われて「ミゾグチ、ミゾグチ、ミゾグチ」と答えた有名な話がある。本作はその巨匠溝口監督の最高作と私が考える1953年の作品。ベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した、日本映画史に燦然と輝く大傑作。日本の白黒映画でこんなに美しい作品はない。俳優は大変だろうが、溝口流長回しが画面をひきしめ、視聴者を引き付ける効果は絶大。長回しの間のカメラの移動、フレームに出入りする俳優の場所を計算した均整のとれた構図、光の明滅と影の綾なす様、それらをパンフォーカスで一瞬のぶれもなく画面のすみずみまで捉えた、撮影・宮川一夫を初めとする溝口組の技量に目を見張る。源十郎(森雅之)が荒れた自宅に帰るも無人なので一旦外に出て再び家に入ったときに亡霊の妻・宮木(田中絹代)が囲炉裏で仕事をしているのを見つける1カットはマジックだ。朽木屋敷での幽玄の美も農村の庶民の苦しい生活も鮮やかに撮影され、かつ品格がある。録音状態もよく、字幕は不要。

本作は全九編の情緒ある怪異小説・雨月物語から蛇性の淫、浅茅の宿の二編を脚色している。戦の続く戦国時代の2組の夫婦の話で、どちらの夫も欲(金銭、立身出世)に迷い、源十郎にいたっては幽霊・若狭(京マチ子)に誘惑される。正体を見破られた若狭の表情の変化は女の業の強さが印象付けられる名演技だ。残された妻子は、戦の中悲惨な運命をたどる。が、何れも目が覚めた夫を妻は受け入れる。特に宮木はあの世からさ迷い出て夫との再会を果たし、その後も夫を暖かく見守り続けるのだから何とも切ない。ばかな男と健気な女性(若狭を含めて)の話で、オープニング・タイトルで女性3人を配役の先頭に持ってきたのは監督の女性観の表れか?

最後に、本作は著作権切れの作品。廉価盤の登場はそのため。


雰囲気、たたずまいの映画

人生とは、幸福とは、夫婦とは、教訓めいたものも感じられます。
それに関しては、時代、世代、その人の歩んだ人生、その人の今の状況で賛否があると思います。

しかし、朽木屋敷のたたずまい、そこに住む若狭(京マチ子)の表情、語り口、仕草、振る舞い、そして、源十郎(森雅之)が朽木屋敷から国の家へ戻り、囲炉裏端で鍋の用意をしている妻の宮木(田中絹代)と会話を交わすシーンは文句無しに凄いです。


雰囲気、たたずまいの映画だと思います。



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殺伐とした戦国時代の「妖しくも美しい日本」を見事に表現。

 溝口健二の作品を初めて観ました。冒頭から惹き込まれました。殺伐とした戦国時代を背景に「妖しくも美しい日本」が見事に表現されています。予告編の「映画界最高のスタッフを得て」「文芸最高巨篇」という言葉に全然偽りはありません。ところで、最初に観た時に小津安二郎を彷彿させましたし、成瀬巳喜男に似ていると思いました。原作は読んでいませんでしたが、これから読みたいです。

 京マチ子は、平安風のメイクや衣装がよく似合っていますし、予告編にある「陶酔を秘めた魔性の女」という雰囲気がとても出ています。「お姫様」という役柄は、演技力だけじゃなくて女優自身にも気品が無ければ演じられませんが、「妖しくも美しいお姫様」を見事に演じています。毛利菊枝演じる右近も、「この世の人間ではない魔性の者」といった感じでゾッとさせられました。
 森雅之は、『浮雲』で観ましたが、今回も特徴が有る声や台詞回しですぐ森雅之と分かりました。『浮雲』とは違うタイプですが今回も駄目男を上手く演じていて、駄目男を演じるのが上手い俳優だと思います(『浮雲』もお薦めします)。
 田中絹代は、森光子みたいにハキハキした声質なのかと思っていたので、柔らかい声質で驚きました。市原悦子を彷彿とさせます。吉永小百合に通じる何かを感じます。庶民的で可憐なスターとして一世を風靡したのも頷けます。
 小沢栄は野心家の男を好演。水戸光子はハキハキした声と台詞回しで熱演しています。


最高の映画

溝口作品の中で最も好きな作品です 映像美を含めストーリーもかなり面白くあっという間に
時間が過ぎます 役者陣もそれぞれの良さを最大に発揮しています 音楽も何もかもが完璧
ラストは本当に凄くて感動しました。 もうどういっていいか解らないぐらい素晴らしい
是非見てください それしかいえません


永遠の名作!

 ヌーベルバーグの監督たちが評論家時代に、日本映画最高の監督は「ミゾグチ」である、と位置づけたのは、この映画を観てからである。エイゼンシュテインのモンタージュ理論の対極に位置する、溝口の「ワンシーン・ワンカット」の撮影技法の迫真性は言語や文化の壁を軽々と乗り越えて、トリュフォーやゴダールなどの「若造たち」の心さえもをわしづかみにしたのだろう。クレーンを使って登場人物を俯瞰で捉えて、移動しながら撮影するという溝口の普遍的なキャメラワークは、その後のゴダールやベルトリッチ、さらにはアンゲロプロス等の作品に容易に見出すことが出来る。

 田中絹代、森雅之そして小沢栄太郎らの名演技に加え、白黒のコントラストに絶妙の冴えをみせる宮川一夫のキャメラ等、見所満載ですが、美術が水谷浩でないのが唯一の心残り?それでもやっぱり何もかも失った森雅之が自分の家に帰ってからのモノ凄い演出にあらためて脱帽、最敬礼です。

 でも、個人的には戦後の溝口のナンバーワンは昭和26年に新東宝で撮った「西鶴一代女」。その次に昭和29年の「近松物語」。そして本作かな。それでも色あせぬ永遠の名作。必見です。


世界に誇る映像作家

おぼろげな灯りを背景に浮かび上がる幽霊の影、真っ暗闇の中にきらめく白刃、夜明けのあばら家の隙間から差し込む朝日。モノクロ映像ではあるが、ライティングにかなり高度なテクニックを駆使しているのが伝わってくる作品だ。溝口監督の代名詞となっている<長回し>が封印され、非常に短いシーンのみで構成されているのは、物語の流れよりも映像の美しさを優先させた結果なのかもしれない。

商売の成功や立身出世のために家族を捨てる藤兵衛と源十郎。その犠牲となる女房の宮木と阿浜。本作品は、藤兵衛にとり付く若狭役の京マチ子の妖艶な演技がクローズアップされがちだが、藤兵衛の女房・宮木を演じた田中絹代の地に足のついた演技が印象的だ。まるでNHKの女子アナのようなしっかりとしたしゃべり方は、当時早口でしゃべる俳優が多い中で一人異彩をはなっている。けっして美人ではないが、不思議な存在感のある女優さんだ。

上田秋成の原作9編の中から2編を抽出し違和感なく合体させたオリジナルの脚本は見事。陶器職人の藤兵衛を慕う2人の女を、同じ幽霊として登場させながら対照的に描き出した演出もすばらしい。ヌーベル・ヴァーグを牽引した世界の名だたる映画監督たちがリスペクトを寄せる、巨匠・溝口健二の世界を十分に堪能できる傑作だ。



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