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抜き身の日本刀この映画は私にとってただの映画ではありません。
冒頭、父親役の菅井一郎が小鳥のエサをこしらえてる場面。
何気ないあの場面を見ただけで、得体の知れない寒気が走り、背筋がピンと伸びる。
あとはラストまでずっとそんな状態が続きます。
こんな特殊な緊張を強いられるのは、数多い小津作品の中でも「麦秋」だけです。
「麦秋」は間違いなく、他の作品とどこかが違うと思います。。
一体どこが違うのか、技術的なことは私にはよくわかりません。
ただ、見る度にいつも感じるのは、この映画には無駄なものがまるでないということ。
セリフや俳優の演技はもちろん、小道具や背景に至るまで、画面に登場するありとあらゆるものから無駄という無駄を徹底的にそぎ落とし、
鋭利な刃物の切れ味を持つまでに磨き上げている。
そんな感じがしてならないのです。
切れすぎる刃物というのは、それだけで恐ろしいものです。
抜き身の日本刀の上に素足で立たされているような緊張感と恐怖。
そういうものを、「麦秋」を見る度私は感じているのかも知れません。
こんな感じを受けるのは私だけでしょうか。
それとも、他の方も、得体の知れぬ寒気を覚え、身のすくむ思いをされるのでしょうか。
それを確かめるためにも、未見の方は是非一度、この世紀の傑作にチャレンジしていただきたいと思います。
あなたは「麦秋」を愉快なホームドラマとして楽しめましたか。
それとも私と同じような寒気を感じましたか。
笑い過ぎて顎が痛くなります(^^)/‾‾‾役者さん達、ほんとに素でやってるんでしょうか。わしらは、酔っぱらってもあんな芸は、
出来やしません。ねぇ〜ねぇ〜が移りそうで怖い。
きっと、スタッフ全員が、何か得体の知れないモノを食らって創ったのかも知れません。
これは、誰もリメイクしないように巧妙につくられた恐怖映画かとも思えます。
不自然過ぎて、恐ろしいのであります。
じゃんじゃん(T_T)
淡々としたホームドラマ 小津の映画の中で 個人的に一番好きなのが本作だ。
婚期を逃しかけていた娘(原節子)が結婚し、秋田に引っ越すことを機に 大家族が離散し核家族に分かれていく様を いつもの通り 淡々と描いている。原節子の結婚相手は 子連れの男やもめであるというような 若干の「事件性」は有るものの 基本的には ごくありふれた家族ドラマだ。
そんなドラマなのだが 何べん見ても飽きない。
原節子が結婚を決意した際に 姑になる 杉村春子が「あんぱん食べる?」という名高いシーン、
一家離散が決まった後に行う家族の集合写真撮影の場面、
原節子が友人の淡島千景と結婚を決意した気持ちを伝える場面、
ありふれていながら妙に心に残る場面が忘れがたい。中でも 僕は最後に 麦畑の中を歩いていく婚礼の行列の美しさには 毎回惚れ惚れとしてしまう。
こういうホームドラマを 果たして今の僕らは作ることが出来るのだろうかと思ってしまう。そう おそらくとても難しいのだ。
隠れたムフフ映画…セーター姿の原節子の乳首のポチポチが妙に気になります。隠れたムフフ映画ですね。別の意味で男性ファンを引きつける小津作品です。
極め付きの叙情!! 「晩春」、「東京物語」と並び称せられる小津の代表作。「晩春」の続編のようでいて、味わいは大いに異なる。すなわち原節子が嫁に行くことにより、一家が期せずして崩壊してゆくことを、ある種の諦念というより無常観をもってきわめて叙情的に描いている。そして小津作品における原節子の「嫁に行きそびれている」娘役はこれで終わり。
配役もひねりあり。笠智衆は原節子の兄の役で、その嫁に三宅邦子、父親役はなんと溝口組の常連の菅井一郎、母親に東山千栄子、原節子と最後に結婚するバツイチの医者に二本柳寛、その母に杉村春子、奈良から来る原のおじいさんに「七人の侍」の村長の高堂国典(好演です)。
心に残る名場面は、原がとなりの杉村を訪ねたときに、息子の二本柳が留守でいないのに、彼と結婚すると突然決意表明するところか。そのときの杉村の喜びをあらわす演技は素晴らしいし、最後に原に
「ねえ、あなたあんパン食べる?」
と尋ねるのがおかしくて絶妙です。これも今では絶対に作れない映画。必見。
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