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MW(ムウ) (2) (小学館文庫)

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MW(ムウ) (2) (小学館文庫)

手塚 治虫 
MW(ムウ) (2) (小学館文庫)
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二度と忘れられない

最後の最後で、ニヤリ、ですか…。しかしこれ、本当に三知夫なんでしょうか。もしこれが兄の方だったら?あんなにそっくりに描かれていて、最後の争いで撃たれ死んだのは本当に三知夫の方と断定できるのか?…と、私は思っているんですが、どうでしょう。もしあのニヤリが兄だったら…ヤバいでしょう。MWの「せいで」人格に異常を来したという点だけがマシだったのに、元来ストレートに異常な人物が最後に生きてしまう事になるから…いや?むしろ人格異常は実はMWのせいではなく遺伝で…?。…まあ、考えすぎは承知なんですが。でも私は次なる悪の登場をどうしても考えてしまうんですよ。戯れ言ですがね。 『悪魔も神さまも結局同じものなんじゃないかしら?』…そう、人間は、人間が造ります。戦争も、毒ガスも、罪も、そして愛も。善も悪も全て同じ、人間が産み出しているんです。悪魔とは?神とは?いくら偽善を装ったって、いくら悪を重ねたって、答えは同じ、人間だ、とだけ、手塚さんはここに答えてくれます。 見つめる、という事。できていますか。目を背けたい人にほど、この本がバイブルになるでしょう。

この本が手塚作品の代表作であるかどうか

手塚治虫という人が、一筋縄ではいかない人なんだと実感させられる、大人向けの代表作品であると思う。
いろんな意味で、非常に怖く、また現代的である。
手塚作品には、サイエンスフィクション的に未来を予測したものが多いが、社会・風俗という方面でも未来を見通したものが少なくない。
そして今、手塚の見通した「未来」に生きる我々は、その多くが、手塚の予測通りに実現していることを知っている。その中には、実現して欲しくない未来も含まれている。
この作品に込められた、荒廃した人間像、退廃の宗教観、好戦的な人類像など、いずれも実現して欲しくない未来だった気がする。

どうしても、人に潜む心の恐ろしさを(わかっているんだけど)、こうも赤裸々に描かれたくなく。。。多分文字ベースの小説文学なら許容できても、想像を拒む「絵」である漫画では、人の心の恐ろしさもダイレクトに描かれるようで。。。
僕はちょっとしんどかったなぁ。
しかしとにかく、すごい人だと思う。手塚治虫という人は。 


人間の存在悪を曝け出した非凡なる漫画という形のアート

現在開催中の江戸東京博物館の手塚治虫展で、その内容紹介に惹かれて購入しました。1928年生まれの手塚さんは第2次世界大戦を経験していますが、手塚治虫展の本に収められたインタビュー記事で宮崎駿さんは「空襲や戦争を経験した者は、存在の奥に黒い穴みたいなものが開いているんです。自分ではどうしようもないもの。手塚さんも持っていたはず」と語っており、その「黒い穴」が手塚さんにこの漫画を書かせたのだと思います。

優れた小説、クラシック音楽、絵画にここ数年触れてきましたが、医学部を卒業し、小説や音楽にも造詣が深かった手塚さんのこの作品は、戦争という悪から離れて生きられない人間の存在悪を、かつては無垢なる存在だった主人公の結城の悪行をもって、これでもかこれでもかと曝け出し、結城と身も心も深い関係にある神父の視点を通して我々読者がこの根源的な問題に悩む仕掛けが施されています。優れた文学作品にも劣らない、人間の根源的な問題に肉薄した非凡なるアート(芸術)だと思います。


想像よりも

読後の私見。
手塚治虫の最大の問題作なんてことを伝え聞いたので早速読んでみた。
主人公は幼少の頃微量の毒ガスの影響を受ける。
自己中心的・嘘つき・冷淡・無責任・攻撃的、
退屈しやすくいつも刺激を求める・衝動的で抑制ができない、
いわゆるサイコパスである。
その主人公の暴走を止めようとする神父。
内容は思っていたより平凡で退屈だ。
発表当時は問題作だったかもしれないが、
今の時代刺激的なニュースや事件などのリアル、
映画や小説・漫画・アニメなどのバーチャル、
その双方になれている現代人にとってはそれほど問題作とは感じなかった。
むしろ手塚さんらしさを感じた。
最後のオチもありがちな感じでした。


なに?この作品は…

最初に思ったのはこの言葉です。読み終えた時、愛や正義をモチーフにした天才の手塚治虫がこんな作品を作り挙げたことにある意味での喜びや感動に胸が震えました。一つの計画を自らを犠牲にしてまで成功させる、警察までも欺く青年。このような作品は近年出され社会現象を生みましたが、その原型がこの作品のように感じます。


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「ようやくはじまったところだ。俺はやめない。お前もやめない。俺たちは何も怖くない。」

 本書は、漫画の神様・手塚治虫がかつて『ビッグコミックス』誌上(1976年9月10日号〜1978年1月25日号)に発表した衝撃の問題作『MW−ムウ−』を基に7月4日に公開された映画『MW−ムウ−』(監督:岩本仁志、主演:玉木宏)のノベライズである。

 バンコクで起きた日本人誘拐事件の背景に16年前に起こった沖之真船島での “MW−ムウ−”にまつわる一連の事件に隠されていた謎をそのとき島に残された二人の少年・結城と賀来が互いの絆を深めながら島の関係者に近づきひとつひとつ真相を暴いて行く…。

 島の出身者で現在、LA新世紀銀行に勤務するコーポレートファイナンス部次長・結城美智雄と山の手教会で聖職に就く神父・賀来裕太郎、誘拐事件の捜査に二人の関与を疑う警視庁捜査一課の沢木、16年前に起きた沖之真船島での事件と疑惑に関心を抱く東京中央新聞社会部記者・牧野京子、沖之真船島での事件の鍵を握る現内閣外務大臣・望月靖男などなど…。

 現時点では映画を未見であるが、『MW−ムウ−』のイメージを損なわないよう工夫を凝らしているものの原作の愛読者としては、読後感として今ひとつ物足りなさを感じた。最も大きな要因は、原作にもあった結城という神をも欺く悪魔のような強烈なダークヒーローの存在感が(原作が素晴らしかったせいか)感じられなかった事が大きく、本作では、単なる異常な殺人鬼のような印象を受けた。それでも作り手が原作の骨格部分を大事にしている事は伝わったし、特に原作では、あの背筋を凍らせるような衝撃的なラストが印象的であっただけに本作はどのように対応しているのか気になっていたが、原作とは違うもののある程度は納得できた。

 余談であるが、沢木が結城の部屋を家宅捜査する際に協力する本庁の鑑識員・麦山攻(名前からして『相棒』のあの人を連想させる)には大笑いしました。


補完として

映画で語られていなかった部分、特に二人の少年時代や川村記者、村越神父についての補完品としてはいいと思います。原作はもちろん、ノベルやパンフ、ビジュアルブック、各インタビューを網羅してから再度映画を見ると、かなり違った印象を受けました。映画は尺の関係もあってか結城と賀来の関係性が今ひとつ説得力に欠ける…というより弱いのですが(原作とは随分変えてきていますし)、これを読んだらいくらかは理解しやすいです。
映画でツメの甘かった部分(突っ込みまくった部分)も描写不足の部分もきちっと描かれていて、脚本家さんと話し合って、ノベル版と合わせた作品に仕上げてほしかったかも。

文章は確かにちょっと古臭いですね。映画の結城のドライでスタイリッシュなイメージをがっちり意識して読まないと、首を傾げたくなるところもありました。また、結城と賀来の関係をそう固定しちゃうと、原作・映画を否定しかねないので、加減が難しいなと思います。

映画を見た後で、補完として読む分にはお勧めです。



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