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ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

村上 春樹 
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
定価:¥ 540
新品最安価格:¥ 540
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喪失感とエロティシズムの小説

全編を通じて現代の喪失感、エロティシズムが漂っており、読後感は村上春樹の小説ならはで、独特の世界観があります。
再読でのコメントになりますが、この小説は頭で読むものではなく、感覚で読む小説ですね。
20代に読んだころは、登場人物に共感できず、何を伝えたい小説なのか全く理解できませんでしたが、
30代になって読み直すと、小説の中の会話や描写が描き出す独特の喪失感は、
現代の一側面を強調しつつ、抽出したものであり、その世界観をそれなりに楽しんでよむことができました。
メッセージとか希望、面白さを求める小説ではないです。余裕があるときに読むと楽しめる本と思います。


女子には受けません

女の子の登場人物(直子、緑、レイコ)が
有り得ないセリフや行動ばかりなので
多分女性が読んでも感情移入できず
しらけてしまいます。

女の子は好きな人がいても
肉体関係をそこまで求めません。
(子供が欲しいとか、別の目的があれば別ですが)
ロマンチックな雰囲気で一緒にること自体に
喜びを感じる人が多いと思います。

強いて言えば、少年漫画に出てくる
理想的な?女の子です。

大して魅力のなさそうな男の子が
複数の女の子に好かれて
積極的に身体で奉仕してくれるなんて
きっと男性の妄想上では
素晴らしいんでしょうね。


映画化と知って読んでみました。

村上春樹作品を読むのはこれが2作目。前回は1Q84を読みました。
元々自分は、恋愛小説をほとんど読みません。好きなのはミステリーとファンタジー。ノルウェイの森を読むキッカケは1Q84を読んで他の村上作品に興味を持ったのと、「映画化」と本の帯に書いてあったからです。
37歳の主人公が飛行機の中でビートルズのノルウェイの森を聴きながら大学生の頃の切ない記憶を想い出して行く。高校時代の親友の恋人・直子と、同じ大学の緑という2人の女性への恋愛物語。全体的にしっとりとしたストーリー展開。特に嫉妬や裏切りみたいなドロドロな展開はなく、過去の経験を語って淡々と進んでいく。そんな中に生と死のテ−マがあり、軽い恋愛小説で終わっていない。若さ故か、主人公の周りの人間で自殺しちゃう人が多いのはいかがなものか(苦笑)下巻まで読んでの感想は、切ない。心の傷を癒すのは簡単でないと知っているが、もう少しハッピーな展開になってほしかったな。
映画を観るかはわからないが、読んで後悔はしていない。


ノルウェイの森=男の妄想−亀甲縛り

 本書が出版された頃、評者は高校生だったのであるが、当時純文学のミリオンセラーということで随分話題になりました。クラスの女子などが赤と緑の本を学校に持ってくるのを見て「ケッ」と思ったのを良く覚えてます。

 さて、時が流れもう若くは無い昨今に、評者は読んだわけで有ります。評者自身はわりと気にいったのですが、正直、「なんでこの男目線の本が、女子に人気があったの?」と思ったわけであります。
 さて昔、エロ本から人生の多くを学んでいた頃、男の劣情を引く女性の順番は一姦二狂三娼であるという一文を読み、妙に納得した覚えがあります。評者なりに付け加えれば、一部男子は劣情を超えてロマンスを感じてしまうわけで、心の病を抱え且つ死んだ友人の彼女だった直子さんは、このうち二つの条件をほぼ満たすわけで、さらに美人なわけで、そりゃもうその手の男にとってはど真ん中なわけです。
 しかも現実の心の病は、身体症状も結構でるので、いつまでも美人ではいられず、周囲もその煩わしさにウンザリして来るわけで、5年も10年も続かず美しい思い出として終ったのは、有る意味幸運というか都合が良い話だと思うわけで、何の取り柄もないワタナベ君が、魅力的な直子さんと関係を持つに到っては、「これはモテない男の妄想を美化しただけじゃないか」と思うわけです。
 しかも年上のレイコさんとまでいい関係に成っちゃって、さっぱりボーイッシュな緑ちゃんとまでいい感じに成っちゃって、村上さん、青少年の脇目の先までちゃんと押えてます。

 別にケチをつけてるわけでは無いですよ。えー、僕はこの小説大好きですよ。だって「僕の妄想を盗んだ」ような作品ですから。

 でも何故にあんなに女性に人気があったの?そこが分からない。
 もしカッコだけじゃなく本当にこの本が好きな女性がいるなら、是非会って、お茶でも飲みながら話をしてみたい。


魅力的な主人公です

有名な本なので一度は読んでみようと思い、購入しました。全くこの本に関しての知識がなかったので、きっとすごい名作なのだろうと思っていたのですが、それほど激しい感動はありませんでした。その点では残念でしたが、出てくる人物がいろいろと問題を抱えいながらも、皆とても魅力的だったので一気に読んでしまいました。
とくに渡辺さんの話す言葉や人柄に惹きつけられます。そしてビートルズの曲が聴きたくなりました。
ストーリーよりも、この作品の雰囲気や世界を楽しんだというのが私の感想です。また別の作品も読んでみたいと思います。




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海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

村上 春樹 
海辺のカフカ (下) (新潮文庫)
定価:¥ 780
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15歳の少年はどこへいく

 15歳の少年、田村カフカ君はどこへいくのでしょうか?
 下巻では佐伯さん(42章で死んでしまうのは、意味があるのでしょうか)
 ナカタさんとキーマンが相次いで死んでしまいます。
 普通の人の理解を超える世界へと話は展開していきますが、これも15歳の
少年、思春期の少年の世界だからこその展開なのでしょう。
 思春期だった自分に戻ってみると、不可解な世界が少しわかるとおもいます。


色んな謎に対しての読解力に限界を感じた

上で色んな謎がばら撒かれ、下で回収するということを期待していると全く肩透かしを食らう。

私自身の読み方だと「そこは解決するのにあそこは放り投げたまま??」という不思議さが残る本。
それぞれの読者の想像力と読解力が試される一冊。

象徴的なものがたくさんでてくるので、それぞれの人生経験によって読み方が変わってくると思う。
物語そのものは不思議な世界に包まれ面白いので楽しめるが私自身はまだまだ未熟なのか?の多い内容でした。


白い怪物って何?

マイクロソフト日本法人元社長の成毛真(無類の読書家)が勧めていたのがきっかけで読んだ。

初めての村上春樹であったが、読者を引き込む技はさすがだと思った。読書を楽しむ本としては悪くない。

何かしらのメッセージを持ってはいるが、白い怪物に代表される突飛な部分が

二流のおとぎ話風な印象を与え、強烈に心に突き刺さるほどではない。

名作には、作家の魂の底から滲み出るものを感じるが、

この本は、読み手や、その評判を意識し過ぎという感じがする。

ほかの村上春樹作品を読んでみたいとは思わなかった。


解決編なきファンタジーポルノ

はやり,というか,案の定,というか,前半でばら撒いた伏線,例えば.
少年時代のナカタさんに何が起こったのか,
僕の記憶がなくなっている間に何があったのか,
そういう謎がまったく回収されず放り出された形で結末を迎える.

思わせぶりな謎を提示して,あとはセックスシーンのオンパレード.
これを称してブンガクと呼ぶのかもしれないが,
前半の期待感に比べると少々不消化感の残る読後感.


個人的には傑作

評価が分かれるのも無理はないかな、と思う部分もありましたし、
明確な「答え」が提示されていないのにもやもやしたりもしましたが、
間違いなく傑作だと思いました。

ものすごく簡単に言ってしまえば、これはある少年の成長の物語。
だけど、とても切ない物語。それを魅力的に書き上げてくれています。
性的表現は露骨ですし、最終的によくわからないまま終わってしまった
ふしもありますが、そんなことはどうでもいいのです。
ただ切なく、それでも美しい話でした。


星野青年は第3の主人公です。
彼の考え方は私の考えにとても近いので、非常に身近に感じました。
彼が喫茶店で考えるシーンがとても好きです。



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海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

村上 春樹 
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
定価:¥ 740
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むずかしいかもしれないですね

 村上ワールドがわからないとむずかしいかもしれないですね
 田村少年の内面の世界とそれを取り巻く父や佐伯さん大島さん
 一方のキーマンであるナカタさんとホシノさん
 深く考えずに読み飛ばす感覚のほうが、15歳の主人公の理解に
つながるとおもいます。


良くも悪くも独り歩き

要は、村上春樹さんの創る作品が好きかどうかなんですよね。クセがあるのは事実です。村上春樹さんはもともとそういう方ですし、一般的な小説と比べたら、なんだこれと思う様な表現もかなーりあります。一見逃げのようにも見える、はっきりとしたもののないストーリーや人物、なんとも言えない読後感。人物描写にしたって、普通の小説には考えられないような表現のオンパレードですよ。なんかもう、気持ち悪いぐらいの変態的な描写もあります。

と、まあ「村上ワールド」とも言われるように、良くも悪くも独特なので、とにかく一回読んでみた方がいいでしょう。レビューを見るぐらいなら、図書館に足を運ぶとか、買ってみるとか、すべきです。こういう超前進的な、いわゆるアーティスト思考の作品は、内容がどうのこうの言っても、及ばないんですよ。あまりにも突飛しすぎているから、結局は自分の目で判断するしか無いんです。それで自分の中でウケたら良し。ウケなかったら処分するなり何なりと、ってところです。

どちらにせよ現代小説を語る上では、やっぱり外せない存在ですし、読書が趣味というお方は、一度は触れてみては如何でしょう?そんなに高い買い物でもありませんしね。



面白くないと思いながら最後まで読んだ

村上春樹の本はこれが始めて。有名作家の著作物は呼んでおかなきゃ名と言う気持ちで、タイトルだけは知っていたこの文庫本を買ったが、読んでいて実に退屈極まりないと感じた。上下2冊同時に買ったものだから、途中でやめるのももったいないと思ったので我慢して最後まで読んだが、結局、面白いと言う印象はもてなかった。しかし、妙に印象に残る場面が多く、面白くないと思った小説でこのように文章の内容が印象に残ったことは過去に無く、これが村上春樹の力なのかなと。もう一度呼んでみようと言う期には今のところならないが、印象に残った不思議な感覚。

あらゆる要素の詰まった傑作

SF 青春 家族 思春期 バイオレンス 全ての要素を盛り込んで物語が一気に流れていく。
素晴らしいのめり方をさせてくれる傑作です。

それぞれの人間に語らせる言葉のひとつひとつが自己への対話を促すような気さえする。

本の分厚さをものともしない、読み終わりたくない面白さです。


少年の父殺しの話

この作品はとても構成をしっかりと考えて書かれている。

本質的には一人の少年が父親を殺して(あるいは乗り越えて)心理的に成長する話を
カフカ少年とナカタさんの2つのストーリーを平行して語ることにより、再構成する
表現方法をとっている。

カフカでは、少年の内面を丁寧に描き心の成長を描いている。一人称で語られるのはそのためで
、内面の複雑さを強調できるようにするためかもしれない。また、ナカタさんでは実際の事実を
無機質にたんたんと描写している。暴力や外的なかかわりなどを。ナカタさんに心がないと作中で
表現がなされたのも、物語の外的な部分を担っていたからだ。

つまり、ひとつの事件を分解して再構成している小説ということだ。より、事象を丁寧に描写するため
ではないかと思った。



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ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 (講談社文庫)

村上 春樹 
ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 (講談社文庫)
定価:¥ 680
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ダンスステップを上手に踏むように、私たちもこの社会で生かされていることに気づきました!

僕という主人公は34歳。結婚していた女性に逃げられ、いまは一人暮らし。社会や人生が分かりかけてきた男にとっては、仕事も生き方も優秀でなければならず、ダンスのステップを正確に踏み続け、人からもホメラレルように踊り続けることが求められという暗喩が一環して流れるのがこの小説のテーマです。そのダンスステップがいい人生、と思われることに、主人公は疑問を抱き続けることに。

札幌の「いるかホテル」で働く女性と知り合い、互いに惹かれ合う仲となっても、二人はその気持ちを素直に表現できないでいます。そのホテルで出会うことになるのが、不気味な羊男。さらには、ひょんなことから主人公の僕は、13歳の少女ユキの身元引受人となり、東京、ハワイ。少女の家族とともに生活を共にすることになります。そして、身の回りで次々に起こる、身近な友人知人がまきこまれていく殺人事件。僕の成長と共に、失ってはならない女性、ユミヨシさんの手を放してはならないことを悟り、勇気をもって共に生きる道を選ぶすがすがしい恋愛小説になっています。

とても幻想的でありながら、村上春樹の小説は不思議なリアリティがあることに驚かされるばかり。ミステリーのようでいて、ナイーブな恋愛世界であり、洗練された都会的な状況設定の中で展開されていく物語には、読み進むにつけて目が離せなくなります。ベストセラー物に興味のないという人も、作家の力量と世界観には知らず知らずトリコになってしまうことでしょう。私もその一人で、ほんとうに脱帽です。


目的に縛られた世界へ

世界は目的に縛られている 
学校、仕事、ある種の人間関係・・・
生活のあらゆるところに目的がはびこり、もしかしたらある人は窮屈に思うかもしれない。
そんな目的から逃げ出したくて人は不合理なことを始めるのだろう。
その気持ちはあるときは芸術の形であったり、あるときは殺人であったり、突き詰めれば宗教だってそんなもののひとつかもしれない・・・
でもそのような無目的なことは非常にもろく、ときに他人だけでなく自分をさえ傷つけるのだろう
結局静かに生きていくためには運命に従って流れに身を任せて生きていかなくてはならないのである。

――だから踊るんだよ。音楽の続く限り


読み物としては四部作の中で一番面白いと私は思う

20年ぶりに読んだ。きっかけは「謎とき村上春樹」。

20年前読んだ時は村上春樹の中でも「ダンス・ダンス・ダンス」が一番面白かった。「ノルウェーの森」が映画化されるという話があるが、「ダンス・ダンス・ダンス」の方が、映画的な感じがするように思われた。

で、今回読んでみて、20年前より注意深く読んだつもりだが、読み物として面白い分、逆にメッセージがダイレクトに届いて来ない気がした。

いや、いろいろなメッセージがちりばめられているが、「僕」が前の3作よりも軽やかで、その分、前の3作に共感した人も「ダンス・・・」に対しては共感が薄くなるかもしれない。

村上春樹がこんなにも売れた理由と言うのは何なのか、私が考えるのは、読んでいると、「この主人公の気持ち私(だけ)はわかる」とかみんな思うのではないだろうかということ。「村上春樹の小説は私(だけ)はわかる」というような読者の気持ちをくすぐるのでは。

それだけ多くの人が、誰にも言えないけどコミュニケーションに苦労して、苦しんでいて、自分だけ苦しんでいるように思っているんだけど、実は苦しんでいるようには見えない周りの人達も同じように苦しんでいる。その苦しみを共有できない。そんな人達がみんな村上春樹に魅かれる。そんな構図があるのではないだろうか。

村上春樹の小説の大きなテーマとして、そのコミュニケーション、もっと広く言えば言語というものがあげられると思うが、構造言語学の思想にも通ずるものがあるように思う。

「ねじまき鳥・・・」あたりからとっつきにくくなってくるので(エルサレム賞授賞式のスピーチで「壁抜け」の意味がわかった気がしたが)、やはり「風の歌・・・」から「ダンス・・・」までの4作品をおすすめしたい。なかでも「ダンス・・・」は読み物としては一番おもしろいと私は思う。


ユキ

何回も読み返した。

村上春樹の小説には数え切れないくらい女性が出てくるが、その中でもユキは一番魅力的だ。


宣伝につられて購入したが、80年代不良文学

内容はさっぱり忘れてしまい、ノルウェーの森同様
ハードカバーで購入したが、捨て本となってしまった。
それ以降この輩の本は購入リストから外れた。



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ダンス・ダンス・ダンス〈下〉 (講談社文庫)

村上 春樹 
ダンス・ダンス・ダンス〈下〉 (講談社文庫)
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reading in other ways

1:ビジネス書として。
上巻の最初の部分にプロフェッショナリズムに
基づく仕事の方法論が簡潔に述べられている。

2:世代論として。
1940年前後生まれの牧村、1950年前後生まれの「僕」と
五反田君、1960年前後生まれのユミヨシさん、1970年前後生まれの
ユキ。アメは恐らく1945年前後生まれだろう。戦後日本人の精神史を
横列配置した群像劇とも読める。

3:時代小説風ファンタジーとして。
1983年3月から数ヶ月間が舞台だが、発行は1988年の秋。
執筆は1987年以降だろう。80年代前半のバブル期以前と
80年代後半のバブル期がない交ぜになって、あの時代を
リアルタイムで知る者には、フィクション特有のタイムラグが
楽しめる。

4:天才論として。
アメの生き方について非常に洞察に富んだ記述が多い。マグダウエルと
カツマヨさんの『天才!』の様な「ジャーナリスティックなよみもの」よりも
もっと、ずっと本質的な天才性の把握。

5:現代史再考の資料として。
「高度資本主義」は単なる土地転がしと会計上のトリックを
扱っているだけで、昨今の様な「高度金融資本主義」を扱って
いる訳では無い。「地本主義」しか選択肢が無かった時代と
「金融」と言う別の選択肢が出来た四半世紀後の現在を
対比的に考える切っ掛けともなる作品。


羊男とは 結局 何だったのか?

 「羊男」は何者だったのだろうかとたまに考える。

 「羊をめぐる冒険」では 戦役から逃げた男が羊男として紹介されている。かつ 途中で「鼠」が その体を借りて 「僕」に会いに来ている。
 「ダンス ダンス ダンス」での羊男が誰なのかはさらに分からない。もしかしたら「鼠」かもしれないとも読めるが いずれにせよ村上春樹ははっきりと説明しない。最後の場面では「羊男」の居た部屋は がらんとして かつての羊博士が集めた本だけが残っているという場面だったと記憶している。

 村上春樹の作品で 超自然的な部分が初めて出てきたのが この羊男だと思う。この人物を梃子として その後の村上は 自由自在に 超自然を取り扱うようになっていった。その意味で羊男は大きな契機にはなったのだと思う。

 但し 繰り返すが 羊男が何を意味したのかは村上は明示していない。解釈は僕らに残された課題なのだ。



この社会でどうやって生き残るか・・・

上巻が「人生の示唆に富む」のに対し下巻は謎解きのようなストーリーがクライマックスに向かって高まる。読み始めたら目が離せず、主人公たちの会話をどんどん追っていく自分に気づく。本を読んで、気持ちがちょっと楽になる。生きるのにそこまで生真面目にとらえなくていいんだよ、常に死は身近にあるものであり、上手にダンスステップを踏めばいいのだと、心の中でなんども繰り返す。また、いつか読んでみたい、間違いなく名作だと思う。

ハワイ、そしてピナ・コラーダ

この下巻ですが、実際にこのあいだハワイ旅行に持って行って実地体験してきました。
ロイヤル・ハワイアン・ホテルのマイタイ・バーで飲むピナ・コラーダは最高です。
(ハレクラニ・ホテルでは、ピナはもうメニューになかったのが残念でした。)
ユキ、そして僕と一緒にハワイに滞在している気持ちになりました。
13歳の、痛々しく繊細な美少女のユキと、失われた10代を追体験していく34歳の僕。。
正直、キキの行方やメイの殺人事件については小説的にそれほどいい筋だと思えないのですが、細部にこだわり、高度資本主義社会で生きていかなくてはならない都会人の姿に何よりも共感を覚えます。
五反田君がやはりひときわ光っています。僕の周りの人々が次々と死んでいくその喪失感は、『ノルウェイの森』に通じる哀しさがあります。


4作品の中で一番面白く読みました

「ダンスダンスダンス」は「風の歌を聴け」から始まる、ぼく(主人公)が活躍する第4作品目です。(タイトルだけではシリーズ第何作目か分かりませんので始めて購入する方は注意が必要です。)

 本作では、タイトルが現すように、主人公(ぼく)はかなり積極的な動きをする。北海道、ハワイなどでの生活、また深い謎を解くためにも時には攻撃的なコミュニケーションをとる。それらは、ダンスを踊り続けるという羊男からのアドバイスにもよるのだろうが、ストーリーも奇想天外でこれまでの作品以上に奇想天外で楽しい。

 個人的には、4作品の中で一番面白く読みました。



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ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

村上 春樹 
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
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良さがわからない

自意識過剰。
鼻について読んでてもイライラするだけ。
どこがおもしろいのかさっぱりわからない。


これを傑作という今の読者層って・・・(苦笑)

村上春樹、誰もが一度は読んで「わかった気になり」、いっぱしの文学青年を気取る作家の代表ですね。
昔はまったく違う作家がこのような位置にあったのでしょうし、今の読者層が特に知的レベルが下がったともいえないかもしれませんが・・・これを傑作ともてはやす人たち、あまりに読書してなさすぎ。
20代までの若い読書好きたちよ、とりあえずトルストイやバルザック、ディケンズを読んでから、もう一度ここに戻っておいで。30代以上で村上春樹のこの本がいい!と思ってる人は申し訳ないですがそのままでいいです。

この作品は中学生くらいで読んで、「わけわからんけど、なんかおしゃれ!」、で終わっていいと思います。構成、表現、登場人物の作りこみ、すべて浅薄です。あまり読書してない人にはこういうのが深そうに見えるんでしょうね・・・。世の中にはもっともっと優れた本がたくさんありますよ!!!


いい本でした

あることで非常に悩んでいたとき、むさぼるように本を読んでいて、この一冊に出会い、ぐいぐいと引き込まれるように読みました。その後、今までの悩みがふっ切れたようになり、また現実に戻ることが出来た。といった、出会えて本当によかったと思える本です。

すまない・・・・・・。

私が馬鹿なのか?それともこの作品が難解すぎるのか?
言いたい事は何と無くわかるのだけれど、抽象的過ぎてついていけない……。
そうかこれが純文学か!

一応三巻全部読破するつもりだが、起承転結がなくて挫けそうになった。なんというかけれんみがないから余計に辛い。森博嗣を初めて読んだときと同じ置いてけぼり感を食らってしまった。

主人公がこの手のにありがちな透明さがあったという以外は……一巻は特に面白みがなかった。ここまで読み手を試す本は初めてだ。


ねじまき鳥の登場と猫の失踪で動き始める、避け得ぬ苦難を迎える夫婦の愛(哀)の物語の序章

「あなたは私と一緒に暮らしていても、本当は私のことなんかほとんど気にとめてもいなかったんじゃないの?あなたは自分のことだけを考えて生きていたのよ。きっと」

この三歳で祖母に預けられた経験を持ち、主人公と出会うまでは絶対的な孤独を背負い生きてきたクミコ(主人公の妻)の言葉に彼女が抱える深き苦悩と夫を心の拠り所としていることが如実に現れています。

最後半、二人がお世話になった預言者である本田さんの第2次大戦時の上官・間宮中尉の外蒙古での諜報活動が独白される中、恐らく陸軍中野学校卒の上級情報将校がソ連の将校・ボリスに全身の皮を剥がれる様が描かれますが、それはまたクミコが抱える苦悩や心の痛みの大きさが比類なきものであることの暗示でもあるのでしょう。

アムステルダムでの最後の英会話でフリージャーナリストの26歳の英国系女性は「ねじまき鳥クロニクル」のsurrealな世界にとても魅かれたと言っていました。ある種の人にとっては限りなく深い意味を持つ、村上さんの幾分かは自伝的な小説です。



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風の歌を聴け (講談社文庫)

村上 春樹 
風の歌を聴け (講談社文庫)
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流れる空気が心地良い

ビールを飲んで語り合う。
女の子と出会い、別れる。
そんな、風のように通り過ぎていく夏が心地良い。

そして、
キザさが鼻につくが、心をくすぐる「僕」
言葉少なげで影のある「鼠」
二人を温かく包み込むバーテン「ジェイ」
この3人のやり取りはクールなんだけど、どこか温かい。
これも心地良い。

仕事に疲れたとき、行き詰ったとき、
そんな時にこの本をふと開きたくなる。


愛着を覚える作品。

村上春樹作品で
いまだに読む気が起こるのは
これだけ。


あとは、もうお亡くなりになられたような状態
(「文学」なるものにからめとられてしまった)で
目も当てられません。


ご本人も、このデビュー作と次作の『1973年のピンボール』は、
海外での出版を許可していないらしく
その点でも、逆の意味で、受けとめ方は一致しているのかも。

表紙(カバー)や、
そのイラスト上部に書き込まれている言葉
「A HAPPY BIRTHDAY AND WHITE CHRISTMAS」などもふくめて
愛らしい、
愛すべき作品。

名作・・・



こいつがデビュー作か

冒頭からいきなり美しい。
デレク・ハートフィールドの台詞には心に残るものがる。
また、この物語の「僕」も非常に魅力的で、彼のユーモア溢れる発言には心惹かれる。
こんな不思議な人物は私の周りにはいない。
ていうか、デレク・ハートフィールドって架空の人物ですか。
なんてこったい。

「何かを学び取ろうとする姿勢を持ち続ければ年老いることは苦痛ではない」
10年後、いや、5年後には再読必至か。


鼻につく。好きなネタとか節は多いんだけど、ハードボイルドな感じがどうしても受けつけない。たぶん彼が故人だったら許せてたんだろうな。

わたしはいまノルウェイの森 上 (講談社文庫)の最初舞台になったといわれる寮に住んでいます。
村上春樹も一時所属していたそうです。

以下、内容について。

・一晩ノンストップで読める量。
・「米国の作家に偶然魅かれて、墓場まで行って、カッコイーでしょ?」って感じで鼻につく。
・知的レベルの高い大人な登場人物ばかり(うらやましい)。
・「そういったお名前では電話帳に載っておりません」の「そういったお名前では」の部分に主人公が引っ掛かったりする描写がすごい。
・三人目の女の子の話が怖い。鳥肌が立った。考えついたのか?
・「女って一体何を食って生きてるんだと思う?」−「靴の底」というくだりがあるが、これは"Rubber Sole(ゴム底)"→"Lover Soul(恋人の魂)"ではないかという説をブログかなんかで読んだ。

好きなネタとか節は多いんだけど、ハードボイルドな感じがどうしても受けつけないので星2つ。
たぶん彼が故人だったら許せてたんだろうなー。


風の歌のような

印象的なセリフ、魅力的な表現、にもかかわらず時間の経過とともにどんな内容だったか忘れていく。
1度楽しんだにもかかわらず、何年か経つと読んだことがなかったような気になるから不思議。
読み始めると所々で思い出すのだけれど。
センスが良く、おもしろいのだけど、たいして深い内容はない。伝えんとするものもない。
でも、下手に価値観をおしつけられるよりずっと文学らしい気がする。
また忘れた頃に読みたい。



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羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)

村上 春樹 
羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)
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初期三部作はノーベル賞の対象外?

 村上のデビュー作「風の歌を聴け」で同じく我々読者の前にデビューしたのが、三階建ての豪邸に住むリッチな"鼠"とジェイズ・バーのオーナーである中国人の"ジェイ"である。ジェイズ・バーは、その後何度か場所を変え、今でも"街"の埋め立てられた海の近くでちゃんとやっている(はずだ)。"鼠"は村上の二作目「1973年のピンボール」で我々の前から消え、本作の最終章に近いところ「羊をめぐる冒険V」で、突然、"僕"と我々の前に現れるのだ。

"鼠"曰く、「これ以上堕ちていく自分を人前に曝したくなかったんだ・・・・・」だと。
"鼠"も"僕"も今や30歳になっている。
ここで、初期三部作は終了する。

 しかし、「羊男」と「羊博士」は、「クリスマス」と「ふしぎな図書館」でまたまた現れるのだ・・・・・。
 佐々木マキ描くところの「羊男」のギャップが大きすぎるのはどう考えたらいいのだろう。
 それとも、「羊男」ないしは「羊博士」なるキャラクターは、何らかの比喩か、そうだとすればそれは何?

 この初期三部作の三冊目を改めて読み返してみると、2008年そして今年2009年の二年連続して、期待されながら、しかし村上がノーベル文学賞が取れなかったその理由がなんとなくわかってくると言ったら・・・・・。
 今、この時期に「1Q84」が圧倒的な興奮を世界中に呼び起こした2009年という今年、この三部作を再読してみるそれなりの価値はあると言ったら・・・・・。


羊を大地で追いかけて

大学時代に出会って,もう25年あまり。
あの頃はあまりにのどかで,北海道に来てしまったら連絡のとりようのない状態なんて当たり前だっただろう。
北海道は今でも広いが,高速道路ができる前は,本当にどこに行くにも遠かったのだ。
そんな北海道の大地で繰り広げられる話。
道産子にとってはうなずけるシーンが多いのだ。
羊男と鼠,そして主人公,耳のモデル。
今でも設定が斬新だし,海外で評価されるのもうなずける。
羊は日本にとって管理された家畜だった。
今では人間が情報に管理されてしまっている。


青春はいつか終わるってことか

 新作1Q84の発表で、村上春樹への関心がバブリーに沸騰している。私は彼の作品のうち、本作をあまり好きではない。連作のキャラクター達が登場するから、好きな人は好きなのだろうが、長い割に楽しめなかった。
 固有名詞が一切出てこない作風は、彼の小説の普遍性を演出しているのだろう。そこがややキザな感じがするし、もったいぶった感じがするのだが。人から人へ渡り歩く観念的かつ実存的な「羊」については、いくらでも深読みできるだろうが、共通仮想敵のいない現代日本にとっては決定的な解釈がない。
 これだけ長いが、読後の感想は「青春はいつか終わるってことか」という感じ。


羊雲と鰯雲、サギとキザ

村上春樹の3作目。第1章は、誰とでも寝る女の子がいて、語り手である主人公はその誰とでも寝る女の子と寝て、誰とでも寝る女の子はトラックに轢かれて死んだ。この章はまったく不必要。第2章は主人公が離婚するはめになる話。村上春樹には子供がいないらしいが、この章にもあとのいくつかの章にもその言い訳がましい言葉が何回か出てくる。この物語の登場人物には、村上春樹を除けば、誰にも名前がない。無名だ。誰も名前で呼ばないし誰も名前で呼ばれない。そういう世界だ。それがねらいだって?「百パーセントな耳」(!?)を持った女がでてくるあたりから、話はまったくでっちあげであることがまるわかりの内容になってくる。鯨のペニスの挿話もいらない。平凡、退屈、凡庸といった言葉を多用し、あいかわらずうんざりし、煙草を吸いまくる。あるいはビールをのむ。梅雨は初夏だと勘違いしている。前作までに比べると、苦労して花の名前だとか鳥の声を出しているが、季節感が凡俗なのでどれもちぐはぐ。風景描写は実に下手だ。「世界に対して文句があるなら子供なんて作るな。」だって。やれやれ、いいきなもんだ。第4章からは羊をめぐるインチキ話が延々と続きます。乞う御期待。(下巻に続く)

独特の口調、リズムに、物語の推理性が加わった傑作

他の方のレビューとかを見ていると、どうも、私は
読む作品の順番を間違えているらしい。

本来は、『風の歌を聞け』、『1973年のピンボール』そして
本作品が一連の登場人物と、その物語らしい。それで、この後は、
『ダンス・ダンス・ダンス』を読む、というのが、正当な順番
だったらしい。

し、しまった。

とりあえず、『ノルウェイの森』に、なんとなく調子が似ている
ような感じだったので、あえての大作『海辺のカフカ』を今回は
辞めて、こっちにしたのだが・・・・。

でも。ま。

やがては、どれも、読むだろうから、順番はいいか。

まだ上巻だけだから、書評を書くのもいかがなものか、
という気もしましたが、でも、文章はおもしろい。
人気があるのも、うなづける。嫌いな人がいるのも、うなづける。

なぜか?

語彙や文章が簡単。簡単な文章で綴っていく「僕」。
音楽や詩のように、日本語のストリームが流れていく感触が
心地よいのかもしれません。

でも、ときどき、独特の哲学のような、思想のような、物語の
亀裂、ノイズのような台詞、言葉がどかっと出てくる。

そんなところが人気の秘密なのかもしれません。それはさておき。

この『羊をめぐる冒険』は、物語としても、今のところ、ミステリアスで
読者の興味を引きます。乾いた感性の物語というか、独白、手紙、会話
で成りたっているのは、いつものとおりなのですが、一体、「鼠」が
「僕」に託した、北海道で取られた「羊」の写真に写った、謎の
星型をもつ、存在しえない羊、と日本の闇を牛耳るフィクサーが追い求める
羊との因果関係。

この謎が、結局、僕と彼女を、「鼠」が待つ北海道へと、運命的な旅立ちを
引き起こす。

早く、下巻を読まなくっちゃ。



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物語は続く

この話、全然終らない。

でも実はこの作品、94年に第2巻まで発売され、2巻のエンドロールには「続」ではなく、「完」が記されていた。つまり、2巻完結の長編小説として世に送り出されたわけだ。

ところが翌年の夏に、予期せぬ形で第3部が刊行された。

「予期せぬ形で」とは言っても、第2部を読了した今思うことは「えっ?これで終わり?謎だらけなんですけどー」って感じだし、続編が刊行されてることは何の違和感もない。

この謎だらけの物語がどう収束するのか、僕は期待に胸を膨らませ、第3部に移る。


最後に第2部で印象に残った文章を記して終ろう。


「加納クレタが僕に向かって微笑みかけたのはそれが初めてだった。彼女が笑うと、歴史が少しだけ正しい方向に向けて進み始めたような気がした。」


再読を終えて。


笠原メイ、加納クレタ。この二人の女性との絶妙な距離感での関係を中心に、一部では何がどうなっているのか解らなかった主人公が、自分のすべきことを見つけ出すまでの第二部です。
 
笠原メイの「あの女の人を抱いたから、もう私には用がなくなったってことなの?」というキビシイ言葉が妙に心に刺さりました。

夏の暑さと何ともいえない倦怠感を感じることのできる一冊です。


夢と現実とが交差した世界の表現に圧巻

 村上作品の中で初めて、主人公が怒り、暴力をふるう場面のある作品でもある。
 
 まるで霧の中に迷い込んだかのような、夢と現実とが交差した世界の中で主人公(岡田)が困惑する。また自らが井戸の中に入り、クミコの失踪の原因について深い瞑想をし探求しようとする。井戸の中での体験が非常にリアルだ。


小さな声で語られる、本当に大切な情報

第2部「予言する鳥編」は妻のクミコの失踪という大きなトラブルより幕を開ける。この2部での主人公のオカダトオルに課せられた使命は、孤独と言うものを受け入れ、情報が明確にされるまでじっと待ち続ける事。それは、とても絶望的で多くの傷みを味わう作業であると思う。時にそのとてつもなく閉鎖されたその状況に辟易し、海外へ逃亡という道を選ぶ事を考えたりもするが、結局そこに居残る事を選択する。そして、この2部でも最もキーとなる場面であるが、謎の女の正体をついに自分で探し当てる事となる。

この「予言する鳥編」では、様々な登場人物の一言一言がとても重要な鍵となっているように思う。そしてそれは現代に生きる人々にとっても本当に重要な事なのではないか?という風に僕は感じている。

「自分にとっていちばん大事なことは何か、もう一度考えてみた方がいい」
「『新しい世界を作ろう』とか『新しい自分を作ろう』とか、誰にもできないんじゃないかな」
「それはお前が自分でみつけて、自分でやるしかない」
「ここは血なまぐさく暴力的な世界です。強くならなくては生き残ってはいけません」
「良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られるのです」

自らの想像力を超えたトラブルは、自分を見失わせてしまう。そして、自分が安心する為に何かに逃亡したり、依存したり出来てしまうシステムが、この世界に多く存在している。オカダトオルの行動は一介、奇怪なものに映るかもしれないし、随分と遠回りしているようにも見える。だが、本当に自分が求めなくてはならない情報は、自分のやり方で細かく時間をかけて追わなければ見つからないのだと思う。疲弊しながらも最終的に「良いニュース」に辿り着いた彼は、3部の「鳥刺し男編」にて自分にとって最も大切なものの為に、行動をしていく。


少しずつだが見えてきた

村上作品に共通する事ですが、正直面白さを説明するのは難しいですね。
なにより(まだ第2部までしか読んでいないからなのか)私自身はっきりしない部分も多いです。
特にこの作品は読んでいて特に難しさを感じます。
それでも、???とならず自分自身で色々考えながらはまって読めるところが文章の上手さなんでしょうね。

ついに次が最終、第3部!!



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鼠という存在の大きさ

物語自体は、美しい耳のガールフレンド、羊という思念、羊男の存在など不思議な部分が多々ある。
この辺は突き詰めて考えるも良し、そんなもんかと軽い感覚で読み進めてもいいと思う。

読み終えてビックリしたのは、鼠という存在が私(読み手)の想像以上に大きくなっていたことだ。
風の歌、1973年のピンボールを読んでも、本書の終盤に至っても、鼠はそれほど大きな存在だと感じていなかったのだが。
それがラスト5行に到達したとき、形になった。
あるはずの所にあるべきものがないのは、とても辛い。
激しい喪失感を覚え目頭が熱くなった。

前二作と合わせて読み返していきたい作品である。


踊る前

鼠との本当の別れ。
そこから生まれてくる虚無感。
でも決して暗くないのはその文体のせいだろう。
乾いているのに,突き放さないその言葉たちが救いだった。
あり得ない出来事が目の前のことにように語られる。
それこそ,村上ワールドの一つの頂点だったのだ。


ハメられたのは主人公ではなくてあなた

下巻は、羊というエイリアンか悪魔のようなものが、世界を征服しようとたくらみ、羊博士に乗り移り、ついで右翼の大物に乗り移り、ついで鼠に乗り移り、鼠は首を吊って死ぬ、という話。その3人とも実は北海道の旭川に近い十二滝町という架空の場所に関わりがある。ここでも指の欠けた人物(ドルフィン・ホテルの支配人)が登場する。(『風の歌を聴け』に登場する小指のない女の子。)村上春樹は、そういうのが趣味か。死んだ鼠は幽霊となって主人公と話をするが(羊男は鏡に映らなかった)、そのあたりで羊は主人公に乗り移ってしまっている(羊は不死である)。鼠と黒服の男はめでたく別荘で「十二時のお茶の会」を開くことになっている。結局のところ、主人公は黒服の男にも百パーセントな耳をもつ女にも鼠にもその他大勢にもまんまとハメられたのだ。

失われた物語たち

『羊をめぐる冒険』というタイトル通り、
「羊」を主人公が探しに行きます。
でも、追いかけて確実に主人公が羊へと近づいているのに、
同じところをぐるぐる回っているような、奇妙でおもしろい気分を味わいました。
読んでいて、私なりに考えたことを書きます。

主人公の「僕」は世間に流されない印象を受けます。
この物語は第一章「1970/11/25」(上巻)から始まります。
三島由紀夫の死んだ日です。
けれども彼はこのことをたった一行ですませ、我々には関係ないこと、と言い切っています。
『羊をめぐる冒険』はほかの誰でもない、「僕」という個人の物語なのかな、と思います。
(同様に、十二滝町の歴史に登場する、アイヌ青年も私にとって印象的でした。
十二滝町の歴史の記述は、アイヌ青年の個人の物語でもあるのです。)

「僕」の物語に突然現れた「羊」は、僕という一人の確固とした個人の歴史に対し、
隠蔽された歴史、あるいは失われた歴史を表しているような気がします。
「羊」の大きな力により世界が左右されていることは、ほとんどの人が知り得ません。
そしてまた、この隠された歴史は、教科書に名を残すことのなかった個々の歴史にも
重なるところがあるかもしれません。


生き生きと「死んでいる」世界、と、死んだように「生きている」世界

意外な方向へ、意外な結末へ読者をいざなう、夢幻の御伽噺です。

前編では、大いに、ミステリアスな予感を持たせてくれましたけど、
後編を読み終わると、実際にはストーリーの真理は、
実はそういう娯楽小説的興味ではなかったということになります。

でも、後編のほうが、ワクワクしてのめりこんで読むことができました。

私が始めて読んだ村上春樹氏の作品、『ノルウェイの森』でも感じたの
ですが、本作品、『羊をめぐる冒険』でも、生と死という生しいテーマを
すがすがしくも、リズムを持った詩的な文体で描ききっていて、妙な夢的
感覚に襲われます。

他の作品のように、現実を生きる「僕」には名前がなく、「耳」の彼女も
みんな、この世を生きているはずなのだけれども、生気がない。逆に、
「いるか」ホテルの支配人や羊博士、羊男や鼠なんかのほうが、どうも
黄泉の国に棲んでいる様子だけれども、彼らは生き生きと生気がみなぎる。

唯一、黄泉の国と、この世をつないでいるかのような、黒服男は、なんとなく
生きているような、死んでいるような、現実感を持っている。

いったい僕らっていう存在は何なんだろうか?

そんなことを感じさせてくれる、不条理作品でした。



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