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ゼルプの欺瞞 (SHOGAKUKAN MYSTERY)

ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 平野 卿子 
ゼルプの欺瞞 (SHOGAKUKAN MYSTERY)
定価:¥ 1,995
新品最安価格:¥ 1,995
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クチコミ情報

『朗読者』の作者による、ドイツらしさを堪能できるミステリー

『朗読者』で有名になったベルンハルト・シュリンクによるミステリー。
ナチス政権下で検事を務め、今は私立探偵となっている60代後半の
ゲーアハルト・ゼルプが主人公。

物語は、ゼルプが良家の子女である女子大生の失踪の調査を
引き受けるところから始まるが、やがてこの失踪事件に
思いもよらぬ政治的なテロや陰謀がからんでくる、という展開。

ナチス政権下で検事という経歴を持つ高齢の探偵というだけでも
面白いが、ゼルプを取り巻く恋人・友人がいきいきと描かれ、
ドイツ料理やワイン、美しい田園風景の描写も楽しめます。

戦後奇跡の復興を遂げたドイツの陰の部分(70年代の過激派の活動など)も
物語に織り込まれ、英米のミステリーしか読んでこなかった私には
極めて新鮮でした。ほかのゼルプ・シリーズも読んでみたいです。



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ゼルプの裁き (SHOGAKUKAN MYSTERY)

ベルンハルト シュリンク ヴァルター ポップ Bernhard Schlink Walter Popp 岩淵 達治 
ゼルプの裁き (SHOGAKUKAN MYSTERY)
定価:¥ 1,995
新品最安価格:¥ 1,995
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商品の紹介
ナチス政権時代に検事として勤勉に働いてきた主人公ゼルプ。暗黒の時代が終わり、それまで信じてきた正義が覆された後は、法曹界から離れ私立探偵として生計を立てている。そんな彼のもとに、旧友であり、かつ義兄でもある大企業の会長から「悪質なハッカーを見つけ出して欲しい」との依頼があった。コンピュータに弱い68歳の老探偵が、犯人探しに乗り出した。

15歳の少年と中年女性のせつなく悲しい愛の物語『朗読者』の著者として知られるベルンハルト・シュリンクが、知人であるヴァルター・ポップとの共著という形で文壇にデビューした記念すべき第1作。本書は3章からなる探偵小説の形をとっているが、1章ごとにまとまった中編小説の集まりとしても捉えられる。第1章では大企業のコンピュータに侵入した犯人を捜し、2章ではこの犯人の不可解な死を解明し、3章では忘れられない主人公自身の過去を洗い出す。読者は、各章の謎解きと結末を楽しみながら、最後に潜む巨大な陰へと導かれるのだ。

また、物語の根底には、『朗読者』と同じく「ナチ時代への贖罪」というテーマが流れている。探偵小説としてはやや重すぎるとも思えるテーマであるが、本筋にちりばめられた初老男性のさわやかな恋愛体験や、相次いで登場するグルメな料理の数々が、この物語を適度に和らげ、読みやすく仕上げている。(冷水修子)


クチコミ情報

初老の探偵さんの自身の過去への決着

ナチス時代の検事が戦後に復職せず私立探偵となっている設定が良かったです。ドイツでは、国がナチス時代を否定して、戦争犯罪について、明確な決断をしています。しかし、故人は、それぞれの過去をかかえて生きているわけです。そのため、作品は切なさなどが漂っています。緊迫感は、たとえば、フリーマントルの作品ほどではありません。
ドイツという国柄やドイツ人の行動や街並み、そして主人公が食事について細かく述べていることが面白かったです。
シリーズになるのかなと思ったけど、3作しかないのですね。


罪の贖い

 第二次世界大戦の戦後処理が生んだ捻れと闇がテーマの社会派ミステリー(サスペンス?)と言えば良いのか。

 著者のベルンハルト シュリンク氏はベストセラーとなった『朗読者』の方が有名ということですが、本作は氏の初のミステリー小説、かつドイツにおけるKrimi(犯罪小説)と言われるジャンルで高い評価を受けているとのことです。

 ナチ党員として法廷にて裁判官や検事として従事していた人間達が、戦後処理にて公職追放になったにも関わらず後に復職を果たしているという矛盾。そして自らもナチ検事であった老年の私立探偵(ゼルプ)が主人公となる。

 自分の内に秘めた罪悪感に追い立てられるかのように、時に自虐的とも取れる行動を取る主人公。ラストに訪れる団欒は贖罪を果たした者が手にする心の平穏なのでしょうが、何をもってして罪を贖うこととできるのか、日本も第二次世界大戦の敗戦国として抱える共通の問いかけではないかと感じました。


どの法で人は裁かれるのか

「æœ-読è€...」で一躍有名になったè'-è€...のそれ以前の作å"ã¨ã-て売り込まれているが、å†...容は趣ã‚'異とする。ã"れはç'"粋にKrimi(クリミ=犯罪小説)とã-てのエンターティメントであり、その中に込められた社会風刺ã‚'見るのは興å'³æ·±ã„。

残念ながら謎解きという点ではそれほど複é›'ではなく、あっã'なく糸口が見つかるとã"ろは、そのå'きには面白くないかもã-れない。やはり、淡ã€...とã-た語り口の中に、主人å...¬ãŒã€Œäººã®ã‚りæ-¹ã€æŽ¢ã-ã‚'する点が「æœ-読è€...」とのå...±é€šç‚¹ã ã‚ã†ã€‚

もう一つのå...±é€šç‚¹ã¯â€œãƒŠãƒã‚¹ã«åŠ æ‹...ã-たè€...がその罪の責任ã‚'どうとるか”という点だが、それについては、æœ-読è€...においてもã"の作å"ã«ãŠã„てもæ›-昧である。作è€...はベルリンの法学教授とあるが、だとすれば「明らかに犯罪なのに法で裁かれないものã‚!'ã!©ã†è£ãã‹ã€ã€Œãã®å½"時の国家の法ではよかったものが何æ•...今は犯罪なのか」という法学が抱える矛盾ã‚'法のエキスãƒ'ートである作è€...自身がè¨'えたいのかもã-れない。
あとがきにもあるように、ゼルãƒ-(主人å...¬ã®åå‰ã§ã‚り、ドイツ語で“自身の”の意å'³ï¼‰ã®è£ãï¼ã€Œè‡ªåˆ†è‡ªèº«ã«ã‚ˆã‚‹è£ãã€ã¨ã„うタイトルが、いかにもドイツらã-く、æ''落ているとともに辛らつである。


ナチスを「ダシ」にした犯罪小説

ベルンハルト・シュリンクは、売れに売れた『朗読者』の著者。帯にも「『朗読者』の原点はここにあった!」と、『朗読者』の名を知る読者に訴えかけようとしている。

しかし。本作は凡作だ。

『朗読者』にあった「味わい」がまったくない。同じ作者で、同じようなモチーフを使って作品を作り上げているのだが、テーマがつまらないものだと全くつまらないものになってしまう。ダニエル・キイスが『アルジャーノン』で「心理」を扱い、それが傑作として認められると、いたずらに「心理」を扱っている「ような」作品を書き続けてしまった。『アルジャーノン』とのあまりの違いに怒りすら感じた読者も多いだろう。

本作での「ナチス」の扱いもまた同様の「カルサ」が感じられてしまう。「ナチス」をこのように扱ってしまうのは非常に残念。本作を読んだ後では、『朗読者』にあった「味わい」も、作者の意図せざるところで偶然に出てしまったものなのかと勘ぐってしまう。

この「ゼルプ」シリーズは何作か出ているようだが、この『ゼルプの裁き』を見る限り、他の作品を読む必要はないだろう。


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ゼルプの殺人 (SHOGAKUKAN MYSTERY)

ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 岩淵 達治 
ゼルプの殺人 (SHOGAKUKAN MYSTERY)
定価:¥ 1,800
新品最安価格:¥ 1,800
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クチコミ情報

私立探偵ゼルプに息子が・・・・

 老探偵ゼルプ三部作のラストを飾る、サスペンス。ドイツ・ミステリーでしか書き得ない人間の心のなかの深い闇。あの衝撃的日本でのデビュー作朗読者から、私たちを楽しませてくれたシュリンクが、しっとりと語ってくれています。アクションあり 恋あり、年取ってここまでやれたら本望でしょう。もうゼルプに会えないかと思うと、とてもかなしいです。ゼルプの最後の挨拶は心にしみます。


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逃げてゆく愛 (新潮文庫)

ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 松永 美穂 
逃げてゆく愛 (新潮文庫)
定価:¥ 700
新品最安価格:¥ 700
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悲惨な歴史の果てに

一筋縄にはいかない人生があって、愛があって、個人や家族や民族や国のヒストリーがあって、仲間や友人や恋人がいて、でも結局、人間は孤独。そんな事実を改めて感じさせられる作品だが、だからと言って未来が暗い訳ではないことも、伝わってくる。

シュリンクの作品に一貫している、「歴史」に関する考察。
敗戦国、侵略国としての歴史を共通に持つドイツと日本。

戦争を体験していない世代が、自国の歴史にどこまで責任があるのだろう。個人的には責任はないと思うが、「割礼」の恋人たちと同様に、歴史に関して何らかの見識を持っていて、その見識が互いに一致しない時、ほんとうの意味で理解し合った関係はありえないと、感じた。もちろん、それはシュリンクの意図する結論ではないが。

とにかく、いい作品。
戦争を知っている世代の方の感想を伺ってみたい。


バイオリニストの妻を亡くした男の話が面白かった

まぁ、面白かった。
欧州の人の心情をよく表しているということで読み始めた本。
ドイツ人の話。
短編集。バイオリニストの妻を亡くした男の話が面白かった。彼の心情は理解できないこともなかった。

小説は小説として、市井の人との乖離はどの程度なのだろう。日本の小説の記述と日本の市井の人々との距離感から類推すると、ダイブ違うのだろうなとわかる。ただ、どこが突飛な部分として小説に記されているのかは、まだ理解できていない。


愛とは

 
 作者の「愛」の感覚なのだろうか、
それぞれの短編の中に出てくる愛はとても個人的だ。

 求めてもすり抜けてゆき、手元には愛の残滓だけが残る。
そんな短編集。

 しかし実は愛とはそういう物ではないだろうか?
愛し合うもの同士の間にあるようで居て、
その実、ある瞬間に一方の中にだけしか存在しない。
おとぎ話ではない愛、少し考えるにはいいだろう。

 もう一つの特徴は、東西ドイツに関わる問題を背景にしているところ。
この雰囲気は独特で、味わうに値する。

 僕が中学生の頃はまだ東ドイツがあって、ベルリンも東西にわかれていた。
そのころ東ベルリンに引っ越して行った子と文通していた事を思い出した。
外国人である彼女は西ベルリンに行く事ができて、
東の友達にお菓子をねだられるのだと言っていた。
僕らの知らない東西間の話は子供ながら面白く記憶にある。
そのころの東西間にあったもつれは、きっと今もあるのだろう。


スローな短編集

 結末を強制しない短編集。全7編、ドイツの過去とユダヤ人、個人のアイデンティティーと最も近い存在のはずの妻とは何か、東西ドイツ統一の功罪と、いろいろ趣向が楽しめる短編集。
 ゆるい短編集で好き嫌いが分かれる。起承転結でバシッとオチるのが好きな人は読まないほうが無難。
 個人的には全7編中、最後の『ガソリンスタンドの女』が秀逸。男なら、この気持ち分かる!?



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朗読者 (新潮文庫)

ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 松永 美穂 
朗読者 (新潮文庫)
定価:¥ 540
新品最安価格:¥ 540
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商品の紹介
スイスで出版された原書を、キャロル・ブラウン・ジェンウェイが格調高い英語に翻訳。セックス、愛、朗読、戦後ドイツの不名誉についての、短くも豊かな物語。15歳の少年ミヒャエル・バーグは、謎めいた年上の女性ハンナとの激しい恋の虜になる。だが彼女の身の上についてはほとんど知らないうちに、ある日ハンナはミヒャエルの前から姿を消してしまう。…二度と彼女に会うことはないと思っていた彼だったが、戦慄(せんりつ)の再会が実現する。ナチスの過去を裁く法廷の被告席に、ハンナがいたのだ。彼女が筆舌に尽くせぬ重罪を犯していたことが明らかにされていく、その裁判の進行を追いつつ、ミヒャエルはとてつもなく大きな難問に取り組みはじめる。ホロコーストを知った自分たちの世代は、どう対処するべきか?「理解に苦しむものを理解できると思ってはいけないし、比較にならないものを比較してはいけない…。ぼくたちは、嫌悪と恥辱と罪の意識を抱えたまま、ただ黙っているべきなのだろうか?何のために?」
本書はボストン・ブックレビュー誌のフィスク・フィクション賞を獲得した。たぐいまれな明快な文章で、少ないページ数のなかで多くの悪の精神の問題に挑んでいる。世界がかつて知り得たなかで最悪といえる残虐行為に加担したのが親や祖父母、あるいは恋人であった場合、彼らを愛するという行為はどういったことなのか?文学を通しての贖罪(しょくざい)は可能か?シュリンクの文体は簡潔であり、比喩表現、会話といった文章の属性を問わず、余分なものはことごとくそぎ落とされている。その結果生まれたのが、ドイツの戦前と戦後の世代、有罪と無罪、言葉と沈黙の間に横たわる溝を浮き彫りにした、厳粛なまでに美しい本作なのである。


クチコミ情報

あんまり現代小説を読まない者の感想です。

 刑務所のなかのハンナに向けてテープを送り、主人公が演じ続けた「朗読する坊や」の役割が、かつて彼女自身がおこなった「おきにいり」の少女たちに課した朗読と重ねられ、それからの解放が同じく死の宣告となるといふ結末の符合。囚人を朗読者として看守生活の“隙き間”に入れてゐたのが、今度は反対に囚人として、朗読者の生活の“隙き間”に入れられる破目になったことが、主人公自身によって語られてゐるのが、実に皮肉に感じられました。朗読だけを聴き続けるといふ、思惑を超えて主人公から与へられることになってしまったともいふべき、その「罰」の内実が、しかし苦しみとしてではなく、言葉を覚える喜びとして、反省の学びへと真摯な彼女を向かはせる。しかも「罰」は「罰」として顕れ、彼女を最後に自殺に追ひやることになってしまふ訳ですね。この小説の苦味の背景にあるのは、戦争と貧困の問題といふより、時代に翻弄される人間のどうしようもない運命のやうな感じがします。思ふに、文盲であることを隠す生き方を貫くことは、実はハンナ一人が選んだといふより、その事実を暴露しなかった主人公とともに選んだ誤りとも云ふべきで、二人の責任です。ですが、そのせゐで、刑務所といふ閉じた環境に守られた彼女にとって、主人公といふのは「ただの朗読者」であり続ける限り、依然自らが優位に立つ思ひ出の中の「坊や」のままであり続けることができ、(さう思ふのは彼女の自由なのですが)、主人公の側もまた「坊や」からの成長を見せず、そのやうに演じ続けなくてはならないと思ひ込んでしまったところに、二つ目の誤りがあります。もっともそれは彼の「罪」ではないのですが、刑務所の女所長さんが「どうして手紙を書かなかったのか」と非難したときに、一番こみあがるものがありましたね。その次のカタルシスはもちろんハンナが裁判長に詰め寄るシーンでした。

物悲しいラブストーリー

一気に読みました。戦争の理不尽さに翻弄された男女の物悲しいラブストーリーに感じました。映画ではどのように描かれるのでしょうか。

人間の記憶って・・

物語は、「ぼく」がハンナと過ごした日々を回想するところから始まる。物語の中核となるべき大恋愛なのに、「ぼく」は記憶があいまいで、すべてを明確には覚えていない。
大恋愛だったのなら、なぜしかっり覚えてないのだろう?その程度の恋愛だったのか?

読み進めていくと、ハッキリ覚えていないことがむしろ自然に感じた。純愛ものにありがちな、あの大恋愛だけは明白に覚えている、忘れられないんだ、という世界観が崩れていった。

読んでよかった。また、何年か後に読みたい。


読みやすい英語。

英語勉強用の小説としてわかりやすい、読みやすい 200ページの分量も努力すればいける。 もとはドイツ語で書かれたものを英語翻訳しているので、英語の癖がなく、勉強用の小説として薦められる。TOEIC800点レベルの人が900点を目指すために読むという感じ。

散漫すぎる

女性がハンナでならなかった理由、
他の女性や囚人や他人の過去とは違う理由、
時代の移り変わり・・・

それらが全く読めず、ただ主人公の男性が思い出にすがって
自己中心的な思考を前後左右にめぐらしているだけ。

この作品の中では『生』も『死』も重みが無い。

ハンナが隠した秘密はあまりにも決定的な根拠に欠け
時代背景や過去にさかのぼる犯罪と繋げるのは難しい。



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帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)

ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 松永 美穂 
帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)
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死んだとされていた父捜しの話。

読み進んでいくうち、何が真実なのかわからなくなってくる。母の話、自分の昔の記憶、祖父母と思っていた老人たちはいったい誰?サスペンス仕立てで読ませる!後半のその結末が・・・いまいち。
父とされていた人物がそうではなく、自分の過去の行動を誰でもその状況にあればとる行動として理解させようとするが、その設定自体に無理がありはたして、それほどの人物がそんな自己弁護をはたしてしようとするのか?”朗読者”の読後感の残像を引きずる読者はちょっと幻滅するかもしれない。


自らの過去のアイデンテティ探しがそれほど重要であれば現在はどうなるのだろう

主人公は父を第二次世界大戦時に失い、母と祖父母に育てられたという過去をもつ。しかし、祖父母が現役後の活動として行っていた雑誌に編集された作品のなかにある戦争帰還者の話を見つける。家に帰った帰還者は、妻の横に見知らぬ男と子供を目にする。

やがて、この小説が、実際の話に基づいている事、しかも死んだと思っていた自分の父の物語なのではという考えにたどり着き,それから事実をつきとめるため、過去の記録をたどり、国をまたいだ真実を求める旅へと主人公はかき立てられる。

皮肉な事に、彼にとっても、その旅は、愛するものを去るのか、愛する人は自分を待つのか、関係が破滅するのかという、同じ岐路を再現するかのようになる。

戦争やまた別の理由で自分の前からいなくなった人を残された人は待つのか、あきらめるのか、また、帰ってきたものは、受け入れられるのか、受け入れられようとするのか、受け入れられないのか、また万一そこに第三者がいれば、対峙するのか、あきらめるのか。

また、法学者であり、古典に通じた作者は、この永遠ともいえるテーマを法の原理とオデュッセイアの物語に重ねてさらに深く主人公に考えさせることによって、同じテーマを、筆者は、時代、場所をうつして様々に洞察しようとする。またこの物語の懐古時の時代設定が、ドイツナチ政権時代を含むものであり、ともすれば極めてリスクの大きい題材であるのだが、筆者独特の冷静沈着な筆致によって、政治的意志を排除したあくまで客観的視線を読者に提供する。

しかし、戦争によって、引き裂かれた主人公のアイデンテティの激しい揺らぎと、それを多角的にとらえる筆者の深い洞察は、現代の一大悲劇を確立したかのようである。

難しいテーマのように見えるが、人間の根本的な不安に多くの人が共鳴すると思う。



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逃げてゆく愛 (新潮クレスト・ブックス)

ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 松永 美穂 
逃げてゆく愛 (新潮クレスト・ブックス)
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商品の紹介
妻の死後、彼女のかつての浮気相手と思われる男から彼女あての手紙が届く。彼への嫉妬と生前の妻への不信感から、夫は復讐をしようとひそかに男に近づくが…。妻を亡くしたある男の心情を切々と描いた「もう一人の男」をはじめ、過去の悲劇や宗教問題のために、愛しあいながらもいさかいが絶えないドイツ人とユダヤ人のカップルを描いた「割礼」など、短篇7篇を収録。

本作品は、空前の大ベストセラーとなった『朗読者』(英訳『The Reader』)に続く、著者ベルンハルト・シュリンク初の短篇小説集。この作品の中で彼は、社会や国家の歴史やありかたに否応なく影響を受ける男女の愛をはじめ、子どもに対する父親の愛情、1枚の絵に描かれた少女への特別な感情、さらには妻のほかに2人の女性と関係を持ち、三重生活を送る男の愛など、さまざまな愛のかたちを描いている。

音楽、絵画、建築などの芸術的な要素を盛り込み、登場人物の心情の変化を細やかに描いてみせる筆力は、前作に勝るとも劣らない。いくつかの作品では、秘密を追求するというスリルあるストーリー展開で、推理小説的な要素も楽しめるなど、その魅力は多様である。また、著者はベルリン・フンボルト大学法学部教授という顔も併せ持つ。彼の研究テーマである「ユートピア」や「故郷」に関する考察が、作品の中でさまざまなかたちに具現化されている。特に「割礼」の主人公が割礼を決断、実行するくだりは、強いインパクトを持った象徴的な部分だとも言えるであろう。(石井和人)


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『逃げてゆく愛』を原書で

 長編『朗読者』の世界的ヒットが日本でも話題になった、ベルンハルト・シュリンクの短篇集。知的でスタイリッシュな7編が収められています。繊細な男女の愛に、現代のドイツやドイツ人の抱える問題を、さりげなくからめて語っています。たとえば最後に置かれた作品『ガソリンスタンドの女』は、シンプルでありながら深い余韻の残る佳品です。『朗読者』と同じく新潮社から翻訳も出ています。邦題は『逃げてゆく愛』。

愛の本質とは?

これまで「愛」と信じていたものが、もろくも崩れ去り、自分の手の中から砂のようにこぼれ落ちていくのを、ただ見ているしかない男女。青年、成年、中年、老年にわたる様々な主人公達の、恋人への妻への子供への、そして自分への「愛」と信じていたものは、いったい何だったのか。

「愛」をつきつめればつきつめるほど、また、自分の「愛」に正直になればなるほど“逃げてゆく”「愛」の不条理を、真摯に捉えた「残酷な愛」の書でもある。
ドイツ人作者ならではのドライで誠実な人間関係を堪能できる。
☆「真剣な愛」を経験したことのある人におすすめ。


巧妙な人物設定と少し意外な結末

私が最も気に入ったのは、ドイツ人男性とユダヤ人女性(そうしたければ、順番を逆にしてください)の恋愛を描いた「割礼」。テーマだけを聞くと、随分と陳腐に聞こえるかもしれないが、そこは『朗読者』のシェリングのこと。巧妙な人物設定と少し意外な結末によって、読後に忘れがたい印象を植え付け、私たちは正答のない(そして提出期限もない)宿題を課されたかのように感じることだろう。

この短編では、ナレーティヴな部分は、ドイツ人男性(と語り手)の側にあるが、そのことが、「あれこれと悩む男と、あんまりは悩んでいない女」(The above disclaimer also applies here.)という印象を与えているように私は思った。ユダヤ人女性の側にナレーションをおいた場合や、「ドイツ人女性とユダヤ人男性」(ここでもディスクレーマーは必要ですか?)という設定を想像してみたら面白いと思った。


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過去の責任と現在の法―ドイツの場合

ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 岩淵 達治 中村 昌子 藤倉 孚子 岩井 智子 
過去の責任と現在の法―ドイツの場合
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いろいろなことを考えさせられる本

第2次世界大戦でナチスを生み出し、ベルリンの壁の崩壊で旧ドイツ民主主義共和国(東ドイツ)を吸収したドイツ連邦共和国が、いかに過去の両国における犯罪行為に向き合うべきかを論じた本。

遡及効禁止に例外を設けるべきか、もしそうならどこに根拠を求めるべきか、ラードブルフ流の自然法ルネサンスでよいのか(著者は批判的)、社会主義国の悲惨さ、日本の戦後処理、ならびに現在進められている改革の問題点(解説に書いてある)など、多様なことを考察できるすばらしい本なので、星5つ。ちょっと難しい本だが、法学的知識がない人でも一読されてはいかがでしょうか。



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