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クチコミ情報
プロフェッショナルということ神曲楽士でありながら音楽家として活躍するダン・サリエルの日常を描いたシリーズ第2巻。
GAマガジンに掲載された「〜七つの仕事」を含めた四編が収録されています。
第一話「〜七つの仕事」
最近元気のないモモが受けていた仕事をうっかり忘れていた。
アマディアは神曲楽士であるサリエルなら即興で曲を作ることも可能だと言うのだが…。
第二話「〜日溜まりの決闘」
サリエルの下に近所の公園に現れるという猛獣退治の依頼がやってきた。
現地に赴いたサリエル達だったが、そこにあったのは他ならぬコジの姿だった。
第三話「〜イドラの魔術師」
アマディアは街で偶然幼なじみのリジアと再会する。
彼女はいまや期待の新人歌手として時の人となっていたのだが、それは全て『魔術師』シャルマのプロデュースがあってのことだった。
第四話「キーラ・アマディアのささやかな一歩」
シャルマの元に戻ったリジアと本音でぶつかり合い友情を深めるアマディア。
一方、再会を果たしたサリエルとシャルマは旧交を深める気などないらしく…。
今回は全編通して「音楽で食べていくという事」というメッセージが強く感じられました。
あざの先生があとがきで「自爆っぽい台詞」と書いておられるように、クリエイティブな仕事全般のジレンマが面白かったです。
赤のユフィンリーや黒の主人公コンビのように、ポリフォニカには「プロ」が付きものの様です。
笑いの部分は二話がギャグ回ですが、前作の「〜栄光のヤマガ00壱型」に比べるとちょっとパワー不足の気がします。
二話の終盤から三話の序盤にかけてが笑いどころでした。
各話の前後にはカズアキ先生の描くちびキャラとセリフが載っていますが、これが良い雰囲気を出してます。
面白い!最高。
もーーーーーーー最高です!最高でした!待った甲斐がありましたサリエルは相変わらず不埒千万と暴虐無人と傲岸不遜を掛け合わせた性格の俺様でかっこいいし、サリエルに虐げられるけなげなドジっ子のモモ可愛いし、コジは相変わらずアル中のどら猫だし(待て)でも今巻で一番がんばったのはやっぱりアマディアでしょうね。一巻はサリエルとモモを軸に展開しましたが、二巻ではダブルヒロインのもう片方アマディアがクローズアップ。
音楽家のの名門一族に生まれかつては将来を期待された神童、しかしあがり症を克服できず試験に落ち続け親にも見放された令嬢。音楽を目指すものなら誰をも羨む特別な才能に恵まれながらも、人前で弾くことができないという致命的な欠点に悩み苦しむアマディアの内面が非常にリアルに描写されて感情移入していました。
あざのさんの書くキャラは等身大の肉付けがされていて、個々の葛藤や悩みなどにひしひし共感できます。
俺様キャラで倣岸不遜な言動が目立つサリエルにしたところで、ひどく繊細な面をあわせもつ。アマディアに「音楽を楽しめ」と教えたサリエル自身、彼女の才能と自分の才能とを比較し、劣等感を抱いてしまう。
ぜんっぜん完璧な人間じゃない。突出したひとつの才能を除けば難のほうが目立つ。それでもサリエルを好きにならずにいられない。
不遜で傲慢でコンサートでは客の入りを真っ先にチェックするような卑小な性格、ギャラが少ないと文句をつける、目つきの悪さを隠すため伊達めがねをかける。一方で音楽にかける情熱と理想をめざす真摯な姿勢は本物で、「演奏する者も聴く者も同時に楽しめる音楽こそ最高だ」との信念を持ちながら、自分の音楽はしょせん大衆と時勢に迎合した「消費される音楽」ではないかと不安に揺れる。あーもうほんといいよサリエル、良い意味で人間くさい。すごいツボ。結婚して。……いや、結婚はしたくないけどファンクラブ入らせてください。
で、今巻ではサリエルと因縁浅からぬ男が登場。
「イドラ(偶像)の魔術師」の異名をとる敏腕プロデューサーでサリエルと喧嘩別れした元相棒、シャルマ。
こいつがまたいい性格してて……伊達にドSを名乗っていません。
第三話で音楽に絡め才能論をぶつところは圧倒されました。サドというよりは徹底してシビアなだけかもしれない。「才能は小数点を数えない」という言葉は非常に冷徹ですが、真実の一面を抉っている。説得力があります。彼女がめざしてるのはアートじゃなくてアーティストのところとか、これ、音楽の道をめざしてる人はかなり耳が痛いじゃないかなあ……音楽に限らず、創作だの何だの芸術系の進路をえらんだ人全般にあてはまりますが。
あがり症が克服できず人前での演奏は失敗続きのアマディアですが、幼馴染と腹を割って話し合って一皮剥けたのは嬉しい限り(人として大事なものもいくつか捨てたっぽいですが)とくに楽屋にもどってきたリジアに活を入れるシーンはすっとしました。よく言った、偉い!
「自分の音楽をめざす」というオリジナリティ追求論はアーティスト志望者ならだれしも持ち得るビジョンだけど、リジアのそれがいささか甘えに映ったのも事実。だからアマディアのお説教は痛快でした。サリエルに似てきたのかな……この師にしてこの弟子あり。
「音楽とは何か」「才能とは何か」「秀才と天才の差」などがダン・サリエルのテーマだと個人的には思ってるんですが、一方ですごくシビアな論理や価値観を語りながら、もう一方で現状に安住せず足掻くキャラへの優しいまなざしを忘れないのが読後感の良さの秘訣なんだよなあ……。実際に目に見え音が耳に聞こえてくるような演奏シーンは今回も健在。私もこんな文章が書けるようになりたい……。
今いちばんおすすめのラノベシリーズなので書店で見かけた方はぜひ手にとってみてください。
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