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アイヌ神謡集 (岩波文庫)

知里 幸恵 
アイヌ神謡集 (岩波文庫)
定価:¥ 525
新品最安価格:¥ 525
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隠れたベストセラー

わずか19歳で亡くなったアイヌ民族の知里幸恵さん。
しかも、編集にかかわったアイヌ神謡集の発行前に…。

発行されてからだいぶ経つのに、今もなお印刷されつづけ、
本屋さんに行けば、ほかの本は1冊ばかりなのに、5冊くらい在庫を常に置いている。
アイヌの口承をローマ字で起こし、さらに弟の知里真志保さん、金田一京助さんの解説付き。
知里幸恵さんがアイヌ民族としての誇りを、アイヌの文化をこれからも
後世に伝えたい…という切なる想いが込められている気がします。

その想いは現代に生きる私たちに届いているのか、現在も発行され続けています。
まさに、この本は「隠れたベストセラー」です。


アイヌのお茶目さ

 大正12年に郷土研究社から出た『アイヌ神謡集』を補訂して岩波文庫としたもの。
 編訳者の知里幸恵さんは、石狩の近くの出身のアイヌの女性。本書を遺して20歳で亡くなったとか。
 アイヌの神謡13篇のアイヌ語−日本語訳が収められている。
 左頁にローマ字表記で原語が書かれ、右頁に対訳が載っている。
 「神謡」とは神のユーカラのことであり、神や動物(アイヌでは動物は神とされる)がみずから語るという形式になる。
 本書に収められているのは、「梟の神の自ら歌った謡」「狐が自ら歌った謡」「海の神が自ら歌った謡」「小オキキリムイが自ら歌った謡」「沼貝が自ら歌った謡」などである。
 彼らが自ら歌うというところが面白い。
 狐のならば、人間に悪戯をしたら捕まって殺されてしまったというような内容を、殺された後になって狐が後悔しつつ歌うのだ。しかし、陰惨なものではなく、むしろおかしみが強い。
 神の概念、動物を神とすること、死んだ後に謡を歌うことなど、実に独特の世界だ。
 金田一京助、知里真志保による解説が付いている。


経済・文化が曲がり角にいる現代に贈られたアイヌ神謡

「銀のしずく降る降るまわりに(Shirokanipe ranran pishkan)」というリフレインが印象的な冒頭の神謡をはじめ13編を、ローマ字によるアイヌ語と日本語を対訳にして収めています。

序において、著者は、アイヌがかつて自然のすべてと溶け合って日々を送っていた楽しく幸福な時代を想い、それらが失われつつある現代(大正時代)を憂えます。幸恵は、その楽しくも幸せな時代の謡を、後世に伝え、和人にも知らそうとこの書を編みながら、数え二十歳の生涯を閉じました。巻末に、彼女のことについて金田一京助の紹介があり、神謡について知里真志保の解説があります。

真志保(幸恵の弟、北大教授、文学博士)によると、アイヌ文学は、韻文物語(詞曲)と散文物語(酋長談)に分かれ、前者は神のユーカラ(神謡)と人間のユーカラ(英雄詞曲)に分かれ、さらに前者はカムイユカルとオイナに別れます。そして、それらがどんな背景のもとで生まれ、変化してきたかが解説され、中でも神謡について、その名称が各地で異なることとその意味と特徴が示されます。リズミカルで親しみやすいリフレインについても解説されます。二十数頁の論文ですが、アイヌ文学入門でもあります。

経済、文化が世界的に曲がり角にいる現在、このような神謡の世界に遊びながら、人間の未来、これからの自然と人間の関係などに想いを馳せることは意味のあることと考えられます。


アイヌの伝承

アイヌの伝承を知る貴重な資料である。

ローマ字の音表記と日本語訳がついている。

金田一京助の後書きと、著者の実弟の解説がついている。

この2つを読むと、本文の価値を再確認することができる。


美しい日本語に出会える本

北海道旅行の前に予備知識として読んだ本でした。
北海道は観光地としてとても魅力あふれる土地だけれど、序に寄せられている知里幸惠さんのかわりゆく北の大地を思うと、もう当時の北海道を偲ぶことは難しいことを痛感させられます。海も山もアイヌの人たちが行き交っていた頃のそれとは随分変わってしまったことでしょう。
けれども彼女は滅びゆくアイヌの文化、伝承を惜しむ心の強さから文字通り心血を注いで神謡集をまとめたのではないかと思うのです。この本の製作に携わった金田一京助も幸惠さんの弟の真志保さんもそんな彼女の思いにひかれ、引き継ぐようにしてアイヌを見つめています。殊に金田一京助の聡明な幸惠さんの死を悼む思いは痛切で物悲しく心に残ります。
ゆっくり、じっくりとユーカラを口ずさみながらはるかなアイヌの民の古代生活に思いを馳せることのできる良書です。



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知里幸恵「アイヌ神謡集」への道

北海道文学館 
知里幸恵「アイヌ神謡集」への道
定価:¥ 1,575
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充実した知里幸恵読本

たまたま読んだ「アイヌ神謡集」に心動かされたのでこの本を購入。知里幸恵が非常に多くの人に、特に北海道の人に愛され、尊敬されているのだと知った。驚き、そして納得した。

巻末の「知里幸恵東京での129日」(幸恵の日記や手紙金銭出納帳によって再現)は良い資料だった。彼女は死の直前まで何を見て何を考えていたのか、推測できるようになっている。特に知りあいのアイヌが死んでとても苦しんだ数日後に、自分が子守りをしていた金田一春彦(当時赤ん坊)が井戸に落ち、九死に一生を得た辺りはひどく感動的である。井上ひさしが劇として脚本を書いてくれたらとても面白いのが出来るのになあ、などと想像してみる。


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アイヌの昔話―ひとつぶのサッチポロ (平凡社ライブラリー)

萱野 茂 
アイヌの昔話―ひとつぶのサッチポロ (平凡社ライブラリー)
定価:¥ 918
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アイヌというと、ユーカラという連想がありますが。

アイヌというと、ユーカラという連想があります。
ユーカラ以外にも、いろいろな伝承している話があります。
それらを集めたのが本書。

なんとなく親しみがわく話もあります。



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カムイ・ユーカラ―アイヌ・ラッ・クル伝 (平凡社ライブラリー)

山本 多助 
カムイ・ユーカラ―アイヌ・ラッ・クル伝 (平凡社ライブラリー)
定価:¥ 897
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銀のしずく降る降るまわりに―知里幸恵の生涯

藤本 英夫 
銀のしずく降る降るまわりに―知里幸恵の生涯
定価:¥ 2,100
新品最安価格:¥ 2,100
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多民族国家

アンダー40歳
社会の教科書には書いていないけど、学校では
日本は多民族国家であると教わった世代の私です。
日本にはアイヌ民族も琉球民族もいると・・・

で、そのことについて非常に興味を持ちつつも
普通に生活していても、その後、ほとんど多民族国家、単一民族国家
についての主張が日常的な私たちの会話に
出てこないのが不思議でした。目をつぶっているように思えていました

北海道に行けばアイヌの人達がいるんだろうと
幼少の頃は心に思っていました
開拓者もいるけどアイヌの人もいてって

同じ国土にいる仲間なのに・・・アイヌの歴史のことが知りたくて
札幌の飲み屋で地元の人に、どこに観光したいか?ときかれたとき
とにかくアイヌ関係のものを知りたいし、貴方たち開拓者の子孫が
どんな教育をされてきたか知りたいと・・・・・

「東京ならいざ知らずここで、この土地でアイヌという言葉を発するのは
いけない」みんな凄い形相になりました。それまで自分の祖先は広島だとか
祖先の話をしていたのに・・・

今の道民の心の中にアイヌというこどばがどんな存在なのか
解りません
でも北海道を訪れると、札幌の喧騒を離れ自然に触れると
いつも、昔、興味を持って読んだ、アイヌの詩が心に奏でられます
その詩が地里幸恵さんという19歳でなくなられた方の本の抜粋
だと知り、この本に手を伸ばしました。

幸恵さんよりもっと昔、アイヌの人々が独自の文化を持って
自由に暮らしていたとき、大自然の中で人々が生き生きと暮らしていた
そんな事を実感させられるアイヌの話、それを和訳という形で残した
生涯、幸恵さんは確かに生きて、アイヌを愛しつつ
若くして亡くなった事は解りました。また、それが数少ない重要な資料としての価値になって
いることもわかりました。
日本が確かに多国籍国家だということも・・

でも、まだまだ知りたいと思わせてくれる一冊でした
あと10冊くらいはアイヌ関係の本を読まなくては
日本人と言えないなあと思いました

でも、まだ解らないことだらけだらけです。北海道の人達が何を恐れているのか
なぜアイヌを差別としてしか見れないのか??


日本のアイヌ語研究に多大な影響を与えた女性

日本のアイヌ語研究者として真っ先にその名が浮かぶのは、何と言っても金田一京助である。
さらには、その金田一の弟子である知里真志保だろう。
その二人に多大な影響を与えた人物が、知里幸恵である。

知里幸恵は「アイヌ神謡集」の著者。
これはアイヌの口承文芸であるユーカラに日本語の訳をあてた可愛らしい装丁の本で、
アイヌの精神の蒸留の一滴とも言うべきもの。アイヌが初めて世に送り出した記念すべき一冊だった。
単純に訳するだけでなく、アイヌ語でも日本語でも美しく響く詩世界が広がり、
一つ一つの言葉から、アイヌの精神と彼女の聡明さがあふれ出ている。
が、この本と引き換えのように、心臓病によりたった19歳で亡くなった。

金田一京助は、幸恵はそのアイヌ語研究にはなくてはならないパートナーであり、
その表記法などで特に大きな影響を受けたという。

弟、真志保に対しては良い姉であり、彼女が真志保にあてた手紙はどれも、
こぼれるような愛情につつまれている。
闘争的な性格だった真志保も、姉幸恵に対する敬慕の情は終生失わず、
その研究において、大きな支えだったに違いない。

この本はそんな知里幸恵の生涯を描いた数少ない本であり、その足跡が詳しく記されている。
著者の藤本英夫氏は生前の金田一京助、知里真志保とも交流があり、
それぞれの生涯を一冊ずつの本にまとめてこられた。
氏の著作である「金田一京助」と「知里真志保の生涯―アイヌ学復権の闘い」との併読をおすすめする。
一連の著作では、一部タブーのような話も敢えて記述している。
個人的には多少下世話かと思える表現もあったが、より深く三人の人生に迫る姿勢として捉えておきたい。

また、人から解説されるでなく純粋に知里幸恵の人となり、その心を知りたいという人には、
「知里幸恵遺稿 銀のしずく」を特に強くおすすめしたい。
この本を読んだときには、思わず感情がこみあげた。


彼女の早すぎる死はあまりにもったいない。

失われゆくふるさとの文化を身を賭して「アイヌ神謡集」に書き遺した知里幸惠の生涯について愛情を込めて綴られた逸品。
これは維新後の日本史のひとつの投影とも言えよう。日本統治時代の台湾や朝鮮に興味があるひとにもお奨め。



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アイヌ文化の基礎知識

アイヌ文化の基礎知識
定価:¥ 1,680
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「アイヌ神謡集」を読みとく

片山 龍峯 
「アイヌ神謡集」を読みとく
定価:¥ 2,940
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「アイヌ神謡集」を読み、理解するためにとても便利な一冊

アイヌ神謡は、アイヌ民族の代表的な口承文学であり、知里幸恵著「アイヌ神謡集」(岩波文庫)は、その特徴を日本人が理解しやすいよう、そしてアイヌ神謡のもつ音感、リズムなどにも接することができるよう編集された書物です。しかし、それを良く理解するには手助けが必要です。この本は、それにうってつけです。

この本の基本的構成は、見開きの左ページにアイヌ語による謡(うた)が記され、右ページに日本語訳が配されます。左のアイヌ語は、カタカナ、知里によるローマ字、現行ローマ字、日本語逐語訳と四行で表記されます。右ページは、知里による日本語訳、現代日本語訳、英語訳の三行が並びます。

この形式で、知里の著した十三の謡が収められています。それを中心に、各謡の前後に、「物語とその背景」「言葉の説明」とその謡に関係する「コラム」記事が置かれています。その他に、「はじめに」「あとがき」は勿論のこと、「アイヌ語表記について」「神謡について」、知里の略年譜、単語索引、岩波版の要訂正個所、参考文献などが掲載され、読者は、深い理解のための情報を得ることが出来ます。まさに「アイヌ神謡集」を読みとくための基本的文献といって良いでしょう。マイナーなことですが、校正漏れが時々目につきます。

神謡の内容では、人間が神、動物、植物などと入り乱れて交感します。その交感の背後には、アイヌの自然観、死生観、道徳規範などがあって、それらを読み取ることができます。しかし、そうした背後、深奥まで「和人」が最初から的確に理解できるかといえば、なにがしの知識なしにはなかなかむずかしいです。そのような知識を本書は与えてくれるのです。また、謡、つまり口承ですから、アイヌは声に出して謡っていたわけで、本書は、それを「和人」に伝える上での情報をも与えてくれます。そのような意味で、この本はなかなかの労作です。


詳細な解説本

知里幸恵訳の「アイヌ神謡集」の詳細な解説本。

左側のページはアイヌ語。
カタカナ表記、ローマ字表記(幸恵表記と現代表記)、逐語訳。
右側のページは日本語訳(幸恵訳、現代日本語訳)、英語訳。

また、各話の前後には「物語の背景」「言葉の説明」等があり、アイヌ神謡集をアイヌ語、アイヌ文化の両面から理解出来るように構成されている。

アイヌ関連の書物ではマストアイテムになると思う。

中本ムツ子氏のCD:「アイヌ神謡集」をうたう と合わせて読むのがお勧め。



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アイヌ民族の軌跡 (日本史リブレット)

浪川 健治 
アイヌ民族の軌跡 (日本史リブレット)
定価:¥ 840
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わかりやすいです。

アイヌの歴史を知りたくて瀬川先生の『アイヌの歴史』を読んだのですが,考古学が中心でわかりづらい印象を受けました。なので,この本を読みました。
 内容は歴史史料を主に参考にしているため,アイヌ人の軌跡がわかりやすくなっています。アイヌ文化は北海道の内部で独自に形成されたというイメージを私は持っていました。ですが,倭人との関係だけでなく,中国・ロシアなどの交流の中からアイヌ文化や社会の形成されたことがわかり,目からうろこの状態でした。
 アイヌ人は日本人への同化を強制されたわけですが,なぜそうならなければならなかったのか,幕末期の状況を踏まえて論じられている点も興味深いです。
 アイヌについて勉強する際に一番最初に読む本としては最適です。


東北アジアの中のアイヌ

アイヌ民族の軌跡を、日本からだけでなく、東北アジアの中で位置づけようとしている。

アイヌ民族と、東北アジアの他の民族との交流の中で、他のいくつかの先住民族と同様の、
記録が十分でない歴史を示唆している。

アイヌ民族について勉強しはじめる最初の1冊としては最適かもしれない。



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ユーカラの人びと 金田一京助の世界1 (平凡社ライブラリー)

金田一 京助 藤本 英夫 
ユーカラの人びと 金田一京助の世界1 (平凡社ライブラリー)
定価:¥ 1,260
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樺太アイヌ語

樺太アイヌ語の収集の苦労が最初に書かれている。

絵をかいて、それをなんと呼ぶかを聞くのがよいという方法が大事であることがわかった。

警戒する大人に比べて、くったくのない子供を攻めるのがよいこともわかった。

子供は絵に興味があるので、絵をかけば集まってくることもわかった。

北海道では目はシクであり、樺太ではシシというとのこと。

アイヌ語調査の苦労が分かった。


ユーカラクルとの交流録

本書は金田一京助の随筆の中から、アイヌ語研究に関するものを集めた一冊です。
学術的な内容ではなく、彼の研究を巡る人々との交流史と言ってよいでしょう。
ことに、彼に多大な影響を与え互いに響きあった知里一家との出会い「近文の一夜」は繰り返し劇的に語られます。
「アイヌのホメロス」と称えた紫雲古津のワカルパ翁とのエピソードや、コポアヌ婆さんとの交流もまた然りです。
生前の金田一氏は、女性的な優しさを持ちながら、同時に熱情的な口調の持ち主であったと言われます。
本書の文体からは、それがそのまま伺われる気がします。

とはいえ、行間からはアイヌ語研究にまつわる苦労も伺われます。
まだ貧窮していた金田一家を訪れるアイヌの人々に対する彼の家族の感情や、
習俗の違いから来る誤解など、直接的には語られないものの、現実には美しい話だけでなかったことは分かります。
金田一氏の研究に、様々な批判があることも知っています。
人の死の局面に臨んで、なおユーカラの採録に努めようかという姿勢に疑問を呈する人もあるでしょう。
「近文の一夜」のエピソードも、人によっては非常識と映るでしょうし、知里幸恵に語った言葉もまた、意見があるに違いありません。
現在の観念からすれば適切でない言葉使いや表現が、文中に数多く含まれているのも事実です。
しかし明治から昭和にかけての通念が今と同じである筈がなく、
逆にそこまで時代から飛躍してしまっていれば、彼の研究もまた成果を挙げられたか、どうか。
アイヌの口承文芸である「ユーカラ」の価値が認められたのに、彼の貢献がいかに多大であったことか。
知里幸恵の日記を読んだことがあります。そこには溢れるような金田一氏への尊敬の気持ちが綴られています。
私はできれば、それを信じていたいと思います。


「心の小道」をめぐって

 アイヌ研究の途上出会った人びとのことを中心にした随筆集である。「何」というアイヌ語「ヘマタ」を知ってからアイヌ語採集の幅を広げていく様子が描かれ「心の小道」と改題され中学校国語教科書にもなった。「盲詩人」の主人公・ワカルパは金田一アイヌ学には不可欠の一人。知里幸恵・真志保姉弟がつながる叙事詩人の名門・金成家もワカルパと同系であることが語られている。
 最後に載せられた講演記録「心の小道をめぐって」が最も金田一京助の全貌が集約された自伝になっている。
 大学で言語学を専攻し地元に近いことで、アイヌ語と日本語の関係を担当することになった。北海道を手始めに、カラフトアイヌを本格的に調査するようになる。ことばこそ心と心をつなぐ小道だという考えに到達する。やがて、アイヌのホメロスとも言うべき叙事詩ユーカラ三千行の採集にかかる。生活難の中にも、友人石川啄木の下宿料を払ってやったりしたこともあったという(雅)


イランカラプテ

金田一京助の出合ったユーカラにまつわる人々について書いた随筆を集めた本です。ユーカラで使われているアイヌの古語を採取するため、樺太に渡るが、言葉が通じないためだれにも相手にされず、途方にくれてしまう。自分が描いた絵に子供達が興味をしめすので、目やまゆげを書くと口々に指差してしゃべりはじめたので、最後にグルグル線をひいてみせたところ「ヘマタ」と口々に言い出したので、「何」という単語がわかり、言葉が通じ始め採取に成功する。という有名な「心の小経」をはじめ様様な随筆がのっています。どの文章も、ユーカラを教えてくれた人たちに対する感謝の気持ちがあふれていて読んでいて心温まるものでした。著者の発音するきれいなアイヌ語にふれて、うれしそうにするアイヌの人たちの様子。言葉が通じたことを喜び 子供達といっしょにぴょんぴょん飛んで笑ったときの楽しい様。横たわって、自分のわき腹をたたきながらユーカラを唱え始めたのに感激した話。著者が「心の小経」というタイトルをつけたのは「言葉によって心が通い合うことができたことを例えたのだ」ということがですが、読んでいるとそれがしみじみ伝わってきます。ユーカラを意味がわからないまでも、発音をローマ字でノートに書き取っていったところ、「真ん中がどのページもひとりでに、すーっとあいている」それを見て、ユーカラが叙事詩であることに気がついたといった件など、著者の好奇心と研究熱心な様子や発見の喜びが伝わってきて楽しい本でした。

とくに「アイヌをにっこりさせる一言」と副題がついた「イランカラプテ」という文章が楽しかったです。道や畑で著者に笑いかけるアイヌの人々の描写がほほえましく、本を読んでいてこちらもにっこりしてしまう暖かい随筆でした。

金田一京助が出会ったユーカラの人びと

21世紀の現在、アイヌといえばユーカラが思い浮かぶのは自明だが、そのユーカラを「発見」したのが金田一京助であった。アイヌは昔も今もユーカラを謡っていたが、それが叙事詩であることに気づいた最初の人間が金田一京助であった。
その発見の過程や、そこからアイヌ研究に人生を賭ける決心をする過程が興味深い。官僚風な服装から部落へ行っても警戒され話も出来ない状態から、会話をしアイヌ語を書き取るまでに至る過程は、関心を引く。
この本人は、何人ものアイヌの人びとが登場する。ユーカラ名人のワカルパ、金城マツ、知里幸恵、名寄や樺太のアイヌの人びと。私が興味を持ったアイヌは、コポアヌ婆さんである。明治の時代に、家族不和から家出のような形で上京したことをきっかけにその後8度も上京し、そのたびに稼いでおみやげをたっぷりもって帰る婆さんである。そのたくさましさが読んでいておもしろかった。
★一つ減点したのは、この本は雑誌や新聞の記事などをまとめたものであるため、同じ人物の説明が何度も出てくることである。繰り返しの説明のためくどさがあるが、本の性質上、これは仕方のないことだろう。ただし、各記事から表れる金田一京助氏の人柄、研究姿勢、アイヌの人びととの関わりを知るにはよい本かと思う。



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アイヌのうた

民族音楽 萱野茂・平取アイヌ文化保存会 芦沢ヤエ 木幡サチ子 木村いと 貝澤あさの 黒川セツ 萱野れい子 貝澤野の子 上田とし 
アイヌのうた
定価:¥ 1,995
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アイヌの音に触れるにはオススメ

ゲームやマンガなどのメディアからアイヌに関する知識も随分定着しています。
でも「言葉」や「歌」などの「音」に直接触れる事はほとんどないのでは。
「文字」と言う表現媒体を持たないアイヌの人たちは「言葉」を口伝で残します。
それは日常会話から子供に聞かせる童話から子守り唄、ちょっとしたことわざまで多岐に渡ります。

そんな中から「神謡」と呼ばれるカムイユカラや子守り唄、踊りの時に歌う歌などをピックアップしてまとめたのがこのCDです。
監修はアイヌ民族学においては有名な萱野茂氏。CD中でも何曲か声が聴けます。
日本にありながら日本でない感覚を呼び起こすアイヌ語の「音」をぜひ聞いてみて欲しいです。

惜しむらくはライナーがあまり充実していない事でしょうか!・・・それでも訳詩が乗っていますので、それを見つつ。


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