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天切り松 闇がたり [DVD]

本木克英 中村勘九郎 渡辺謙 椎名桔平 篠原涼子 井川遥 中村獅童 浅田次郎 金子成人 
天切り松 闇がたり [DVD]
定価:¥ 3,990
新品最安価格:¥ 3,416
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思わず涙した

原作は何度も読み返すほどの名作であり、私にとっては鬼平犯科帳以来の感動作だった。
最後の姉を背負って行く場面など、原作を知っているが故に先が分かって涙が溢れてきた。
この続編がまだ出ないことが恨めしく思う。
この小説を読んでからは大正ロマンなファッションに興味を持ってしまい、このDVDでも
そのファッションが堪能できる。
名作でありお勧めしたい。


もっと見たい!

3年位前に原作を読んでから、浅田次郎さんの作品に夢中に。
プリズンホテルも好きだが、DVDが出ている事を知らず、今回は
天切松を購入し、つい先程見ました。
結構好きなキャラである、おこん姐さんと常兄ぃの話が無くて
あれれ?という感じだった事と
主役でしょ?の、目細の安親分の話もなくって少々がっかり。
なので星4つ。
でも全体的にはとても良かった。
特に、本作品を読んで感動した人ならば解るであろう、
松と姉のシーンは、かなり泣けました。

おこん姐さんを篠原涼子さんが演じると勘違いしていたので
ちょっとびっくりしたキャスティングであったけれども
とても満足しています。
今度は常兄ぃとおこん姐さん、安親分のシーンも盛り込んで
是非とも続編を出して欲しいです。


キャスティングがピタリ。

キャスティングを見て「これは」と思ったが、「天切り松」の中村勘九郎ははまり役。玄人衆が使う「闇がたり」という話し方で語られる闇の物語であり、そこに大正ロマンが漂い本物の任侠が描かれてゆくのだが、この雰囲気が実に程よく醸しだされている。原作のイメージに重なる配役もピタリと決まっていて実に良い仕上がり具合。原作の名場面を選んで映像化しているが、原作を知らなくても「闇がたり」の面白さは十分味わえると思える。

原作の『粋』を見事に映像化

浅田次郎の原作「天切り松闇語り」シリーズを呼んだ人なら必見の作品。原作の出来があまりにも優れている場合、イメージが壊れるのが勿体無くてなかなかドラマは見られないが、この作品は、自身を持ってお薦めする。全体に漂う大正ロマンの世界に安吉一家の面々が鮮やかに描き出される。書生常が出ていないのは残念だが、浅田作品を貫く『粋』と『人情』『一途さ』は完全なまでに描き切られている。何故、ここまでの物を作ってしまっかのか?スタッフの意気込みを感じさせられる。

連続ドラマで毎週魅せてほしい

 衣装やセットがたいへん凝っていて魅力的だった。セピア調の音楽といい、原作の雰囲気をよく映像化していると思う。原作では、獄中の天切り松が啖呵を切る場面も多々あるが、本作品のように決して声を荒らげることなく、淡々と闇語る姿も滋味豊かで印象的だ。
 天切り松の二つ名の由来を明かす書き下ろしエピソードもあり、見応えのある構成となっている。おこん姐さんや書生常がほとんど脇役だったので、彼らの活躍を今度は見てみたい。続編の予定はないのだろうか。
 
 なお、原作は同題の小説シリーズのほか、エッセイ「初等ヤクザの犯罪学入門」には天切り松誕生のエピソードが収録されているので併せてオススメしたい。



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天切り松闇がたり〈第4巻〉昭和侠盗伝 (集英社文庫)

浅田 次郎 
天切り松闇がたり〈第4巻〉昭和侠盗伝 (集英社文庫)
定価:¥ 580
新品最安価格:¥ 580
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昭和に入っても大正浪漫

 いよいよ時代もくだった昭和に入ると、いろいろときな臭い話が出てくる。人が人情だけでは生きづらい雰囲気がはびこってくる。そんな中でも任侠心と心意気だけで生きる琴線に触れるお話ばかり。
 とにかく言葉の端々に含蓄があって、重みがある。一つ一つ心にじーんとくる、珠玉の短編集。じっくり味わって読まなければ損である。


昭和初期の銀座を銀ブラできる物語です。

モボ・モガが闊歩する昭和初期の東京・銀座。目細一家の親分もややお歳をめしました。天切り松もそろそろ黄不動の兄貴の跡目を継いだ頃、日本は戦争を起こし中国大陸に進出していました。国を挙げての泥棒行為を前にして本物の盗人は意気消沈。そんな中で、目細一家は本物の狭義を貫く仕事を目論見ます。松蔵の江戸言葉で語られる、昭和初期の東京の風俗。闇もあれば今の東京がなくしてしまった光もある。特に面白いのは太平洋戦争後に日本はアメリカ被れになったように思っていましたが、昭和初期にすでにアメリカ風俗が世の中を覆っていたことです。さらに、銀座松屋の賑わいですね。当時の銀座の様子が伺えて読んでいるだけでその頃の銀座をブラブラ歩いている気分に浸ってきます。この本で当初どうにも抵抗があったのは、松蔵翁が話し始めると警察署長をはじめ松の話を聞くために押すな押すなの賑わいになるという構成です。そこに徐に「語って聞かせようか・・」と話が始まるのですが、どうも自画自賛しているように感じていました。しかし、この江戸の話し言葉で古き時代の東京を紹介するには、天切り松に語らせる以外になかったかなぁと今では思っています。そういったことが頭によぎったとしても、物語は抜群に面白いので気にするほどのことはないのですが、大ベストセラー作家の著者がなぜこの手法を用いたのか気にはなっています。

松蔵にもっともっと語ってほしい

義理や人情を重んじ生きてきた松蔵たちだったが、時代が昭和になり日に日に
戦争が暗い影を落とすようになる。寅弥や勲のためにどえらいものを盗もうと
する松蔵たちを描く「昭和俠盗伝」、永田少将を斬殺した相沢中佐を描く
「日輪の刺客」「惜別の譜」、愛新覚羅溥傑と浩を描いた「王妃のワルツ」は、
人々の悲哀がにじみ出ていて、とても切なかった。狂気の時代へと突入する
日本・・・。これから、安吉は?寅弥は?栄治は?常次郎は?おこんは?
もっともっと松蔵に語ってもらいたいと思った。


心配しながら期待

相変わらずイキな結末が、その語り口とともに見事です。
相沢三郎中佐を人間的に好ましく描いているのも、新しい視線で面白く読めました。また愛新覚羅溥傑と結婚した嵯峨浩のお茶目なところも、よくここまで物語にしたてたなと感心しました。
史実のピンポイントは押さえながらも、そこにフィクションを挿入して、一寸した涙、皮肉や意地を見せるいつものパターンにしっかりとはまった次第です。
でも戦争への足音はひたひたと聞こえてきます。この後、どんな物語が続くのか、心配しながら期待しています。


面白さに外しがない

待ちに待った天切り松シリーズ第4巻。
警察署や留置所で警察相手に古き時代の高い気概を持った日本人の話を語るパターンの松蔵の姿は踏襲され、時代はいよいよ昭和に移る。
これまで同様、江戸っ子のテンポ良い語り口に一気に惹き込まれ気がついたら読み終わっていたといった感じであった。
天切り松シリーズは面白さに外しがないすばらしい作品である。



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プリズンホテル〈1〉夏 (集英社文庫)

浅田 次郎 
プリズンホテル〈1〉夏 (集英社文庫)
定価:¥ 580
新品最安価格:¥ 580
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浅田ワールドから逃れられない

「壬生義士伝」「蒼穹の昴」と続けて読んできてその重厚にして緻密な浅田ワールドのとりこになってしまった。
さて、次は?と思って読んだのがやはり代表作の「プリズンホテル」だった。
1巻を読み始めて半分くらいまでは、なんだこのスラップスティックは?ほんとに浅田作品?と思いつつ読み進めていった。
しかし1巻を読み終えてやっぱり浅田作品はやめられないと満足した。
浅田次郎が日本文学史上の文豪、巨匠であることは間違いないでしょう。


おもしろい

初めて浅田次郎さんの本を読ませていただきました、映画、ぽっぽやのイメージしかなかったのですが、独特のおもしろさがありました。この本は笑ってしまって電車の中では読めません。早く続きに行きたくなる、そんな本です。ホテルマンと言うより、家族、人間の楽しさが出ている気がしました。

予定調和の素晴しさ

 キャラクターたちが立ちすぎていてともすれば漫画のようにうつってしまう.各巻とも最初に配置された登場人物たちから凡そのラストの結末は予想できる.それでも,この作品は面白い.泣かせ所の書き方が特に秀逸だ.安心して読める作品である.

素晴らしい着想、ただ悪いクセというか

マル暴の皆さん御用達のホテルとは、まさに当を得ている。
これ本当に作ったら相当はやる気がしますねぇ。
話のテンポといい、挿話的なエピソードもよく、とても面白く楽しく読めました。

ただ、最近の作品に何となく感じることなんだけど、多分に映画チックというか、いかにも映画原作になりそうな感じがちょっとあざといような。。。
さらに、浅田の悪いクセというか(そこがいいというフアンの方もいらっしゃるのでしょうが)、幻想的な、オカルティックな話に入っていく。
うーん、どうもそこらのどたばたのような、お涙のような、しかも霊的というところがちょっと僕は苦手。

全体には楽しかったですが。
これ、2,3と続くそうなんだけど、この後の巻でもやっぱ霊的な話あるのかなぁ。。。ちょっと心配。


痛快 小説 ・・・

展開がコロコロ変わりながらも、この小説の言いたい本筋にはブレがなく、痛快だ。

少々、主人公?の小説家が連れと義母に暴力を振るう部分は納得できない程、不自然な感じはするが、小説家の歪んだ気持ちをより際立たせるための演出と思えば、よいのでは?

三谷幸喜 の脚本を読んでいるような、アップテンポの流れがとても楽しかった。
浅田次郎の本はすでに10冊は読んでいるが、私としては、上位に食い込む楽しい小説だった。

浅田次郎 自分自身の経験がかなり入り込んでいるようである。
主人公の小説家と同様、浅田次郎本人も気難しい人なのだろうか?
どこまで、この主人公と浅田がダブっているのか、この点について、興味がわいてしまった。



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プリズンホテル〈2〉秋 (集英社文庫)

浅田 次郎 
プリズンホテル〈2〉秋 (集英社文庫)
定価:¥ 760
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おもしろすぎる。。。

夏編に続いて、秋編も読みました。

とにかく、面白すぎる。

少々、付添いの女性とその子供に対して、異常ともいえる冷たさ、暴力が「ちょっと、、、」って感じはするけど、それは、作者のわざと読者に毒をもっておいて、余計に後から心に響かせるという反則スレスレの技と言うことで納得しています。

今回は警察と任侠団体の宴会が重なり、はたまたその中に売れない歌手の悲哀な物語もあり、
この何重にも絡まった話を一気に読ませる作者の力量には相変わらず敬服します。

実際の世の中は、人情が薄くなっているけど、この小説を読むと人情は日本社会にはとても重要な要素、また、日本人が世界に誇る文化だなあ、、、とつくづく思います。

人情味のある人間になりたいと思う 小説です。 ドタバタ小説ですが、お薦めですよ。


おとぎばなし

このシリーズは、現実にありえそうで実はどこにもないおとぎばなし だと思う.

ガラの悪いトンデモホテルなのに、人生に行き詰まった宿泊客に救済を与える。登場人物に本当の悪党がいない(多くの登場人物がカタギでないのにもかかわらず)そして、コミカルなドタバタ劇の中に、どこか性善説のような宗教的な趣きさえ感じられる。
読み進めていくうちに、多くの登場人物の人生の光と陰を見いだし、その中にかならず自分と重ねられる部分を見つけて、読者自身も救済されていく、そんな不思議な本でした。

冬、夏、春、秋と順不同に読みましたが個人的には秋がいちばん印象深かったです。ミカが描く秋の絵がビジュアルとして脳に焼き付けられたからでしょうか。

なんとなく手がのびなかった浅田次郎の作品ですが、これを読まないのは人生の損失だと思います!


更なる奇想天外な設定で笑って泣かせる傑作

シリーズ第二作。シリーズの中で最長を誇ると共に、奇想天外な設定で大いに笑わせてくれる。笑いと共に泣かせ所を心得ているのは、浅田氏ならではであろう。最終巻(春)の結末以外は浅田氏特有の"あざとさ"がないので素直に楽しめる。

ヤクザが任侠専用ホテルを経営すると言う設定自身が奇想天外なのだが、今回は馴染みの任侠一家と共に、警察署の一行も同泊すると言う設定で笑いを飛躍させる。この対応に右往左往する従業員の姿がオカシミを誘うが、支配人花沢は相変わらず毅然とし、若頭の黒田の渋さも相変わらず。従業員のうち、アニタなど外国人は平然としていて、当然とは言え、皮肉が効いている。一見、荒っぽい設定の中で、登場人物一人々々に細かい気配りをしているのだ。そして、互いに相手に気付いた警察署一行とヤクザ一家の振舞いも抱腹絶倒。警察組織とヤクザの組織の体質が似ている事への痛烈な風刺が効いている。サブ・ストーリーで語られる元アイドルと愛人の話は泣かせるもので、物語にアクセントを付けている。私がシリーズの主人公と思っているエキセントリックな小説家木戸は本作では影が薄いが、やはり木戸とその愛人の清子、そして叔父でホテルのオーナーの大親分仲蔵と木戸の母。この四人の関係がシリーズの主旋律を奏でている事が窺える。

全体の構想がズバ抜けている上に、木戸や花沢の性格設定、登場人物間の錯綜した関係、客達の秘められた事情、小刻みなギャグの連発によって無条件に楽しめる娯楽小説になっている。特に本作は警察署一行の来泊と言うトンデモナイ設定を加え、ずば抜けた面白さを誇るエンターテインメントの傑作。


傑作

シリーズものはとかく2作品目が1作品に比べ面白さがダウンするものであるが、本作品は前作品並もしくはそれ以上の面白さ。
やくざと警察がプリズンホテルで隣り合わせて宴会してしまうという発想はかなり面白い。
ボリュームがあるが短編集のような構成になっているため、途中で読むのを中断し数日後再び続きを読み出しても問題ない点が良い。
途中で挫折のない作品です。
シリーズ3作目となる「プリズンホテル3 秋」を早速読み始めた。


パワーダウン、さびしい。

 夏から始まったこのシリーズの第2段。
 警察とやくざの微妙な接点は、作者の実体験によるのかもしれないが、この作者には「きんぴか」と言うこの問題を扱った完璧な作品が存在するのであるから、それを読んでる人間には、二番煎じ、、三番煎じとしか思えない。
 非日常を日常に取り込む稀代の話術氏も、同じ題材で何度も、同じ話を作り替えるには、無理があったようである。

 残念だ。



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プリズンホテル〈3〉冬 (集英社文庫)

浅田 次郎 
プリズンホテル〈3〉冬 (集英社文庫)
定価:¥ 580
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「死」というテーマ・・・・!?

プリズンホテル第三作目。
「冬」という題目であるため、とても繊細で、冷たくて、悲しくて、キリッと引き締まったストーリーという感じを読み終えた後に持ちました。

「死」というテーマを今回は貫いていて、いろいろ考えさせられるシーン、台詞が随所にちりばめられています。

・ウェートレスの死 ・マリアの勤めている救急センター  ・安楽死を選択した医者 
・いじめで自殺を図る少年  ・清子/孝之介の愛の表現→「死」?
・登山家の「死」に対するポリシー

とても難しいテーマですが、浅田先生の筆力でぐいぐい読ませます。

ただ、私の読解力がないせいもありますが、
 ・マリアと医者の愛情表現のすれ違い
 ・孝之介の清子に対する愛情表現の異常さ
はどうも理解できませんでした。(あまりに非現実的。。。。?)

相変わらず、読み始めると読むのを止めるのが大変な程、とても読みやすく、面白い小説であることは間違いないです。(ただ、「夏」「秋」よりは落ちるかなあ。。)

あとは「春」編を読み、完結です。読むのが今から楽しみです。


ドイツ教養文学をバックボーンとした泣き笑い満載の素晴らしい極道小説!!

まだ、浅田次郎を読んだことのない人も、読んだことがある人も、いつかはこの「プリズンホテル」を読まなければならない。人生の笑いと悲しみがいっぱいつまっていて、最後には涙と鼻水が一本の川となってあなたたちの顔の笑いジワの痕(あと)を流れていくことになるからだ。

 しとしとと、しみじみと始まる話ではないのだ。極道がたくさん出てきて、こましゃくれた子どもも出てきて、少々荒っぽい流れもあるけれど、浅田次郎が作家として自信を持つことが出来たという一作だ。その証拠に、この第一巻である「夏」から書きはじめた浅田次郎は、最終編となる「春」までの間に、「日輪の遺産」、「蒼穹の昴」、「鉄道員」などの代表作となる名作を生み出しているのだ。

 みんなこうはみえても、結構好き勝手な人生を生きてきた。
 強がりもあっただろう、見得もあっただろう、世間知らずもあっただろう。自分ばっかりが強がっていてもそれは他人様から見たら喜劇であり、それがいつしか哀しみと本当の自分への愛へとつながっていくのである。

 この「ドイツ教養文学をバックボーンとした泣き笑い満載の極道小説」(浅田次郎)は、時間さえあれば何度でも読み返してみたいと思うワシにとっての最強小説なのである。


<冬>に合わせた透明感溢れる出来〜「清子=聖母」

シリーズ第三作。<冬>と言う副題に合わせてか、前作のような奇想天外な仕掛けはなく、浅田氏特有の純情路線の透明感溢れる作品で、同時に次作における大円団の伏線ともなっている。

プリズンホテルを訪れる客は相変わらず様々で、各々悩みを抱えている。救命救急センターの婦長、人呼んで「血まみれのマリア」。何千人の死に直面している。患者を安楽死させた事で悩む医師平岡。数々の危機に遭遇した天才クラマー武藤。仲蔵までがガンを気にして右往左往する。"死"が一つのテーマとなっている。彼等は皆悩み、人生に疲れ倦んでいる。だが、プリズンホテルと言う異界を訪れ様々な出逢いと経験をする事で、彼等に活力と人間性が戻って行くのだ。全体をユーモアで包みながら、温かい人間観察を見せる作者の手腕である。一方、シリーズの主人公のエキセントリックな作家木戸の傍若無人ぶりは相変わらず。清子をいつものように苛めるかと思えば、少女のために縫ぐるみを繕ったりする。ハッキリ言って切れている人物である。そして、清子は前述の客達とは異なり、辛い思いをしながら、人生を諦めたりせずに、"あるがまま"に受け止める。清子こそ聖母だと思えて来る。木戸の相手が出来るのは清子だけだと読者に思わせる。そして、結末で作者が用意しているものは...。

全体の構想がズバ抜けている上に、木戸や清子の性格設定、登場人物間の錯綜した関係、客達の秘められた事情、小刻みなギャグの連発によって無条件に楽しめる娯楽小説になっている。特に本作は人生に疲れ果てた人達がプリズンホテルを訪れる事で勇気を得る展開になっており、これにより読む者も勇気を与えられる快作。


文句なしの傑作

前作に比べボリュームは少ないものの、内容は外すことなく面白かった。
特に浅田氏の他作でもお馴染みの血まみれのマリアまで登場したほか、有名な登山家、(複雑な事情を有した浅田氏酷似の)小説家は相変わらず話を盛り上げてくれる。
また、いじめを苦に自殺を図ろうとする少年も登場するが、いじめを苦に自殺する学生が多い中、そうした悩みを持っている学生に送りたい気持ちである。
浅田氏得意の登場人物の勘違いを背景とした会話を面白おかしく描く技術は本作でも十分に発揮されており、かなり自信を持ってお薦めできる作品である。
いよいよ同作の春(4巻)を読み始めるが、読み終えるのが惜しいような気持ちが生じるほどの傑作!


血まみれのマリアまで出しますか?

 浅田次郎の小説は、「蒼穹の昴」のように、読み終わったあとで「これで完結はないだろう、続きはないのか」と思わせるあまりの奥行きの深さがあった。
 他方、「きんぴか」は、健ちゃんが5代目を本当に襲名するかと言うような問題点を残しつつも、「完結」していた。
 作者は、このあたりを見過ごして、「きんぴか」を同じ設定のこの小説に持ち込んでしまった。

 「きんぴか」で・・・自慢じゃないが1996年の合本晩の初版を買った人間だ・・・・築き上げた世界を、また使うとはどういう神経であろうか?

 才能ある人間だが、彼は、少し調子に乗りすぎて、編集者に騙されて書きすぎてるのでは。



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プリズンホテル〈4〉春 (集英社文庫)

浅田 次郎 
プリズンホテル〈4〉春 (集英社文庫)
定価:¥ 720
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大団円!

プリズンホテル 第四巻・・・ついに大団円です。

「1巻から出ずっぱりの相変わらずの人たち」と「新しい登場人物」のくりなすドタバタ話、しんみりとした人情話、奇抜な人生劇がこれでもかと展開していきます。

このパターンは、1巻から全く変わらずとても気持ちよい読み心地です。

人との接し方の真剣さ、人に対する思いやりの持ち方、人間関係の大事さ をこの本を通じて
とても感じる事ができます。

これらは、今の世の中ではなかなか接する事ができない事であり、郷愁的な気持ちを持ちながら、また、あこがれ的な感情を持ちながら読みました。

あまりにもハッピーエンド過ぎる気はしますが、これはこれで読後の気分がさっぱりし更によい気分になり、私的にはとても良いと思いましたよ。

どちらにしても、「プリズンホテル」は笑いあり、涙あり、感動ありのとても楽しいシリーズでした。

読みやすい小説ですので、何かすっきりした本を読みたいなあと思っている人がいれば、是非とも読んでみてください。


痛快で泣かせる小説の醍醐味

浅田次郎の小説の原点ともいうべき『プリズンホテル』シリーズが大団円を向かえる1冊です。

主人公である孝之介については、他の作品以上に作者・浅田次郎の投影が感じられます。
浅田次郎が言う所によると、両親が離婚して、それぞれが所帯を持ち、浅田自身は親類に育てられ、また、妻の母とも浅田次郎が同居している現実があります。それを知れば知るほど、孝之介のここでのセリフが読者を泣かせるのは、作者の心の底から発する強い思いが込められているからにほかなりません。母への愛を希求する姿は強い願望となって読者にストレートに伝わってきます。ハチャメチャな後に泣かせる展開というのがまた上手さを感じさせます。

また浅田自身が疫病神に称えられ「くすぶり」と言われていたことを考えますと、登場人物名にあえて、それを持ち出したのも浅田次郎自身の運気の向上と本作がリンクしているからだと考えます。

文壇最高のステータス「日本文芸大賞」にノミネートされたという本作の展開も、『プリズンホテル』が週刊誌に連載中、まさしく『蒼穹の昴』が候補に上がった年で、翌年の『鉄道員』でめでたく直木賞受賞したエピソードを彷彿とします。作者の思い入れを相当感じる作品となっているのは当然かもしれません。ケレン味たっぷりな文章もまた広い読者の獲得につながっていると思います。

1990年代中頃は、『きんぴか』『日輪の遺産』『地下鉄に乗って』『蒼穹の昴』『鉄道員』という彼の幅広いテーマを扱った作品群が次から次へと生まれ出た年代で、この浅田次郎のエンターテイメント小説『プリズンホテル』の4部作が同時期に完結したのも凄い力量としか言えません。読者を飽きさせない小説です。


疲れてしまいました。

4巻目。無駄にだらだらと長い。何度も中断しながらやっと読み終えました。
四季構成になっているので4巻にせざるを得なかったのでしょうが、ネタ切れ感が。新しい登場人物にもまったく魅力がない。
おそらく「最大の泣かせどころ」である小説家と義母とのやりとりも、今までの描き方が描き方だけに白け切ってしまい・・・・(板長とシェフの会話のほうがよっぽど心惹かれます)


泣いた

私はこういう泣ける小説が大好きでたくさん読みました その中でもこの作品はかなり上位にくるとてもいい作品です まだ読んでない人は是非読んでみて下さい

最高の終幕

プリズンホテルは1〜3を読み終えた後、面白過ぎて読んでしまうのが勿体無い気持ちすら芽生えてこの「春」(4)に進むことができず、しばらく積ん読状態にあった。
意を決して手に取ると、案の定一晩で完読した。

内容は、孝之介が文壇最高の権威である日本文芸大賞の候補になり、珍客揃いの温泉宿を舞台にそこから多くの人間模様が繰り広げられるもので、育ての母である富江への本当の気持ちが巧く表現されており感動した。
中でも、特に良かったのは52年間の懲役を務め上げ、娑婆に戻った小俣オジの男気感じる台詞であった。

「男はやさしいだけじゃいけねえ。強くって、やさしくって、辛抱のきくてえのが、本物の男なんだぜ。おめえははまだ若え。しっかり性根を据えて、本物の男になれ。そうすりゃ、銭なんざ、勝手に後からついてくる」などという台詞をくすぶっている経営者に投げかけ、励ましているシーンは何度も読み返した。浅田次郎の小説ではこうした昔気質のヤクザが粋な台詞をはく部分が特に好きである。

このシリーズ1〜4は絶対の自信を持ってお薦めできます。



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天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)

浅田 次郎 
天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)
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読み応え充分!

貧しい暮らしをしている母と子の力になろうとする寅弥を描いた「初湯千両」、
鮮やかな詐欺の手口を披露する常兄ィを描いた「共犯者」、おこんと竹久夢二の
ふれあいを描いた「宵待ち草」、一人の女のために楠木正成の太刀を一時的に
拝借しようとする栄治の話「大楠公の太刀」、道化師の父親を持つ仁太と少年の
日の松蔵の物語「道化の恋文」、松蔵が、持つはずのない二つ盃を持つことに
なったいきさつを描いた「銀次蔭盃」、どの話も読み応えがあった。一番印象に
残ったのは「道化の恋文」だった。貧しさや自分の境遇から抜け出すのが困難な
時代、はたして少年の夢は叶うのか?安吉一家に登場する男たちのかっこよさ
だけを描かず、その当時の切なさも見事に描いている。松蔵は、次はどんな話を
聞かせてくれるのか?とても楽しみだ。


血より濃い絆

一巻では安吉一家の何がそこまで義賊なのか分からなかった。
しきりに出てくるキーワード「粋」「情」。けれども人様の物を盗む事には変わりはない、何が義賊なのか、と思っていました。
ところがここまで読んできてある事にようやく気付きました。
安吉親分は警察でさえ一目置くかつて盗人二千人を束ねていた大親分。スリの腕は確か。いつも奇麗なスーツを着ていて紳士。それは安吉一家の5人全員がそう。
しかし、盗人としての腕は確かなはずの全員が余分なお金をほとんど持っていないのです。住んでいる所は長屋。華やかな暮らしぶりとは程遠い。
こんな場面があります。
いつものように「仕事」をして、いつものように貧しい人にそのお金をやってしまった一家の兄貴分虎兄が湯屋代しか今持ってないんだ、と言う場面です。
虎兄は大金持ちの家に強盗に入った後、その盗んだ千両と共に自分の有り金も全て貧しい親子の家に置いてきて、自分のためのお金はほとんど手元に残してはいなかったのです。
食べる分だけを手元に残し、決して自分のための盗みはしない。
盗むものは私欲を肥やすための賄賂のお金だったり、有り余ったお金だったりします。
今回、一巻での安吉親分とその親分銀次親分とのその後の話があります。
なるほど、あの安吉親分をここまで育て上げた人物である事が二人の邂逅の場面に現れています。
銀次親分と安吉親分の絆。
そして安吉親分と松の絆。
人を信頼し信じる者同士の絆はどんな悪にも崩せない程に強い。血より水よりも濃い絆というものはこういうものを言うのか、と感じずにいられませんでした。


いつでも読んでしまう。一気に終わりまで世界に浸れる幸せな読書。

この天切り松の本が出ていると、毎回買って読んでしまう。この巻もまたまた一気に読ませてくれた。そして、明治時代にタイムスリップしたような不思議な感覚を覚えさせてくれた。それだけ集中して一気に読めるから味わえる感覚なのであろう。
娯楽小説として、すごく良くできている。あわせて、美しい生き様というものもいつも考えさせてくれる。


粋な生き方に、拍手喝采!

ご存知、「天切り松」と呼ばれた老義賊が、留置場内で、親分である「目細の安吉」一家のエピソードを闇語る、4巻からなるシリーズの第3巻です。今回も、これまで同様、歴史上の偉人である森鴎外、竹久夢二らも効果的に登場させながら、一家の義賊たちの、粋で格好いい生き方を、松の闇語りに乗せて紹介してくれます。
また、これまでと毛色の変ったエピソードとしては、常次郎について、得意芸である変装を生かした事件を披露してくれるのですが、思わず、う〜むと喝采をあげたくなる鮮やかさです。
シリーズのパターン的には、勧善懲悪的な側面があり、疲れ気味の通勤時に読むと、元気の出てくるシリーズでもあります。


浅田ワールド、これにあり

浅田次郎の作品を40作以上読んでいる大ファンです。
本シリーズも好きですね。

毎回「浅田ワールド」という虚実ないまぜの世界へといざなってくれます。
粋な世界を描かせたら天下一品ですね。
また、天切り松のテンポの言い語り口調が、文体にリズムを生んでいますので味わいが感じられます。タンカの切り方もいなせですし、明治・大正時代の江戸っ子っていうのは、こうだったんだ、と思わせるようなセリフ廻しに毎回感心してしまいます。

今作でも、竹久夢二、伊藤博文、永井荷風という実在人物を登場させ、いきなり不思議な世界へ連れていってくれるわけで、読者としては話の展開に毎回驚かされ続けます。もっともそこが魅力で好きな箇所なんですが・・・・。
第2話の「共犯者」の鮮やかさは、拍手喝采ものです。してやったり、と言う感じですかね。

そして第6話「銀次蔭盃」の安吉親分と仕立屋銀次の接見シーンの会話は、本当に泣けてきます。ケレン味たっぷりな話もまた浅田次郎の真骨頂ですね。
文庫化により、中村勘三郎の解説も所収されており、得した気分でした。



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闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉 (集英社文庫)

浅田 次郎 
闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉 (集英社文庫)
定価:¥ 540
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それぞれに道がある

武士には武士道、盗人にも盗人道がある。ともに現代の我々が忘れてはならない大切なもので、それを粋な言葉で聞かせてくれる。
ものの筋、道理を通すことの苦しさ。しかしそれをやり遂げる粋な姿。いろんなことを気づかせてくれた。
作者もたいそう江戸弁には苦労されただろうと思う。
出てくる人々みんなのことを大事にしたいと思わせる感動の作品だ。


“泣かせ”系です、が。

江戸っ子の主人公・松が語る台詞で追ってゆくストーリー展開は、
江戸弁のリズムが歯切れ良く、なんとも心地良い“泣かせ”の真骨頂だ。
4巻まで出ているが、各登場人物の魅力で話をぐいぐい引っ張ってゆき、
全編とも引き込まれるように読んでしまった。
ただ、各キャラクターの設定等に詰めが甘い部分が見受けられる。
例えば栄治はあんなに良いおとっつぁんがいるのに
「なんで日本一の棟梁にならなかったのか」というのは安吉親分ならずとも疑問を感じる。
文中には納得いく説明がなされていない。この辺りは今後の展開で描かれるのであろうか。
誠意ある軍人さんのプロポーズを袖にするおこん姐さんにも、
いま一つ説得力が感じられないのは自分だけだろうか?


悪党の誇りお聞かせしやしょう!

石川五右衛門や鼠小僧次郎吉等の大泥棒から、アニメのルパン三世に至るまで。
日本人は快盗・義賊好きだ。何故なら彼らが庶民の意地と知恵と心意気を持って、
お上が時々やらかす悪どい仕打ちに、それこそ命懸けで挑戦しスカッとするような
仕事をやってのけるから。この本に登場するのは、
そんな悪党なりの誇りを胸に掲げた義賊の最後の生き残りたち。

明治の大親分【仕立て屋銀次】の跡目と言われる【目細の安吉】親分を筆頭に、
ケチな仕事にゃ目もくれない。『盗られて困らぬ天下の御宝、一切合切頂戴しようじゃねぇか!』と、
粋で鯔背な兄貴に姐さん。帝都を駆けた快盗の話。

じっくり聞かせて、やろうじゃねぇか!と声音不思議な闇がたり。
チンピラヤクザや官どもに話し始める松蔵爺さん。平成の世にこそ闇の花道。
興味深く分かりやすい時代小説の決定盤!!。
一巻は明治の警察、新政府と目細一家の攻防もあり読み応え抜群です。


浅田次郎らしい作品

夜盗の声音「闇がたり」で語られるのは、不思議な老人松蔵のはるか昔の物語。
母を病気で失った後、父により姉は遊郭に売られ、おのれ自身は盗賊の親分に
弟子入りさせられた。だがこの盗人集団には、義理も人情もある。ぴしっと
1本筋も通っている。その潔い生き方には、ほれぼれとさせらる。安吉、おこん、
栄治、寅兄ィ、常次郎、どの人物も魅力的だ。そして人の心の痛みが分かる
情け深い人たちだ。松蔵と彼らの間にある信頼関係は、読んでいてほのぼのと
したものを感じさせる。彼らは、松蔵の姉のためにも一肌脱ぐ。ラストの、
松蔵に背負われた姉の描写は、胸に迫るものがあった。浅田次郎らしい
作品だと思う。


やっぱり浅田次郎は泣ける

 「鉄道屋」で泣けた人は泣ける本。大正時代の東京を舞台に盗賊団「目細の安吉」一家の活躍を描いた作品という事で最初にイメージしたのは大正のルパン三世!メンバーの個性も二枚目、ゴツイの、賢いの、キレイのと、まるでゴレンジャーよろしく典型的に際立っており、ちょっとレトロな感じのある痛快冒険小説かなと読み進めていったところ、さすがそこは浅田次郎。ちゃんと泣かせてくれます。なんといっても弟四夜の白縫花魁、弟五夜の衣紋坂から。ベタな展開、設定、だけど泣けてしまう。浅田ワールドだなあ。それぞれが独立した話ながら、やはり弟一夜から順番に読み進めていくのが第一巻の正しい読み方。歴史上の著名な人物が登場するのも物語にスケール感があっていい。おさよの話は是非映画化を。


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残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)

浅田 次郎 
残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)
定価:¥ 580
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現実離れしすぎ?

夜盗の声音「闇がたり」で語る不思議な老人松蔵の話は、多くの人を
ひきつける。小政の、一宿一飯の義理を通そうとする姿、目細の安吉の
鮮やかな中抜き、嘘を語らせたら天下一品の常兄ィの恋、おこんを慕う
軍人、そして松蔵と初菊のひととき、松蔵の父の死。どの話も、義理と
人情にあふれていて心にしみる。そして、登場する安吉一家の男たちの
一本筋が通った生き方も、読んでいて小気味よい。ただ、話の内容が
あまりにも現実離れしてるのが少々気になる。楽しめる作品だとは思うが。


大正の昔の人々の粋な生き方に乾杯!

大正時代の大義賊であった「目細の安吉」に仕え、「天きり松」と呼ばれた不思議な老人が、留置場の中に現れ、他の囚人や看守たち、はては署長までもが耳をそばだてる前で、大正の昔の義賊たちのことを闇語るシリーズの第二巻です。今回も、「目細の安吉」に仕えた義賊たちに加え、前巻での永井荷風同様、「清水の小政」といった特別ゲストのエピソードも登場し、物語に彩りを添えています。
エピソードの内容としては、「男(人間)だったらかく生きたいね」と思わせるものばかり。会社を見ても、世の中を見ても、大人(タイジン)がいなくなったなあと思わせる昨今、ほんの束の間でも、痛快な思いを味わえる1冊です。あ、もちろん、「自分もこう生きねば」という自戒の念も込めてです。


男、かくあるべし!

天切り松闇がたりシリーズの2作目。前作を読まれた方なら、すぐにイメージが浮かぶと思います。天切りの松が、獄中で語って聞かせるもので、標題になっている”残侠”が特に印象的です。清水次郎長一家の森の石松をはじめとする有名な子分衆がいますが、そのうちの一人、小政が登場し時代を超えた”侠”を伝えてゆきます。これは読み応えがありました。一宿一飯の恩義に命を張る侠気心。失われてゆく男の生き方が時代の残像として描き出されています。男としては、感じ入るところ多いにあります。この部分だけでも読む価値あります。

男気ってかっこいいです。

最近テレビで演ってたけど、本の面白さにはかないませんね。

名調子が響く

 解説を読む前に、私も思いました。これ、うまい人が朗読したら泣けるよなあって。天切り松の闇語りだけに、無音で読むというよりは、頭に声を響かせるような感じで読んでました。
 ただし、1巻に比べて「粋」より「情」に比重が移ったように感じました。恋愛がらみの話が多いせいですかね。

 粋な話となれば、第一話と第二話で続きになっている、清水の次郎長の子分、小政の後日譚が出色でしょう。


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霧笛荘夜話 (角川文庫)

浅田 次郎 
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浅田次郎の割には泣けません

霧笛荘の住人、優しさ故の不器用さが不幸なのか幸せなのか。
章ごとに主人公が変わる、主人公の隣人が次の章の主人公という流れで物語が綴られていく。
浅田次郎と言うと「ほら、泣けやー」と言う物語が多いけど、これはそこまで泣かす事には主眼を置いていないと思います。
短編だからかな。

■読んで欲しい人
・心が疲れている人
・そんな人を癒してあげたい人


筆者の本が好きな人には、素直に楽しめるお勧めの一冊。

しっとりした筆者特有の世界観で、引きずり込まれるような読書を楽しむことができる。
登場人物は、みな一癖あり、しかし優しくて不器用。
このシリーズははじめて読んだのだが、いつもの浅田ワールドを堪能することができた。
こうした登場人物ごとの短編を書かせると、本当に上手だと思う。いつも感心してしまう。
楽しい読み物としての完成度がとても高い。
筆者の本が好きな人には、素直に楽しめるお勧めの一冊。
話しを忘れた頃に、また読み返してみたい。


続けて読むのは少し重い短編集

様々な個性的な人々の物語6編と、総括してしみじみと読ませる1編からなる連作集です。なんだかんだといいながら、例に寄って根が善良な人々にホロリとさせられますが,それぞれの短編の結末はハッピーとは言えません。続けて読むのは少し重いので一日1〜2話くらいがお勧めです。
そして最後の一編は、舞台の設定時間が少し戻ります。無理にでも読後感を高めようという感じもしないではありませんが、その仕掛けにはまりました。


どの話も可哀相すぎる

生きてゆくことは、生あるすべてのものにとって、決して楽なことではない。しかし、どうしてこんな悲しい話ばかり集めたのだろうか。浅田次郎さんの作品は、本編を含め今までに4冊読んだが、どの作品にも、人のために尽くすだけで自分はまったく酬われることなく、時によっては不幸を一身に背負って生き、或いは、自ら消滅したり、死ぬような人がいる。本人は泣き言を一切言わず、自分の当然の運命として受容する。「地下鉄に乗って」のみち子、「椿山課長」の佐伯知子、「天国までの百マイル」のマリ、そして、この作品では、眉子も四郎の姉も、カオルもがそうだ。霧笛荘の住人は、四郎のような一応の成功を得た人も含めすべて幸せではない。浅田さんはペシミストの作家なのだろうか、私は、解説者のように面白いと思って一息に読み終わることなど、とてもできなかった。可哀そうすぎるところは飛ばして読み、また、一時本を置いた。

禍福は糾える縄の如しというが、この世界には救いもあるのである。筆力と描写力は抜群であるが、世界や人間に対する洞察が浅いか片寄っている。人情味にあふれているというかもしれないが、人情にあふれた人が、どうして幸薄い「みち子」を消したり、「佐伯知子」の心情あふれる告白を聞きながら放置したり、眉子を自殺させたりするのか。 この点で、作家の才能は認めながらも、浅田ワールドなどといって全面的に陶酔することに違和感を感じている。


一気に読ませる素晴らしい作品だった

人生に迷った人間が最後に生きつく「霧笛荘」の住人の話が綴られている。
ここの住民は各人とも様々な過去を背負いながらも人間として失っていけない大事なものはきっちりと守りながら生きている様子にとても惹きつけられた。
特に(自称)やくざ者の鉄の生き様には感動した。
少々頭は悪いが、損と分かっていても引き受けてしまう男気にはとても共感した。
また、拝金主義が蔓延する世の中にあってここの住民達は多額の立ち退き料を積まれても大家のために立ち退かないなど、各処に感動。

浅田氏の作品はどれもとても面白いが五指に入る作品であると思う。



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