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クチコミ情報
作品制作者から歴史を学ぶ人までカバーする良書現代美術の流れをよくかいつまんで記述している良書である。現代美術を単なる流行としてではなく、社会や哲学との関連で「地に足が着いたもの」として時代を追いながら読み解いて行く。最初に1960−80年代の作品の理論的背景が端的に描かれており、それが90年代以降現在へと至る作品の意味を明確に浮かび上がらせている。バルト、ソンターグ、セルトー、バトラーといった思想家やフォスター、オーエンスといった美術史家の理論を援用しながら脱構築的に現代美術の流れを追うという方法は、現代のアカデミズムの中道を行くやり方だが、それがこの書籍でも徹底されている。本書では興味深いことに、書籍内容の流れが美術の流れと一致している。つまり世紀末以降の美術は特にジャンルが肥大化し、まとめ上げるのが困難になって来ているが、それがそのまま本文にもあらわれており、本の最後に近づくに従って内容が散漫になっている。本書の内容そのものが現在の美術の混沌を表現しているといえよう。唯一難点を挙げるとすれば、既に90年代中ごろには現れていたインターネットに関連する作品が省かれていることではなかろうか。全体として推薦に値する現代美術のガイドブックである。
企画に即した内容本書の帯に「混沌かつダイナミックな今のカルチャーの見取り図を、第一人者にわかりやすく講義してもらう、いわばカルチャーの参考書」とあるが、内容は企画に即したものであり、その点において高く評価できる。
また、たとえ「カルチャー」というタームに違和感を覚えたとしても、現在進行形の文化的諸相を、ある意味でジャーナリスティックに解説するという行為は必要なものだし、企画意図に対しても、一定の評価を与えられるだろう。
ともあれ、現代美術に興味を持つ者が、入り口として手に取るには好適な本だし、入門書としての構成もよく考えられている。基本的に「現状を伝える」ことを旨として、著者の評価や判断を前面に出していない点も(取り上げる作家を選択し、構成を決めた段階で、著者は既に評価なり判断なりを下しているのではあるけど)、入門書として進められる要素だ。
ただ、残念ながら対象となる現在進行形の文化的諸相が、あまりにも現在進行形でありすぎたために、刊行から4年経過した時点で「既に情報が古くなっている」のは、まぁ致し方ないところではある。
内容的には星4つだが、装丁がちょっと小じゃれててかっこいいので、あえて高く評価した。
こういう本は気軽に使いつぶしたいから、ペーパーバック形式は非常にうれしいところ。
入門者の必読書現代美術を理解しようとした場合、日本語で書かれた、有益な書籍は、きわめて少ないのが現状です。そんななかでは、本書は入門者の必読書といえます。1990年代以降の、欧米を中心とするアートの現状を概観する上で、とりあえずの指針になると思います。但し、1990年代半ば頃にニコラ・ブリオーなどにより言説が流布され、その後のメインストリームとなった、リレーショナル・アートについては、十分なフォローがされていない点で、現時点では物足りなさを感じます。
読んで忘れる 「現代美術~」と称した本の多くが80年代前半位で止まっているなか、それ以降を概観できる。(自分のような)ここ数年関心を持ち出した初心者には楽しめる。ペーパーバックの形態でシンプルなデザインであることもラフな生活のなかで楽してめうれしい。 個人的に好きで見てきた作品がある理論に位置付けられて、納得できたものも、そうでないものもあるが、ますます混沌とする現代のアーティストの作品の中で、溺れかけそうになった人にはとりあえずの救命ボートかも。 デュシャン以降、多かれ少なかれコンセプチャルであることがアートの運命だから、この本の理論を参照することは現代美術を観ることに多少は免疫になるかもしれない。たいてい作品は理論を裏切るから、とりあえず乗っかってまた飛び込むための本。
現代アートの入門書ベンヤミンの「複製芸術論」やフォスターの「反美学」を批判的に引用しながら、現代アートの諸相を描こうとしている。 現代の「アート」がどんどんと拡散しながら領域を拡大しているため、当然のことながら、取り扱っている分野は幅広く、議論がとっ散らかってしまっている印象はぬぐいがたい。しかし、本書はそもそもからそういう目的で書かれているであろうことを考えると、美学・美術史学を研究しようとする学生にとっては、一番最初の入門書として、あるいは少々アートに興味を持っている人にとっては簡単な解説書および現代のアーティストのマッピングとして活用できる著作ではないだろうか。 ここをスタートに「アート」の深淵にはまっていくもよし、その表象を漂うもよし。 ただ、ある程度、専門的知識がついてくるとかなり物足りなく感じてくるはず。まぁ、そっちの世界から経済学へスピンアウトした人間としてはちょうどよい本ですが。
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